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SDG’sな理事会運営を考える(2)

 「SDG’sな理事会運営を考える(1)」では・・・
 「理事会」の大きな役割の1つは 、総会で決議された(日常的な管理運営に必要な)管理組合の事業を「執行する(実施する&確認する)」ですよ!
 そして・・・
 事業を執行するといっても、ほとんどのマンション管理組合は管理会社に日常の管理運営事業を委託している場合がほとんどなので・・・

 「理事会」は、管理会社に委託した事業がキチンと執行されているのか?を、確認することが重要な役割!ということを、「塗られることのないワックス代を長年に渡って支払い続けていた管理組合の事例」等を紹介しながら、お話しました。

 今回は、管理組合の事業「執行する(実施する&確認する)」の中に・・・もう1つ大事なことがあるので、そのことについてお話します。

「もう1つ大事なこと」とは?

 「理事会」が執行機関として果たさなければならない「もう1つの大事な役割」・・・それは、管理費等の「収納状況の確認」です。

 「収納状況の確認」とは・・・
 組合員の皆さんがマンション管理組合で定めている管理費等(管理費・修繕積立金・各種使用料)をきちんと支払ってくれているのか?を確認(チェック)し・・・支払ってもらっていない場合は、「滞納者に督促をして回収を行なう」ということです。

 なお、管理会社に管理委託している多くのマンション管理組合の場合・・・これらの確認や督促は、(原則)管理会社が行ってくれます。

 だからといって、「理事会」が何もしなくて良いのか?というと・・・それはNGです。「滞納」に関しても、主体はあくまで「理事会」だからです。

 えっ?滞納者への督促は管理会社がやってくれているのに??

滞納について思うこと

 「滞納」と言っても・・・色々なパターンがあると思います。
 もっとも多いのは・・・「うっかり滞納」
 組合員の管理費等の引き落とし口座の預金残高が不足していて発生する「うっかり滞納」は、組合員数の1~3%位で起こりそうです。(中には、「滞納額は毎月ほぼ0件0円」というマンションもあります)

 「うっかり滞納」の多くは、管理会社の担当部署から「引き落としができませんでした。ご確認ください」と電話等でお知らせが入り、翌月の引落し時に(未収月分と一緒に)2月分引き落とすとか、管理組合の収納口座に振り込んでもらって解消する・・・あまり問題にならない場合がほとんどです。

 でも・・・他の理由による滞納もあります。
 例えば、「お金がない」とか「管理組合運営に不満がある」とか・・・
 また、こうした場合の滞納は、複数月にまたがることが多いです。

 当たり前の話ですが・・・滞納者には早く手を打つことが肝要です。
 でも、こうした場合の回収は・・・ナカナカ一筋縄ではいかないケースも多いと思います。

 そして、ナカナカ一筋縄ではいかないケースになると・・・(専門部署による)事務的な督促手続きでは対応できず、個別対応する必要性が生じると思います。
 ということで・・・多くの管理会社では、こうした滞納者に対する担当窓口は専門部署からフロント担当者に移る場合が多いと思います。

フロント担当者にとって、督促業務は・・・

 「フロント担当!使わな損?損?(3)」では、フロント担当者は、どこかで手抜きしないと仕事がこなせないくらいの仕事量を抱えている・・・みたいなお話をしました。

 フロント担当者にとって・・・長期滞納者に支払いを督促すること(業務)は、やっかいで手間取る仕事の1つです。
 連絡取るのも困難だし、夜にマンション訪問しなければならないかもしれない・・・本音を言えば、やりたくない仕事の1つだと思います。
 パスできるなら、パスしたいと思っているはずです。

 なので・・・フロント担当者が「この管理組合(理事会)は、(おとなしいので)自身がイニシャティヴ(主導権)を握れる!」と踏んだら・・・

 例えば「理事会」での滞納の話題(議題)は、「現在の滞納額は○○円&滞納者は○名です・・・普段と大きな違いはありません」等と何気なくサラッと報告して終わる、もしくは滞納管理費のことは一切話題として取り上げない・・・なんて対応をするかもしれません。

 滞納管理費のことは、できる限り触れないよう理事会を進めることで、フロント担当者自身が督促の対応をしなくてよいようになるからです。

 「理事会」が収納状況の確認をしなかったことで、「滞納者が放置されたまま滞納額がどんどん膨らんでいる」なんてことになっていないと良いのですが・・・

「滞納額がどんどん膨らんだ」実例紹介

 私が現在サポートしている管理組合の中に・・・何百万円かの未収金が計上されているにも関わらず、(私が関わり始めるまで)何もせずに放置していた管理組合がありました。

 その時の「理事会」は、3年前に工事完了した大規模修繕工事の不具合(漏水)について、施工会社や設計事務所、それをあっせんした管理会社を交えた交渉を終始しておられたようです。
 だからといって、現在進行形の何百万円もの滞納をそのままにして良い訳はありません。

 ところが・・・理事役員は、そんなに滞納管理費が膨らんでいることに誰も気がついていなかったようでした。

ちょっと脱線(笑)

 このマンションでは、「理事会」が施工会社にも設計事務所にも管理会社にも・・・これまでの対応に対する「不信感」だけが先走っていて、話し合いが平行線をたどるというか・・・話し合いにならない状況が続いていました。

 そういう状況下に理事長から相談があり・・・私が理事会のサポートに入ることを提案しました。
 その提案とは・・・施工会社・設計事務所・管理会社の評価できるポイントは第三者的に評価するみたいなスタンスで「理事会」をサポートし、正常に話し合いを行なうためにも理事役員に刻み込まれたバイアス(偏り)を解消する・・・みたいな感じの提案です。

 そうしたところ・・・次第に理事役員の「不信感」が収まり、話し合いの妥結点が見えてくるようになり、大規模修繕工事の不具合問題は、一応の決着を得ることができました。

 そして・・・決着後も管理組合の要請があり、理事会のサポートは、今でも継続しています。

「理事会サポート」で実施していること

 このマンションでは、管理会社から毎月理事長に提出される月次報告をレポートにまとめて報告を行なうことにしました。
 これって・・・「会計の見える化」も含まれます。

 この「会計の見える化」によって、理事役員が滞納状況が良くないことが共通認識となり、未収金回収の話題が理事会で大きく取り上げられ、話し合いが進みました。

 最終的には、弁護士に滞納督促を依頼することになりました。(この時に10万円くらい弁護士への報酬が発生したと思います)

その時、フロント担当者の言い分は・・・

 この時のフロント担当者の言い分は・・・
 「未収金の報告は、理事役員に回覧している月次報告書で報告しています。『理事会』は不具合交渉で毎回3時間を超えてましたから、日常管理の報告を行なう時間が取れませんでしたね」でしたが・・・
 
 実際は・・・フロント担当者と理事会との信頼関係が構築できていないことから・・・(何を言っても理事会から攻められるので)滞納額が何百万円になっていることの報告や有償で弁護士に督促してもらう提案を理事会に提案できなかったみたいです。(アホみたいな本当の話です)

 このマンションでは、現在・・・10万円レベルの未収金(=ほとんどが「うっかり滞納」)で推移しています。(イイ感じです(笑))

本日のまとめ

 滞納をそのまま放置し続けると、債権額が雪だるま式に増えていきます。・・・なので、毎月「理事会」を開催して、滞納管理費の確認および回収の進捗状況(進み具合)を確認しなければなりません。

 0件0円であっても、フロント担当者から「0件0円です」と報告を受けることが大事です。
 何故ならば、「滞納管理費」をキチンと把握し、対応している「理事会」も多いと思いますが・・・意外と、できていない「理事会」も多いかも?と思うからです。

 あなたの「理事会」では、滞納に関する報告が毎月きちんと為されていますか?複数月にまたがって滞納している組合員の有無や滞納額等を把握していますか?

 今回は、脱線しちゃったので、3400文字を超えちゃいました。(笑)
 次回は、滞納管理費の回収について、もう少し掘り下げてお話したいと思います。  (つづく)


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