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SDG’sな理事会運営を考える(1)

 多くのマンションでは、輪番で理事役員が回ってきます。

 「理事会は月1回開催」というマンション管理組合が多いのですが・・・
 開催時間が3時間を超えたり、(お坊さんの読経を聞くみたいに)管理会社のフロント担当者や理事役員の中で声の大きな人が独りしゃべり続けて終わったり・・・みたいな理事会も見かけます。・・・こんな理事会に出席するのって「苦行~」(笑)

 「フロント担当!使わな損?損?(6)」 では、「理事役員になった時の心得」的なお話をしましたが、今回のシリーズでは、円滑に有意義に理事会を運営していくためのポイントをまとめたいと思います。
 まずは・・・「理事会」の役割について、お話します。

そもそも・・・理事会って?

 ちなみに・・・マンション管理に関する法律の中に「理事会」という言葉は出てきません。

 「理事会」は、国土交通省が「管理規約の雛形(参考)にしてね」と公表している「マンション標準管理規約」の中に出てくる言葉です。多くのマンションでは、この「マンション標準管理規約」に基づいて自分たちの「管理規約」を制定されていると思います。

 ですから・・・今日のお話(もしかしたら、このシリーズ)では、「マンション標準管理規約」に基づいて、お話をしたいと思います。

「理事会」の役割(その1)

 「理事会」は、マンション管理組合が管理運営を具体的に行う「執行機関」と位置付けられています。

 マンション管理組合の「総会」では、管理運営の方法(事業)、お金の使い方(予算)、ルール(「管理規約」等)、大きな修繕工事等の実施等々が決められます。
 マンション管理組合運営の解説本なんかを読むと・・・「マンション管理組合の最高意思決定機関は、『総会』」と書かれてあります。

 そして・・・「理事会」は、「総会」で決まったことを執行する(実施する&確認する)機関(組織)という訳です。

 実務的には・・・管理会社に管理委託しているマンション管理組合が多いので、その場合は管理会社がちゃんと仕事をやっているのか?「理事会でチェックする」ということになると思います。

「理事会」が執行する事例(管理委託契約)

 「総会」の議案の中に「管理会社との委託契約締結について」があり、総会の議長が「賛成の方は手をあげてください。・・・賛成多数で可決承認されました!」と宣言した瞬間、管理組合は何百万円か何千万円かの買い物をしたことになります。

 でも・・・買った時は、「マンション管理委託契約書」という書類が管理組合の手元に残るだけです。
 ちなみに、「マンション管理委託契約書」に理事長が記名押印するには理事会決議が必要なので、これも「執行する」ことの一例になりますが・・・ここでは、契約した以降のことをお話したいと思います。

 契約した何百万円か何千万円かのサービスは・・・対価を受け取った管理会社が1年間かけて、原則「マンション管理委託契約書」の中の「管理仕様書」に書かれたとおりに提供してくれます(提供してくれるはずです)。

ここからが大事なポイント!
 管理会社から提供されるサービスが「管理仕様書」どおりに提供されていれば問題ありませんが・・・提供されていなかった場合は、「マンション管理委託契約書」という紙に描いた餅に(無駄金を支払って)終わってしまうことになります。こうなると「後の祭り」です。管理会社に「お金返せ~」といっても無駄な努力に終わります。

ここで「理事会」登場!

 「理事会」は、「マンション管理委託契約書」の一部が「絵に描いた餅」に終わらないために存在します。

 管理会社が(総会で決議された)「管理仕様書」どおりに日常管理のためのサービスを提供してくれているのか?(毎月)確認する(=もし、やってなかったら、やってもらう)・・・それこそが「理事会」の大きな役割(機能)の1つなのです。
 そして・・・これこそが「執行する(実施する&確認する)」ということなのです。

契約どおりやってない?? そんなのあり得な~い

 ここまでの話を聞いて・・・管理委託契約どおりにサービスが提供されいない?そんなことってあり得る??と疑問をお持ちになった方もおられると思います。
 でも、「管理仕様書」と現場をよ~く見ると・・・意外と違っている事例ってあるんです。(そして多くの場合、マンション管理組合側が損してるかも?)

 管理組合と管理会社が合意(承知)して違っている場合もあります。
 例えば、契約書では「管理員勤務時間9:00~17:00」だけど、ゴミ収集車が来る日は「8:00~16:00に変更」・・・これは良いと思います。

 でも、知らぬ間に管理仕様が変わってしまっている・・・なんてこともあります。(次のチャプターでは、その事例をお話します)

管理会社リプレイス体験談

 管理会社リプレイス(見直し)の依頼を受けたマンション管理組合であった事例をお話します。

 管理会社リプレイスの依頼を受けて、まず最初に・・・「管理仕様書」とマンションでの実施状況に差異があるかを(完了報告書やヒアリングを通じて)確認する作業から行います。
 大概は、管理員業務に差異が見受けられるのですが・・・定期清掃に差異が見受けらる事例も多いのです。(私が実際に遭遇した事例は以下のとおり)

① 共用廊下や階段の清掃方法が「管理仕様書」では「ポリッシャー洗浄法」(=機械ブラシを使い、こすって洗う洗浄方法)・・・でも現場は「高圧洗浄法」(=水圧で汚れを飛ばす洗浄方法)だった。

② 共用廊下や階段の清掃方法が「管理仕様書」では「ワックス仕上げ」・・・でも現場は(ワックス仕上げNGな床なので)「ワックス未使用」だった。

お金は返ってきませんよ

 ①も②も・・・管理組合は、「ムダ金(例:未使用ワックス代等)を長年に渡って支払っていた!ということが発覚した」ということです。
 多くの場合、マンション竣工時から同じ「管理仕様書」で契約更新されてますので・・・10~20年位は、(塗りもしない)ワックス代を支払ってきた!ということになります。

 「塵も積もれば山となる」で・・・実にもったいない!
 でも(というか・・・)もちろん、お金は返ってきません。

 仮に「これまでのワックス代を返せ」と管理会社に言っても・・・応じてもらえないでしょう。
 「ワックスを掛ける掛けないは細かなことです。本来は契約書に反映すべきでしたが、私共は建物に最善の方法で清掃しております。皆様にはご満足(ご納得)していただいた上で、報酬をいただいてまいりました」みたいな回答しか返ってこないと思います。

 気がついた時には「後の祭り」、でも「理事会」がキチンと機能していたら、こんな事態にはなっていなかったでしょう。

 ・・・ということで、「理事会」の役割の1つ「執行する(実施する&確認する)」は、実は重要!だということです。(国土交通省が「理事会は毎月開催を推奨」する理由の1つかも?)

 なお、これらは(私が関わったことのある)複数のマンションで、かなりの高確率で見つかった事例です。
 同じような事例は他にもたくさんあるじゃあないかなあ?
 あなたのマンションは大丈夫ですか?・・・要確認かも(笑)

「理事会」の役割(その2)

 ここまでお話してきた「執行する(実施する&確認する)」の中には、もう1つ重要なチェックポイントがあります。
 それは・・・お金の管理(出納状況の確認)です。
 そして、特に「管理費等の未収金の確認と滞納者への対応」が重要です。

 と・・・ここまで書いて、文字数が3100文字を超えました。(笑)

 ということで「理事会」の役割(その2)については、次回にお話ししたいと思います。  (つづく)

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