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フロント担当!使わな損?損?(3)

 このシリーズでは、フロント担当者が担当するマンション数を管理会社の経営者目線で考えました。
    「フロント担当!使わな損?損?(1)
    「フロント担当!使わな損?損?(2)

 今回は、フロント担当者って管理組合に対して何をしているのか?(どんなサービスを提供しているのか?)考えたいと思います。

フロント担当者 1マンションあたりの仕事量

 まず、フロント担当者の管理組合に対して直接提供している仕事を(私の思いつくまま・・・)記してみます。
 なお、この中には、会社内で求められる上司への報告とかレポート作成、または会議参加の時間等は含まれていません。(私のサラリーマン時代を振り返ると、こうした社内で費やされる時間の割合って結構高くて・・・全体の2~3割位はあったかも?)
 (フロント担当者が担う仕事)
  ・ 理事会の補助業務1(招集通知・レジュメ作成)
  ・ 理事会の補助業務2(参加・各種提案・議事録案作成)
  ・ 理事長の窓口業務1(理事長に報告・連絡・相談)
  ・ 理事長の窓口業務2(発注書等の記名押印書類の作成・整理)
  ・ 滞納者への対応業務(滞納者への連絡・督促補助)
  ・ トラブル対応窓口業務(苦情・漏水等への対応)
  ・ 管理員等へのマネージメント(報告・連絡・相談対応)
  ・ その他

 次に、これらの業務をこなすために、どの位の時間がかかりそうか?見ていきたいと思います。まずは、理事会の補助業務を(ざっくりと)見ていきましょう。
 ① 理事会の準備(レジュメ作成等):2時間
 ② 理事会当日参加(前後打ち合わせ&移動時間含む):4時間
 ③ 理事会議事録(案)作成:2時間

 ・・・理事会の補助業務だけでも1マンションあたり8時間くらい(丸1日)は、必要そうですね。

理事会の補助業務以外にも・・・

 その他にも・・・各マンション毎の出納管理(請求書等の精査も含む)、各種点検(消防設備・エレベーター・給排水設備等)や各種作業(配管洗浄・清掃・植栽剪定等)の手配、各組合員への管理費等の請求作業、月次報告書の準備、仕事はたくさんあります。

 大手の管理会社では分業化が進んでいて、その多くは社内の専門部署や事務員等がサポートしていると思います。
 例えば・・・「滞納者への対応業務」等は管理会社内の別部門が行っている管理会社が多いと思います。

 そうした場合でも・・・例えば、引き落とし口座の残高不足で「うっかり滞納」みたいな場合は、別部署が対応しても問題ないと思います。
 ところが、滞納月数が3月以上になる滞納者、電話連絡が取れない滞納者、常連の滞納者等、中には一筋縄では支払いに応じてくれない滞納者もおられます。
 こうした場合は・・・マンション管理組合に対する管理会社の窓口を担うフロント担当者が対応しなければならないでしょう。

1マンション1.5~2.0日位は必要かも・・・

 そして・・・理事会の補助以外の業務を加味すると、実質的に1マンション辺り毎月1.5~2.0日(12~16時間)位は(最低限)必要なんじゃないかなあ?とボンヤリと思います。

 フロント担当者のマンション担当数を15とすると・・・1.5~2.0日x15マンション=22.5~30日の勤務日数が必要になります。これに社内業務が2割加味されると・・・毎月27.0~36.0日!なんてことになります。

 どこの会社も、勤務日数って大体月20日くらいですよね。勤務日数を月20日考えると・・・残業を月56~128時間(年672時間~1,536時間)しないと、こなせないことになります。

それって無理だわ~

 そうなんです。この量は、普通には消化できない仕事量だと思います。
 フロント担当者って離職率が高い仕事と言われているのも・・・この辺り(ハードワーク)に原因があるのかもしれません。
 会社からは、毎月数字のノルマも言われているだろうし・・・フロント担当者って、ホント激務だわ。
 でも、皆さん仕事を消化しておられます。ホント凄いなとも思います。

どうやって消化するのか?考えて見ると・・・

 フロント担当者が担う仕事量は、これまで見てきたとおり・・・物理的に消化が難しいと思います。
 では、どうやって消化するのか?
 答えは・・・「どこかで手抜きをする!」です。

 例えば、国土交通省は「月1回の理事会開催は望ましい対応」としています。ところがマンション管理委託契約書には、理事会の実施回数は記載されていません。
 ですから新役員に対して「理事役員の皆さんが大変だと思うので、理事会は2月に1回開催にしませんか?」みたいな理事会の回数を減らす提案をしたり、滞納者への対応を放置したり・・・みたいな事例があります。
 そういえば・・・私のマンションも私が理事長に就任する前の年度(第4期だったかな?)は、総会当日の理事会(役の互選)と1年後の定期総会招集の理事会、合計2回しか理事会が開催されていませんでした。

まとめ

 私のマンション事例は、極端だと思いますが・・・どこかで仕事量を減らさないと仕事が消化できないのが、フロント担当者の仕事かも?・・・という認識を持っていても「あたらずとも遠からず」だと思います。

 フロント担当者に手を抜かれても抜かれなくても・・・委託契約金額は同じです。それだったら手を抜かれない方が良いですよね。
 次回は・・・フロント担当者にキチンと仕事をしてもらうためにマンション管理組合(理事会)は、どうすれば良いのか?どうすべきか?考えたいと思います。  (つづく)

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