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SDG’sな理事会運営を考える(10)

 このシリーズでは、マンション管理組合の「理事会」について、その役割や運営方法を具体的に考えてきました。

(理事会の役割)
   ① 「総会」で決議された(管理委託契約等の)事業を執行すること
   ② 管理費等の収納状況(滞納状況)を確認すること
   ③ 滞納があった場合は督促する手立てを検討すること
   ④ 総会(=最高意思決定機関)を招集し事業等の実施を提案すること

そして・・・前回は、理事会に寄せられるマンション住民からの苦情や相談を理事会では、どう取り扱うべきか?(それとも)取り扱うべきでないのか?を「音の問題(=騒音苦情)」を題材に考えました。

     「SDG’sな理事会運営を考える(1)
     「SDG’sな理事会運営を考える(2)
     「SDG’sな理事会運営を考える(3)
     「SDG’sな理事会運営を考える(4)
     「SDG’sな理事会運営を考える(5)
     「SDG’sな理事会運営を考える(6)
     「SDG’sな理事会運営を考える(7)
     「SDG’sな理事会運営を考える(8)
     「SDG’sな理事会運営を考える(9)

 そして今回は・・・前回の続きです。
 前回は、理事会が「近隣同士のトラブル」に関して取り得る手段として以下の3つを提示し、①についてお話ししました。
 ・・・ということで、今回は②からスタートです!

   ① 啓蒙を行なう。
   ② 当事者から話を聴く。
   ③ 当事者同士が話し合う場を設ける。

その前に・・・忘れてはならないことの復習

 絶対に忘れてはならないことは・・・相談のあったマンション住民に対し、予め下記の「管理組合(理事会)のスタンス(立ち位置)」をキチンと理解&納得してもらう!ということです。
  (1)原則、近隣間のトラブルは理事会で取り扱う問題ではない
  (2)同じ屋根の下に住む者同士なので、許される範囲で善処する

 これを理解&納得しておいてもらわないと、相談者の期待値が高くなり、理事会として精一杯善処したことに感謝されないどころか・・・逆に理事会に対して逆恨みしたり、怒りの矛先が向いたりすることがあるからです。

② 当事者から話を聴く。

 ちなみに・・・耳で「きく」という動詞の漢字を調べると3つありました。
 それは、「聞く」・「訊く」・「聴く」の3つです。英語に当てはめると・・・次のような感じかな?

   「聞く」 ➡ 「Hearing(ヒアリング)」:自然に聞こえてくる
   「訊く」 ➡ 「Ask(アスク)」:質問する・尋ねる
   「聴く」 ➡ 「Listening(リスニング)」:積極的に耳を傾け聴く

 「聞く」も「聴く」も同じような意味で発音も同じ・・・でも、ビミョーに意味(ニュアンス)が異なります。
 改めて日本語ってデリケートな言語だなあと思います。

 それはさておき・・・要するに、ここでいう「聴く」とは、相談者の話を親身になって伺って・・・「相談者の困りごとを共有する」ということです。

話を聴くだけでも・・・

 私は、行政関連やNPOの窓口を通じてマンション管理組合やマンション住民さんの相談を受けることがあります。

 その相談の中には「どうしようもない、解決の手だてが見つかりそうにない相談」も持ち込まれることもあります。(例:問題解決には・・・骨肉の争いをしなければならないとか、法外な費用や手間がかかるとか)

 そんな時、私は相談者の話を(時間の限り)必死に聴きます。
 そして、(何も手立てが見つからないことと同時に)同意や同情できることは相談者にお話しします。

 間違っても無責任に「がんばって!」とは言えないけれど・・・相談の最後に「(陰ながら)応援します」と伝えることは、できるかな?

 それでも・・・相談者は、誰にも相談できず、独り悩んでおられることも多いので、帰り際に「話を聴いてもらえただけで、気分が楽になりました。ありがとう!」と、帰られるケースが意外と多いと思います。

張り詰めた心には、すき間が必要!

 これって、結構・・・重要だと思うのです。
 話を聴いてあげるだけなんですけど・・・相談者の心に張り詰めて満タンに溜まったものを受け取って、すき間を作ってあげる・・・みたいな?効果があると思うのです。(う~ん、上手く言えないなあ・・・)

相談者の話を聴くときの注意点

 絶対に守って欲しいことが3点あります。
  1点目は「相談者の対応は複数の理事役員で行なうこと」
  2点目は「相談者の住戸ではなく、集会室等に来てもらうこと」
  3点目は「時間を決めること」です。

 1点目は・・・相談者と二人だけで話をすると、あとで「言った?言わなかった?」の話になったり、相談内容が右に行ったり左に行ったり・・・コントロールできなくなったりするリスクを未然に防ぐためです。聴く耳はたくさんあった方が良いということもあります。

 2点目は・・・相手(例:音を出している人)が居るから、相談者の住戸に出向かない方が良いということです。相手は「自分は何も」悪くない!言いがかりをつけられている」と思っているかもしれません。
 管理組合としては、「共同の(マンション全体の)迷惑行為者」と判断しない限り、どちらの味方にも敵にもなっては駄目です。
 どちらかの住戸に訪問することで、「理事会のスタンス」が誤解されるリスクがあるので、極力避けた方が良いと思います。

 3点目は・・・予め時間を決めておかないと際限ないです。同じ話が堂々巡りする・・・なんてパターンは、時間の無駄ですから・・・
 例えば「理事役員は、それぞれ時間を削ってここに来てます。お話を伺う時間は15分で良いですか?」と予め宣言しておく方が良いと思います。
 それでも「結局、相談時間は30分を超えた~」は、「あるある」だと思います・・・

ということで、おススメは・・・

 もちろんTPOは、あると思いますが、理事会の中で時間を取ってあげるとか、理事会開催の前後に来てもらうとか・・・が、おススメかな?

 これをすることで、理事会の時間が20~30分くらい延長することになりますが・・・結局は、理事役員の誰かが話を聴くことになるのだから、「役割の衡平」という観点からも、これが一番良いのでは?と思います。

 今回は、ここまで!次回は、「③当事者同士が話し合う場を設ける。」を取り上げたいと思います。  (つづく)

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