民法改正「共有」のお話(12)
相続と共有が複雑に絡みあう以下のケース・・・ホントややこしい。
この絡んだ糸を解いて、皆ハッピーに「共有関係の解消」をするには、どうすれば良いのか?
現行民法でできることには、「不在者財産管理人制度」と「失踪宣告」といった2つの方法が存在します。
そして前回、「不在者財産管理人制度」についてお話しました。
ということで・・・
今回は・・・「失踪宣告」についてお話したいと思います。(今回も以下のケースを事例にして考えます)
②失踪宣告
行方不明者の生存が確かめられる最後の時から7年経過していることをもって死亡したとみなす制度のことをいいます。
この制度を利用すると・・・行方不明者を被相続人とする相続が生じます。
今回の事例(ケース)に当てはめてみると・・・
失踪宣告を受けたDさんの配偶者や子等の法定相続人がDさんの財産を相続することになり・・・別荘の処分・管理できる可能性が出てくる!ということになります。
(行方不明になった日から7年待たないと、手続きが始まりませんが・・・)これは良き制度ですね。
この制度を活用して・・・塩漬け放置された別荘も何とか(Aの単独所有に)なるかもしれません。
失踪宣告の問題点
失踪宣言が認められた!といっても・・・それで万事が解決~とはいかないかもしれません。
そもそもの話・・・Dの法定相続人(=Dの配偶者や子等)の間で相続協議がまとまらなかったら、またはDの相続人がAに別荘を売却することに同意しなかったら・・・結局、別荘の塩漬け状態は続くことになります。
また相続人の中に一人でも行方不明者が居る(今回はDの子の「E」君とします)と・・・話はややこしくなります。
Eが見つからないと・・・Dの相続人が揃わない(=相続の協議をできない)からです。
こうなった場合は・・・
Eに対しても、「不在者財産管理人制度」や「失踪宣告」の申し立てをする・・・という方法を取らざるを得ません。
これはややこし過ぎるし、時間も金もかかる・・・
ある種の無限ループに陥る可能性も否めないかも?と思います。
そして結局は・・・共有財産でもあり相続財産でもある別荘は塩漬け状態になるしかないでしょう。(当然・・・管理もスムーズに進まなくなる)
相続の現場でも、なかなか上手くいかないケースも多いのでは?という気がします。
現行民法によるルールのまとめ
ここまで・・・相続財産を協議するためのルールを話してきました。まとめると、以下のようになると思います。
こうやって並べてみると
いろいろな手当(手段)は用意されているように思います。しかしながら・・・これまで見てきたように、相続の現場では袋小路に陥ってしまうケース(事例)も多々あるのでは?とも思えてきます。
100年以上前の思想をベースに机上論的に出来上がった「民法」というルールがベースなので・・・総論的には「そのとおり!」でも各論的に「無理がある・現実に則していない!」となるは、仕方ない部分もあると思います。
それでも・・・何とか(少しでも)現状に則したい!現場の問題解決に繋がるルールにしたい!と、行われるのが2023年4月1日施行予定の「民法」大改正です。
この「改正民法」によって、共有解消のルールがどのように変わるのか?
次回は・・・行方不明の相続人が存在する場合のルール改正を中心に見ていきたいと思います。 (つづく)
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