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民法改正「共有」のお話(2)

 30年以上前に分譲されたAマンションでは、分譲販売したデベロッパーが(現時点で思うと無責任なのだけど・・・)機械式駐車場設備を区分所有者(=マンションの購入者)無理やりに分譲されました。(このパターンは、あまり他には例が無いと思います)

 なお・・・マンション管理組合が分譲された(=各住戸と同じ専有部分の)機械式駐車場設備を(主体的に)保守管理する訳にはいきません。「管理組合」は専有部分を所有する区分所有者の団体で、(専有部分以外の部分で、原則は皆で使用する)共用部分だけを保守管理するための団体だからです。

 そんなAマンションの機械式駐車場設備が・・・竣工後30年以上の間、どのように保守管理されてきたのか?
 そして・・・何が問題なってきたのか?お話したいと思います。

 そして、この問題を解決(というか前に進める)ために・・・今回の民法改正が大きく働きそう!という所に繋がっていきますので、しばしお付き合いを願います。

本シリーズのブログはこちら・・・
   民法改正「共有」のお話(1)

分譲機械式駐車場の保守管理は?

 機械式駐車場を運用するには・・・まず電気が必要ですし、日常の保守メンテナンスも必要です。(要するに「お金」が必要)
 その「お金」はもちろん、分譲駐車場設備を共有している所有者から集めなければなりません。保守メンテナンスも分譲駐車場設備の共有者で行わなければなりません。

竣工当時より継続している運営方法

 約50名おられる共有者は、管理費や修繕積立金等に加えて分譲機械式駐車場の保守経費として毎月2,000円を(マンション管理組合の口座に)振り込まれています。
 機械式駐車場を動かす電気使用料はマンション管理組合に支払われ、残金は分譲駐車場の専用預金口座(何故か?名義は「マンション管理組合の理事長」に振り込まれています。

 そして・・・年4回実施される機械式駐車場の保守点検(メンテナンス:注油等を含む)費用は、その専用口座から保守点検会社に振り込まれています。(その繰越金が修繕積立金となる感じ?)

 現在、繰越金は2~300万円といったところです。
 まあ・・・毎月@2,000円では、収支トントンでしょうね。繰越金はあまり増えないのでは?と思います。

30年超えると・・・

 Aマンションの機械式駐車場設備は屋内に設置されていますが、一部天井部分に開口があったり、壁面の採光部がネットになっていたり・・・雨ざらしになる部分もあります。
 パレット等は・・・「亜鉛メッキ仕上げ」(=錆に強い)ではなく「塗装仕上げ」(=3~5年毎に錆落とし&再塗装が必要)なのですが、きちんと実施はされていません。
 また、電装系もモーターもチェーンも歯車も落下防止装置も・・・全て更新されていません。
 機械式駐車場設備のメンテナンス報告書には、(最も評価の悪い)D判定がずら~っと並んでいる始末です。

 特に深刻なのはパレットの錆状況で・・・報告書には「一部のパレットでは錆によりパレットに穴が開いている。パレット交換を推奨する」などと書かれています。
 なおパレット交換って、とんでもない工事で・・・たぶん1パレット100万円以上必要だと言われています。

だけど・・・大きな更新工事は無理かも?

 いち早く大掛かりな修繕を行なわなければならないけれど・・・それは、現状では無理です。お金がない(不足している)からです。

 おそらくパレットの錆落とし&塗装工事(1パレット10万円くらい?)をするだけで、1千万円近くの費用が必要になるでしょう。
 かといって・・・このままの放置は、機械式駐車場設備の駆動系や電装系の故障リスクがドンドン高くなっていきます。

 最悪なパターンは(パレット等の錆がより進行して)機械式駐車場設備の強度低下を招いてしまい、危険すぎてパレットに駐車できなくなる(または事故が起きてしまう)ことかな?

できない最大の理由は、他にある?

 極端な話・・・お金(修繕費)は、共有者から一時金で集めれば良いのです。
 私が思う最も大きな理由は・・・「共有者間の合意形成が取れないこと」だと思っています。
 これまでの民法では、全員合意されない限り・・・分譲駐車場の管理団体を結することもすら困難だと思います。

 何故そう思うのか?それは、次回にお話したいと思います。  (つづく


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