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民法改正「共有」のお話(6)

 これまでAマンションで分譲され30年以上放置状態の「機械式駐車場設備」の管理についてお話してきました。
 放置状態なのだけど100名も共有者が居られるので・・・「現行民法」では、その管理を行なうことが難しいです。管理を行なうための「共有者間の合意形成」は事実上不可能だからです。

 でも、もしかすると2023年4月1日に施行される「改正民法」が使えるかも?ということで・・・今回から、その話をしたいと思います。

本シリーズのブログはこちら・・・
   民法改正「共有」のお話(1)
   民法改正「共有」のお話(2)
   民法改正「共有」のお話(3)
   「
民法改正「共有」のお話(4)
   民法改正「共有」のお話(5)

「共有」ルール改正の背景

 現行の「民法」でも「共有」の原則的なルールは明文化(明確化)されていますが・・・
 これまでお話してきたとおり、具体的なルール適用の解釈は、現場に委ねられていました。(言い換えれば「不明瞭」)

 そうした背景によって(本当は有効に活用できるのに塩漬けせざる得なくなる)「所有者不明土地問題」が発生していました。

「所有者不明土地問題」とは?
 所有者が死亡してもその相続登記がされないこと等を原因として、登記簿を見ても所有者が直ちに判明せず、又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地が増加し、民間の土地取引や公共事業を妨げたり、近隣に悪影響を及ぼしたりする問題をいいます。
 現実的に・・・遺産分割未了の「遺産共有地」等で、不動産登記簿等をみても所有者が直ちに判明しなかったり、判明しても連絡がつかなかったりしたため、共有物の管理や共有関係の解消等が難しく、当該土地が塩漬けになっている問題が多発しています。

追伸 マンションの区分所有者が、この状態になると超やっかいなのです。その話(実録エピソードの紹介)は、別のシリーズで後日します。

 2023年4月1日施行される「改正民法」での「共有」ルールの変更(明確化)は、遺産分割未了の「遺産共有地」等が多発している問題を解決するために行われたようです。
 つまり、「共有関係」にある所有者不明土地の円滑な利用・管理ができるように見直しが行われた!ということです。
 
 なお遺産分割未了になるのは・・・
 相続人全員が相続放棄するケースもありますが・・・「共有関係」が原因になる以下のケースも考えられます。

「共有関係」による遺産分割未了原因の例
  ① 共有者が多い
  ② 遠方在住の共有者がいる
  ③ 行方不明の共有者がいる

「共有」の基礎知識

 ここから、ちょっと専門的になり・・・弁護士でもない私がまとめるのは、ちょっと荷が重いのです。
 でも、それなりにまとめてみますね。

「民法」の「共有」の種類

「共有」の種類
  ①「狭義の共有」(「遺産共有」+「通常共有」)
    ・「遺産共有」=相続を契機に発生する共有
    ・「通常共有」=相続以外の売買契約等で発生する共有
  ②「合有」
  ③「総有」

※ 以前もお話しましたが・・・
  ①+②+③を合わせて「広義の共有」と言います。

 「共有」には・・・以上3つの種類があります。(それぞれの説明は以下のとおりです)

「狭義の共有」とは?
  一般的にイメージする「共有」を指します。同一の目的物(=共有物)に対し共有者は、それぞれ有している持分を自由に処分できるし、いつでも分割請求できます。
(例:「土地」、「建物」、「動産」、「株式」等)

「合有」とは?
  共有者は、原則持ち分の処分も分割請求もできませんが、脱退時に持ち分の払い戻し請求は可能な共有のことです。
(例:何人かで出資して作った「組合」)

「総有」とは?
 共有者は、持ち分の処分も分割請求もできないし、脱退時の持ち分払い戻し請求もできない共有のことです。
(例:「町内会(自治会)」)

 今回の「改正民法」では、「狭義の共有」(「遺産共有」+「通常共有」)にメスが入れられたのですが・・・今回は、ここまで!
 次回は。より具体的に「改正民法」を語りたいと思います。
  (つづく

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