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本革のシステム手帳を作ってみたら「欲しい」と言ってくれた人が現れた話〜持ち歩こう、角を立てないモノづくり〜

ある日、ふと思いついたんです。

「空想あったらいいな文具」

と。
そんな楽しげなワードをある日、思いつきました。

私は文房具が好きで、革製の文房具をよく使います。
その中で
「あぁ。こういうの、こういうの!」
と、唸らさられる製品とも出会います。

しかし、私の生活に合わせた文房具って無くね?
そりゃあそうです。
私が中心に世界が回っているわけではないのですから。

「じゃあ、なんか考えて作るか。欲しいモンは自分で作りゃあいいじゃん。」

それが
「空想あったらいいな文具」
の始まりだったように思います。

さっそく何を作ろうか考えます。
自由研究は苦手だったので、いざ「好きなものを!」と考えると思考停止します。

考えた結果、レザークラフトを趣味でポチポチやっていたので、革製のシステム手帳を作ってみました。
バイブルサイズのやつ。
カタログまで作ったのよ。

以下にカタログを貼ります。(8ページあります。)

表紙(1/8)
2ページ目(2/8)
3ページ目(3/8)
4ページ目(4/8)
5ページ目(5/8)
6ページ目(6/8)
7ページ目(7/8)
裏表紙(8/8)

完成
単純に手を動かして何かを作るというのが楽しかったです。
我ながらよく出来ていると思っています。
カドを落とした事によりカドがヨレる事も、ペロンペロンになる事も回避しやすくなります。
そしてバインダー金具はドイツ製でKURAUSEという会社のもの。
このバインダー金具、手帳界隈では壊そうとしても壊れない最強の金具。と、呼ばれているらしく、かなり頑丈です。
そして装着方法が特殊です。
制作していて
「そりゃあ壊れないわけだ」
そうつぶやきました。

「いやぁ、ボチボチ楽しかったな。テストで使っていこう。」
そう思い日常使いをしていました。
そしたら世の中には奇特な人が居らっしゃるもので。
モノづくり系の人に現物とカタログを見ていただく機会がありました。

「Nakasoneが作ったの?売ってたりする?」
「あ、はい、まだテスト段階ですがお作りすることはできます…」
「いくらくらい?」
「15,000円で考えています。金具だけで3,000円とかするので…」
「うーん。ちょっと考えさせて。」
「ありがとうございます、よろしくお願いします。」
「ちなみに、どれくらい使える?」
「経年変化を味と捉えていただけるのであれば長く使えると思いますよ。ハードユースに耐えられるよう、ブーツくらいの厚さの革を2枚重ねにして使っていますし、金具はぶっ壊そうとしても壊れませんでしたし、留めておくクリップも汎用品が使えますし、ホツレても縫い直しがしやすいような縫い方をしています。」
「マジか。やるな。いいじゃんそれ。」
「でしょう。」
「ちなみに、デメリットってある?」
「そうですね、本革なので傷やスレは付きやすいです。水や熱にも弱いのでシミとかができやすいですね。ただ、ソレを味と捉えていただけるのであれば、それなりに長く使えると思います。合皮みたいにポロポロ剥がれることはありませんし、定期的にメンテナンスしていけば、長く使えると思います。」
「作るのどれくらいかかる?」
「素材の手配からなので、2週間でどうでしょうか」
「え、15,000円で利益出てる?手間賃とか入ってる?」
「いや、手間賃入れると、手が遅い人が儲かるので、手間賃は固定にしてます。私は手が遅いですし。どこかで売っているわけでもありませんし。」
「手間賃入れるといくらくらい?」
「うーん。○○○○○円くらいでしょうか」
「分かったよ、また連絡するわ」
「よろしくお願いします」

後日その人から正式に依頼を受け、制作を開始しました。
私は、やれる限り一生懸命に制作しました。
革を縫えるミシンはないので、1穴づつ穴を開けて1穴づつ縫いました。
後日、完成した連絡をし、その人と会うことになりました。

「スゲーこれ。君すごいな。明日から使うわ。」
「ありがとうございます。気に入ってくれたようで嬉しいです。」
「いや、コレは気にいるやろ。」
「使い倒しちゃってください。色が深くなって光沢が出てくるハズです。」
「そうなの?」
「はい、革用のオイルを入れたり、日光浴をさせると経年変化していきますよ。ストッキングで磨く人もいるみたいです。」
「おもしろいな、それ。もし傷んできたら連絡していい?」
「もちろん。」
「じゃあ、またよろしくね」
その人は、少し色が付いた額を渡してくれました。

「自分が欲しいモノ」を作ったという入り口から誰かに"必要とされるモノ"が作れたようで、ものすごく嬉しかったです。
もう、それだけ嬉しかったです。

代金を戴けたのは大変助かりましたが、それ以上に誰かの役に立てたようで、本当に嬉しかったです。
必要としてくれて、お金を払ってもいい。と、思ってくれた事。
その思いに(たぶん)応えられた事。

色をつけていただいた分はありがたく使わせていただきましたが、私の経験で信用のできる革用のオイルを後日、進呈させていただきました。

「これ、長く使えるように。革用のオイルです」
「うわ、こんなのあるんか」
「布とかでもいいんですけど、手に付けて塗ると体温で革に浸透しやすくなりますよ」
(突然オイルのフタを開けて塗り始めるその人)
「おお、色が濃くなった!」
「行動的ですね。しばらくすると色は戻りますが少しづつ濃くなっていきます。塗った後は明日くらいに拭き取るとベストです!」
「分かったよ、ありがとうね」
「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございました。ぜひ使い倒してください!」

次に会った時にはブラシを渡したいな。とか思っています。
それくらい嬉しくて。
興味を持ってくれて、依頼してくれて、作って、手にしてくれて、喜んでくれて。
本当に嬉しかった。
やりすぎだったかもしれないけれど、私がされて嬉しい事のお裾分けくらい、させてくれ。

もし、ここまで読んでくれたあなた、このシステム手帳に興味を持ってくれましたら、コメント欄に感想や改善点など、ご意見を寄せてくれたら幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
嬉しいです。

ではまた。

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