わたしの本棚85夜~「女帝 小池百合子」
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わたしの本棚85夜~「女帝 小池百合子」

 すごい本でした。読み終えて、むなしさを感じてしまいました。ここまで書くか、と。女性が働くこと、働いて権力をのぼりつめるのは大変なことです。わたし自身は、小池百合子さんに対して、ブラウン管の中での作られた顔しか知らないせいか、そんなに嫌悪感はなかったです。むしろ、女性初が続く人なので、応援していました。コロナ禍でも毎日、東京の状態をメデイアに伝え、正月も返上して知事の仕事をされている姿に、発言内容より先にご苦労様と思っていました。この本は、去年、ベストセラーになり、映画の友人がSNSで著者を褒めており、別の友人たちの間でも話題になり、女性にとって働くこと、「はたらくってなんだろう」に関して思うことがあって読みはじめました。

☆女帝 小池百合子 石井妙子著 文藝春秋 1500円+税

 ノンフィクションの形をとっており、あとがきに「ノンフィクション作家は、常に二つの罪を背負うという。ひとつは書くことの罪である。もうひとつは書かぬことの罪である。後者の罪をより重く考え、私は本書を執筆した」とあります。巻末に、夥しい数の資料、参考文献、記事が載っており、多分、ここに書かれていることは、事実だと思います。十分な取材に裏打ちされている事実に対しての作者の思い、推測が書かれています。繰り返されるのは、小池百合子さんの学歴詐称と、嘘つき、秘密主義、男性にモテてその人脈で権力を勝ち取ったこと(仕事はできない、アラビア語は堪能ではない)芦屋出身だけどお嬢様でない、従妹との比較、顔のあざのコンプレックスなどのエピソードです。

 政治能力や語学能力については、一介の主婦であるわたしは、著者のように判断する能力はないですが、三浦瑠麗さんが下記で書かれているように、女性だからここまで書かれなければならないなら、少し気の毒でもあります。https://president.jp/articles/-/36581?page=1

 この本の怖いところは、男性の目線なら見えないところを、おおめにみてくれるところを、容赦なく、作者が指摘しているところです。そして、おそらく事実であることです。(真実かどうかはわからないですが)

 得にになる人とだけつきあう、とか、秘密主義なところ、偉い人とは人脈をつくるためにご一緒したら写真をとって贈ってあげるのを習慣にしている、とか、女性のともだちはいないとか。読み終えて、こういう女性だったんだ、と少し失望しましたが、そんな過去の所業や人格より今の仕事、女性が働くことに対する評価をもしてあげてほしいと思いました。

 小池さんも、もう少し早い段階で、自分の本当の姿を、弱さの部分を、アピールすればよかったのに、とも思いました。正直に学歴を話したり、苦しい家庭環境を自ら話しておれば。もっとたくさん、応援しようと思う人が出てきたはずですし、少なくとも、こんな形で過去が暴かれなかったと思います。小池さんにとって、働くって何だったんだろう。有名になることだけではなかったはずですし、お金を得るだけでもなかったと思います。

 小池百合子さんは、母に「戦前に育った自分は自由に生きることができなかった。あなたは女性でも好きな時代に生まれたのだから」と、仕事を持ち自立することを強く勧められたそうです。中東の地に留学し、帰国後はアラビア語のできるキャスターとして活躍し、政治の世界へ転身し、女性初の東京都知事として働く・・・。たえず国民の視線が注がれ、過去の行動までが物議を呼ぶのは、女性が知事として働くことと無縁ではないと思います。

 はたらくってなんだろう、って言葉、小池百合子さんなら、どう答えてくださるでしょうか。本を読み終えたあと、聞いてみたいなあ、と思いました。

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本、映画、音楽、俳句、生活で自分が感じたことを少しづつ書き留めていきたいです。『蜜柑の恋』(創風社出版)。共著・編に『坪内稔典100句』(創風社出版)『朝ごはんと俳句365日』(人文書院)『俳句の杜2019』(本阿弥書店)など。<#読書の秋2020にて、日経BP賞受賞>