見出し画像

「北八ヶ岳周遊(冬季)」 △登山の魅力△(0017)

雪山登山の初心者入門コースとして有名な北横岳(八ヶ岳)を中心とした北八ヶ岳一帯の山域を雪のなか巡るルートです。
(本記事/ 文字数:約5000字、読了:約10分)


<概要>

山域名: 北八ヶ岳 (きたやつがたけ)
所在地: 長野県茅野市
北横岳は南峰と北峰に分かれる。ロープウェイ山頂駅から登る場合は南峰が手前。
山頂は見晴らしが良く、北に蓼科山、南に南八ヶ岳の連峰がよく見渡せる。 遠方には南アルプスと北アルプスを望むことができる。
北横岳の標高は約2480m。縞枯山は約2403m、茶臼山は約2384m。

<北八ヶ岳の魅力>

(1)登山の初心者・初級者でも安心して歩ける周回ルート
北八ヶ岳の北横岳から白駒池の間はとくに大きな難易度・危険個所などもなく道標も整備されており比較的わかりやすい登山道なので八ヶ岳の入門コースとして初心者・初級者も楽しむことができると思われます。
(2)八ヶ岳の魅力を凝縮したような自然
北横岳山頂からの眺望、シラビソなどの針葉樹の森や”苔の三大聖地”にも挙げられることがある苔の大地などは八ヶ岳の魅力をコンパクトにまとめたさながらPRパンフレットのような趣があります。自然をゆっくりと楽しみたい方は山小屋で過ごしてみるのもいいかと思われます。

 

<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)。
北横岳と白駒池、その間の縞枯山・茶臼山を周遊するルート
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅→ 北横岳ヒュッテ(60分)→ 北横岳(10分)→ 北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅(60分)→ 五辻(30分)→ 出逢いの辻(10分)→ 大石峠(30分)→ 麦草ヒュッテ(10分)※宿泊 麦草ヒュッテ→ 白駒池(30分)→ 白駒池一周(40分)→ 麦草ヒュッテ(30分)→ 大石峠(15分)→ 茶臼山(50分)→ 縞枯山(40分)→ 縞枯山荘(40分)→ ロープウェイ山頂駅(15分)
コースタイム: 1日目/約3時間30分、2日目/約4時間30分
標高差: 約250m(ロープウェイ山頂駅/2230m、北横岳/2480m、縞枯山/2403m、麦草峠/2120m、白駒池/2115m)

[登山道の特徴]
ロープウェイ山頂駅から北横岳ヒュッテまでは樹林帯ですが、その上が森林限界になります。
北横岳ヒュッテから上は傾斜が強くなります。
北横岳へは軽アイゼン(6本爪)でも山行は可能ですが、前爪付の10本爪以上のアイゼンの方が安心して歩けます。
ピッケルは必須ではありませんがストックがあった方が安心です。
北横岳の山頂は強風が吹くことも多いので、バラクラバ(目出し帽)や顔を幅広く覆うことができるネックウォーマーなどがあると安心です(凍傷防止のため)。
山頂駅から縞枯山荘までの間の森はスノーモンスターのように樹氷が形成されることもあります(その季節のコンディションによる)。
白駒池は冬季には全面結氷しますので、その場合は湖上を歩いて渡ることができます(結氷の状況や期間はその年により異なる)。
北横岳、縞枯山、茶臼山、麦草峠、白駒池の間の縦走コースはピークを越えて登り返すため起伏があります。
道標も整備されており登山道は比較的明瞭です。雪山の場合は雪で登山道が分かりにくい場合もありますが、たいていの場合、トレースが付いていることが多いです(新雪直後は別)。
高見石小屋から渋ノ湯方面に抜けることができますが、ホワイトアウト時には途中にある賽の河原では方向感覚を失いかねないので要注意です。
渋ノ湯にはバスがあります(茅野駅行き)が本数が少ないです。
●水場やトイレなど
登山道上に水場はありません。
トイレはロープウェイ山頂駅やルート上の各山小屋にあります。

[難易度・危険個所など]

とくに大きな難所や危険個所はほとんどありません。
雪山登山の場合、雪崩の頻発箇所はほとんどありませんが、そのときの積雪状況やコンディションで異なりますので注意は必要です。また稜線を歩く場合は雪庇、見晴らしの良い場所での岩と雪の境目に注意が必要です。踏み抜くと滑落の危険があります。
●信州 山のグレーディング
北横岳
体力度: 1 (1→10 低→高)
難易度: A (A→E 低→高)
北横岳~白駒池
体力度: 5 (1→10 低→高)
難易度: A (A→E 低→高)

[アクセス]

JR中央本線「茅野」駅から北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅まで路線バス(アルピコ交通)で約60分。冬季も運行。
《補足》
メルヘン街道(国道299号)を通行するバス路線は冬季は運休です。
茅野駅西口にあるバス乗り場そばにある乗車券売り場で乗車券を購入します。
アルピコ交通の路線バスではパスモやスイカなどの交通系ICカードは利用できません。

[国土地理院地図]

北八ヶ岳ロープウェイ

[コースマップ]

北八ヶ岳ロープウェイからコースマップが提供されています。なおコースタイムは無雪期登山の場合です。
北八ヶ岳ロープウェイ ※公式サイト

<こんな方にオススメ>

(1)雪山登山初心者でこれから本格的に始めたい
(2)雪山登山を本格的にするつもりはないが軽アイゼンなどで雪山登山の触りを楽しみたい
(3)八ヶ岳の本格的登山の入門として八ヶ岳の自然に触れてみたい

 

<補足情報>

[売店等]

北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅
各山小屋

[入浴施設]

「親湯温泉」(しんゆおんせん) ※公式サイト
「蓼科温泉共同浴場」 (蓼科高原観光ガイド)
「小斉の湯」(こさいのゆ) ※公式サイト
「蓼科グランドホテル滝の湯」 ※公式サイト
「ちのステーションホテル」 ※公式サイト 茅野駅そば

[お食事処]

「北八ヶ岳ロープウェイ・バーベキューガーデン」 ※公式サイト
 ※山麓駅併設(土日祝のみ営業)。ほかに館内レストランもあります。
「ベーカリーレストラン エピ」 ※公式サイト
「そばのさと」 ※公式サイト 日本蕎麦/茅野駅
「さくらさく」 ※公式サイト 馬肉料理/茅野駅

[山小屋などの宿泊施設]

※冬季営業の小屋
「北横岳ヒュッテ」 北横岳山頂直下 ※公式サイト
「縞枯山荘」 ※公式サイト
「麦草ヒュッテ」 麦草峠 ※公式サイト
「白駒荘」 白駒池湖畔 ※公式サイト
「青苔荘」 白駒池湖畔 ※公式サイト
「高見石小屋」 ※公式サイト

[付近の山]

蓼科山
天狗岳
にゅう

[名産品]

コケモモの加工品(ジャムなど)
野沢菜漬け
七味唐辛子(八幡屋礒五郎)
ご当地カントリーマアム、プリッツ、ポッキーなど

[お天気情報]

北横岳/山の天気 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

北横岳ヒュッテの夕食は馬肉のすき焼きが多いです。
白駒荘は火事で焼失しましたが、2018年に建替えられたので新しくなりました。お風呂があり通年利用可能です。
高見石小屋は軽食の揚げパンが有名です(数種類あり)。また朝食はパンです。高見石小屋では星空観察会を開くことがあります。
麦草ヒュッテのお風呂は冬季は入浴できません。
山小屋によってはスノーシューのレンタルサービスあり。
●茅野市観光案内所
茅野駅の駅ビル内にある観光案内所。各種観光パンフレット等あり。
リンク先: 長野県公式観光サイト (長野県観光機構)
●ピラタス蓼科スノーリゾート (※公式サイト)
 ※スノーシューコースマップあり。スノーシューレンタルサービスあり。

 

<私的な雑感>

雪山初心者の入門コースとして有名な北横岳は、日帰りの雪山講習会などでもよく利用されています。 しかし、せっかくの雪の八ヶ岳に来たのであれば、もったいないですので周辺を歩いて冬の山小屋に泊まってみるのもいいのではないでしょうか。

ロープウェイ山頂駅から北横岳へは多くの人が訪れますが、縞枯山荘を過ぎて麦草ヒュッテや白駒池の方まで足を延ばすとぐっと訪れる人の数は減ります。 難所も危険な場所もほとんどないですし、ロープウェイ山頂駅や各山小屋も比較的近いので安心して雪山歩きを堪能できるのではないかと思われます(もちろん油断禁物ですが)。

夏には苔むした静かな森歩きが楽しめますが、冬にはよりいっそう静かな森を感じることができます。 雪が降り積もった森の中を音もなく、ほかの生き物たちの気配もかんじることもなく、しずしずと歩いていきます。 ソロならばちょっとした孤独感をむしろ楽しむことができるかもしれません。

白駒池は完全結氷しますので、シュラフマットなどを敷いて寝転べば満天の星空を眺めることもできます。 まさに天然のプラネタリウムといった趣でしょうか(晴れていれば…)。

 

<備考>

●北横岳の名称
「北横岳」の正式な名称は「横岳」ですが、南八ヶ岳にも「横岳」(赤岳と硫黄岳の間)があるので、区別するために「北横岳」と通称されています。

<参考サイト>

八ヶ岳観光協会 ※公式サイト
茅野観光ナビ ※公式サイト
ちの旅 (ちの観光まちづくり推進機構)
アルピコ交通/路線バス ※公式サイト
北八ヶ岳ロープウェイ ※公式サイト
長野県山小屋情報ポータルサイト「八ヶ岳」 (長野県)
長野県警察山岳情報 ※公式サイト
茅野警察署 ※公式サイト
八ヶ岳山岳ガイド協会 ※公式サイト
山と高原地図33「八ヶ岳」 (昭文社)
信州 山のグレーディング (長野県)
長野県雪崩危険個所位置図 (長野県)
日本雪崩ネットワーク ※公式サイト


<関連記事>

北八ヶ岳周辺の登山に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳  0035/金時山
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032大菩薩嶺
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
0006/赤城山  0008/大楠山  0018/一ノ倉沢(冬)  0021/男体山(日光)  0025/那須岳  0031/鳴虫山  0034/戦場ヶ原  0036/奥高尾縦走路
[東海]
0016/城ヶ崎海岸  0019/幕山  0027/沼津アルプス
[山梨県そのほか]
0022/三つ峠
[長野県そのほか]
0029/黒斑山
[その他の地域]
0002/雨飾山  0003/宮之浦岳  0012/大杉谷~大台ヶ原  0015/苗場山

 

<ご留意点>
(1) URLはリンク先の運営方針等によりリンク切れなどになっている場合があります。ご容赦ください。
(2) 詳細な情報等はリンク先へご確認、お問い合わせ等をお願いいたします。
(3) 各項目は本運営者の自己の裁量で掲載させていただいております。なお、リンク先およびその記載情報等について、正確性、信頼性、安全性、有用性や合法性等を保証するものではございません。また、本ページへの掲載は、運営者のリンク先の掲載情報への賛意等を意味するものではございません。ご理解ください。
(4) 本ページの掲載内容は、諸般の事情により運営者の判断で変更されることがございます。ご了承ください。
(5) サービス改善や向上などのご意見等がございましたら、お聞かせいただければ助かります。よろしくお願いいたします。
(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2021/12/28 上町嵩広  改訂:2024/02/04)

この記事が参加している募集

#山であそぶ

1,808件

#一度は行きたいあの場所

50,536件