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【川柳十句】響(きょう)
スパンコールの眼は薬莢にあらず 星
苦ければレモンの鼓膜ひとしきり
数えきれない己 三面鏡の密
かなしみが先に染みれば夏馴染む
効率の良いマーチ、僕は春じゃない
履きすぎた靴揃えずに満ち足りる
譜面台ばかり林立して裸足
アルペジオダークモードに滑る泡
ふきだしのノズルなんにも消毒しない
初雪の結晶 奥歯はヒビ、叶い、
/とわさき芽ぐみ 2021.3.1
川柳六句(Twitterより)
マーガリン溶けて雨音情けない
あがいてもただ白い月、白い嘘
まばたきをしても変わらぬ元素記号
電源を抜いて明日が未知になる
ガラクタの中にもあった楽を吸う
階段に注ぐ光を裾上げす
/とわさき芽ぐみ
シャーベット状の奇跡を蒔いて夏
シャーベット状の奇跡を蒔いて夏
許すなら今だと思う積乱雲
許されるまで前髪を伸ばしてる
地下鉄のひとぬるい風が吹き荒ぶ
大声で夢の出口を尋ねをり
パーカの紐の結び目頑なで
五十音順に並べた夢がある
留守番の犬がわたしに吠えたてる
東京よ それはあなたもおなじこと
恐る恐る踏み入れる一歩メガドンキ
メガドンキ水槽前の記念撮影
齢にじゅうほにゃらら、渋谷をよろめけり
/とわさき