怒羅獲者・その7・朝飯はやっぱり米だよね!の巻
街は夕闇になり、ひっそりとスナック野火の看板の火が灯る。野火珠子はこの店のママだ。とはいっても、従業員は誰もいないが。カウンターで珠子はウイスキーのボトルを取り出すと、お客が来るまでの間に飲む、自分用のハイボールを作り始める。最近は若い人達の間でもハイボールが流行っているようだ。ハイボールを飲みながらあの頃を思い出す。ずっと若かったあの頃の事を、あの人に出逢ったあの頃の事を。珠子が生まれたのは熊本のいなかだった。トマト農家をしている両親と少し歳の離れた二人の兄に囲まれて育った