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怒羅獲者・ その2・叶えてお願い怒羅獲者の巻

小さな頃僕等は、夜の公園のジャングルジムの上でいつもそんな話をした。それは幸せの話だったと思う。僕には幸せがどうゆう事なのかわからないが、僕も大きな白い家に住めば幸せになれるだろうか。僕も白い子犬たくさんを飼えば幸せになれるだろか。子供の頃から、欲しいと思える物も僕には無かった。なにか気になった物は、店から持ってくればよかった。見つからないように。でも、持ってきても、だいたいすぐに捨ててしまった。とくに欲しい訳じゃなかったから、捨ててしまうのだ。だから武志や巣寝夫から、何かを持ってこいと言われても、僕にはそれしか出来ない訳だからしょうがないと思う。それに、僕は馬鹿だけど武志や巣寝夫に何かをやれと言われるのが、嫌ではない。殴られるのは嫌だけど。僕の何も書かれていない学習ノートの最初のページに、マジックの殴り書きで、押し入れの虎の名前が書いてある。 「怒羅獲者」怒羅獲者は「さぁ、願を書け!」と言って、押し入れに入ってしまった。僕はここにどんな願を書けばいいのだろう。きっとなにか。なにか、素晴らしい事を書けたら良いと思う。なにか素晴らしい事を。あの頃、公園のジャングルジムの上に登って僕は何を願ったのだろう。思い出せないけれど、それが叶えばいいな。その2・叶えてお願い怒羅獲者の巻#怒羅獲者

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