怒羅獲者・伸太と狂人教団・その1 必需品のお店現る!!!の巻

Love~♪Love~♪Love~♪
この胸に~♪
Love~♪Love~♪Love~♪ 伸太は走り出していてた。鼻歌を歌いながら。静華ちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶ。今度の静華ちゃんの誕生日に、このプレゼントならきっと喜んでくれる。

週末、伸太はいつもの空き地にいた。
邪意暗の集会があったのだ。
帰り際、巣寝夫が話しかけてきた。なんでも町外れに、とても変わった雑貨屋が出来たという、店の名前はニードフル・シングス。巣寝夫が言うには、外観からとても変わっていて、この間出来たはずなのに、もう何十年も前からそこにあったかのような、古めかしい造りらしい。
伸太は静華ちゃんの誕生日に向けて、何か気の利いた物をプレゼントしたいと思っていたので、その風変わりな店を訪ねてみることにした。

邪意暗の後だったので、所持金は一万円しかなかったから、これだけで買えるだろうかと、伸太は少し不安を感じながら雑貨屋ニードフル・シングスの前に立った。巣寝夫の言っていたとうり、外観は古めかしく、何処と無く人を寄せ付けない雰囲気が漂っていた。伸太は意を決して、扉を開いた。チリンチリンとドアの脇についた小さなベルが鳴るが、誰もいないかのように店内は静まり返っている。勇気を振り絞って「すいませーん、誰かいませんかー!」と声をかけるが、返事はない。店内は少し埃っぽく、なんだか厳めしい雰囲気の骨董品のような商品が、雑然と置かれている。何処かの部族の奇抜なお面や槍。遺跡から掘り出されてきたばかりのように、土の付いた大量の指輪やネックレス等の調度品のような物や、図鑑か何かで見た事があるような、翡翠のお面。大分昔の野球カードの束、ガラスケースに入っていて法外な値段の付いている、ただの朽ちかけた木片のような物。
置いてある商品達はどれも異様で、風変わりな物ばかりだ。何となく、落ちつかなさを感じながら、伸太は調度品のような指輪やネックレスの類いを見ていた。

その中に気になった、変わった形のネックレスがあった。十字架の形をしているが、三辺が鍵のような造りになっている。正面の中央には、アダムとイブらしき半裸の男女が、真ん中の木の実に手を伸ばしているレリーフが彫ってある。 「それが気に入ったか!」 突然、何処らからか声が聞こえた。ずっと誰もいなかったのに、まるですぐ側でずっと見てたかのような感じがして、伸太はぶるっと背筋が緊張した。
店主らしき男は珈琲を片手に持ちながら、伸太の事をじっと見つめ、店の奥から姿を表した。店主の人を射抜くような、遠くで、相手を商品のように値踏みするかのような独特の眼光に、伸太は背中にうっすらとねばっこい汗をかいた。
少し上ずりながらも伸太は声を出した。
「これはいくらですか?」
店主は、ゆっくりと伸太のほうに近づいて来ながら、ゆっくりと珈琲をスプーンでかき回し、伸太の隣までやって来ると、耳元で囁くように言った。 「いくら持ってる?」 伸太は金切り声のように高い声で、所持金は一万円ですとなかば叫ぶように言った。すると店主は、舐め回すように伸太の事を見続けて。暫くすると口を開いた。 「なら、それでいい…」 一刻も早く店を出たくなった伸太は、一万円札をガラスケースの上に叩き置くと、ネックレスを掴んで、脱兎の如く店を出た。なんとも異様な店だったが、家に帰りつく頃には伸太は上機嫌になっていた。この、風変わりなクロスのネックレスを、きっと静華ちゃんは気に入ってくれるような気がしたからだ。

家に着くと、怒羅獲者は押し入れの中で寝ていた。伸太は嬉しくて、風変わりなクロスを寝転んでいじくり回していた、するとカチリと音がした気がした。
しまった!壊したかもしれないと思った伸太は、焦ってさらにいじくり回してしまった。すると、ガチッ!と音がして、クロスの裏蓋が開いた。どうやら、このクロスはカラクリ仕立てになっていて、何かを隠すことが出来る仕組みになっていたようだ。恐る恐る伸太は裏蓋の中を覗くと、くるくると巻かれた、古めかしい紙のような物が入っていた。ピンセットで、ゆっくりと慎重にそれを摘まみ出してみた。触ってみると、どうやら物凄く古い動物の皮のような物らしい、ピンセットを使って広げてみると何やら文字が書いてあるが、伸太には何処の国の言葉なのかさっぱりだった。困った時は怒羅獲者に聞いてみるのが一番だと思った。押し入れの怒羅獲者を起こしにかかった。しかし、怒羅獲者はなかなか起きてこなくて、寝ている怒羅獲者の背中に向かって伸太は、ことの顛末を説明した。すると怒羅獲者は、見向きもせずにこう言い放った。 「スマホ使ってGoogle翻訳でググれ…それで解る……」 あぁ、その手があったかと伸太は思って早速、カメラを使ってその文字を撮ってみた、するとその文字は、古代アラム語だと解った。内容は。 「さぁ、地獄の門を開け渇望せよ!
豹、獅子、牝狼の3匹の獣の見つめる先!赦されたる謝肉の行方!それこそが唯一無二の希望!」 何かの本の内容かもしれないと思った伸太は、その日本語に直した文章をググッてみた。軽い気持ちで…

これが全ての始まりだった。

怒羅獲者・伸太と狂人教団・その1
必需品のお店現る!!!の巻

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