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フィクションとか

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特にお題が無かったりあったりするフィクション置き場。
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#別れ

彗星の夜明けに墓標を

彗星の夜明けに墓標を

音楽も文学も、救いでこそあれど味方ではなかった。

午前4時、空が徐々に白んでゆく。それを、黙って見ていた。夜が明ける。最後の夜が明ける。振り返ると柔く東雲の風が撫ぜて、藤色の長い髪をゆら、と揺らした。心臓が頼りなく脈を打つ。表情の見えない顔は、伺っても覗かなかった。何も言わないで、何も聞きたくないから、それも多分お互い様だ。BPM80。確かないのちだった。歌詞をつけるなら何が似合うだろう、とぼん

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