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「人は今の姿で今からの価値が決まるわけではない」という話

こんにちは!
学がない状態で飲食店店長になり、失態の連続でチームをボロボロにしてしまった経験を生かし、若手社員の成長と学びの促進のための発信を行っている店長のとしです。



先日の投稿の中で軽くお話ししましたが、入社して4〜5年ほどたつ自分の部下が副店長への昇進チャレンジを行い、見事達成しました。

チャレンジスタートの頃はスキルが足りておらず、厳しい状況でしたが、日をおうごとに成長していき、最終的には目標を越えることができました。

とは言ってもギリギリ達成というところなので、まだまだ副店長として足りないところはありますが…



そして、自分のド底辺からのここまでの成長の軌跡と、その部下の成長っぷりを見ていて気づくことがありました。

それは、「人の評価は、その人の過去から現在の出来事ではなく、これから先、未来をどう生きるかで決まる」ということです。

人は過去を経て、現在があるわけですが、ほとんどの人は人を過去から現在までの出来事で判断、評価し、未来にどう成長していくかという、これからの伸び代に関してはあまり検討してくれません。

この人はこういう人だから、と、過去から現在までの実績だけでこれから先の将来についても評価してしまいがちです。

確かにチャレンジの最初の頃の部下を見れば、誰もが副店長チャレンジの達成は難しいと考えていました。それに、約1年前、部下が僕のいる店舗に異動してきた時は、「それで社員が務まるの?」という声すら出ていたほどだったんです。



1年前は社員としての力すら疑われていた部下


当時異動してきた時の部下は、コミュニケーション量も少なく、表情もあまり変わらず、スタッフとのコミュニケーションが取れていませんでした。

事実、周囲のスタッフからは「これで社員なんですか?」と言われていたほどです。

社員に課せられた最低限の事務作業は行えるものの、マネジメントやコーチング、それ以前のスタッフと信頼関係を作るということができていませんでした。

役職を上げていくことについても話をしましたが、「いや、私なんて…」と、副店長なんてまだまだ早いというようなことを言っていたり、役職が上がることに関しては興味を示さなかったことを覚えています。

こんな部下に対して、とてもではないですが、1年後に副店長にチャレンジして達成できるなんて、誰も予想していなかったと思います。僕を除いては。

そんな、見る人によってはどうしようもないと思ってしまうような部下ですが、僕が部下の姿を見て一番に感じたのが、「精神的な強さと誠実性がある」ということです。

課された課題はコツコツ確実にこなし、裏表のない信頼できる人間性を持っているなと感じたことを覚えています。

正直この二つがあれば大丈夫だなと、育成に関して不安はあまり持ちませんでした。あとは持っている経験値を生かせればどうにでも成長はできると思っていました。



段々と成長していく部下、いつしか頼もしい存在に


僕は部下にまず、スタッフとの関わり方を教えました。

どんな時にどういう声かけをして、情報共有はどこからどこまでやって、こういう風にフォローして、こういう言葉を使うと良い、などなど。

また、表情についてや、コミュニケーションの基礎、気遣いがないと言われていた部下に対して、気遣いというものを具体化して分解し、わかりやすく教えたりもしました。

とにかくコミュニケーションを徹底して教えていたのを思い出します。そしてなぜコミュニケーションを重点的に教えていたのか?ということについても教えていました。

それはなぜかというと、前回の投稿でも述べましたが、どれだけ能力があっても、チームで売り上げを取りに行く以上、人を動かせないと意味がないからです。

人を動かすには「この人の言うことなら」と思ってもらえるような信頼関係が必要です。

「数字や現場のスキルやテクニックは二の次でいい。まずはみんなとの信頼関係を築くためのスキルを磨いていこう。」と言って、コミュニケーションスキルを教え込んでいました。

スキルを教え、実践で試してもらい、うまくいくようにフォローを入れる。そうして小さな進捗と達成を実感してもらい、自己効力感をあげるよう努めました。

すると、半年もしないうちに、スタッフの部下に対する印象はガラリと変わりました。明るく喋るようになり、スタッフからの評判も変わり始めていたのです。



異動して10ヶ月での、副店長チャレンジ打診


そして異動して10ヶ月ほどたった頃、スタッフとも明るくしっかりコミュニケーションが取れるようになり、見違えるほど成長していました。

僕はその姿を見ていて、これはもっと成長できると感じ、加速しつつあるこの成長の勢いをさらに強めるには、高い目標設定が必要だと考えました。そして具体的な目標を探していた時に、上の役職へのチャレンジを思いついたのです。

以前役職の話をした時には興味がなさそうでしたが、今なら意欲もあるし、前向きにとらえてくれるだろうと、副店長チャレンジの話をしたんです。

そしたら、少し考え、すぐに出た答えは「やりたいです」の一言。引っ込み思案だった部下は成長を経て思考が前向きに変化し、今までは考えられないようなポジティブな言葉でチャレンジが決まりました。

チャレンジの期間は3ヶ月、課題を設定して、その期間で課題を達成できるかどうかでチャレンジ達成かどうかが決まります。

チャレンジの内容は、売り上げや経費のコントロールを設定することになっていたのですが、僕の部下のチャレンジにおいては、スタッフが部下を評価して、その評価を数値で表せるようにし、目標とする数値を越えることができればチャレンジ達成という内容にしました。

そして評価内容は信頼関係を築けていれば点数が上がるようなものにしました。



下馬評を覆し、チャレンジは成功へ


チャレンジを決めた段階ではスキルは全く足りておらず、このままいけば確実に成功しないというレベルでした。スタッフたちの間でも、応援する声もあれば、このままでは無理でしょうという声もあったり。どちらかというと、副店長はまだ厳しいという見方が多かったです。

しかし僕にはほとんど不安はありませんでした。このままの成長軌道を保てれば、問題なくチャレンジは達成できると踏んでいたからです。

本人にも「このまま正しい努力を重ねれば問題なく達成できるし、努力を怠れば達成はできない。君がやるかどうかだから、そんなに難しいことじゃないよ。」と伝えました。

本人もそれを理解したのか、まっすぐ前を見て努力を重ね、3ヶ月の間にどんどん成長していきました。僕も適時フィードバックを入れたり、フォローを行うなどしてマネジメントを行いました。

そして3ヶ月目の最終評価月、見事に目標を超えてチャレンジを成功させることができたのです。



今の姿が全てではない。評価を決めるのはまだ早い。


比較的スムーズに成長しているように見えますが、本人からするとギリギリの厳しい状況だったようです。僕も部下に対してぬるま湯を用意する方ではなく、ギリギリ超えられるかどうかの壁を用意するタイプなので、裏ではスパルタだと言われていたようですが。笑

しかしそのスパルタにも耐えて、頑張って成果を出してくれた裏には部下との信頼関係がありましたし、何よりも本人の精神的な強さと誠実性があってのことだなと感じます。

こういう部下の姿を見ていると、人の評価は今決まるものではないと思い知らされます。

たとえミスが続き、仕事ができず、どうしようもないコミュ障を発揮してチームをボロボロにし、管理職失格と思われたとしても、その失敗によってその人の評価が決まることにはなりません。

今日はダメでも、明日、明後日、1ヶ月後、1年後、3年後、将来は見違えるほどの成長をとげているかもしれません。

失敗は克服できますし、諦めなければ成長できるものです。

その人の今ではなく、これからどう成長していくか?どう成長させていくのか?を見ていくべきだと思います。

その人の何が悪いのか?ではなく、どう成長していけるのか?について考えた方が、建設的で、生産的だし、なにより未来を楽しみに感じませんか?




それでは、今回はこの辺で。


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