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#30《登校拒否》ピアノ発表会

とうとうこの日がやってきてしまった。

そう、あれは半月前。
まさかのピアノ発表会練習でみんなの前で弾けなかったのだ。

不登校になった理由は、はっきりとはわからないけど、
学校でのお友達との関係だと予測していた私。

優しくて繊細で真面目な男の子くんにとって、やんちゃ(一般的な小学生男子のレベル含む)なクラスメイトはストレスだったのだろうと。。。

なのに、何故にピアノ発表会(しかも練習)もダメなのか?
学校以外に本当の原因があったのか?

いや、、、これはもう、
本当の原因の追及なんて意味がないことなのだ。

実際に学校以外の場面でも影響が出てる。
しかもピアノの習い事は母から見る限り、男の子くんにとって居心地の良い場所のはず。

それなのに。。。


【発表会当日まで】

「出来るかなぁ」
「出たくない」
「弾けたら、、、でいい?」

と、この半月、強気な発言は一度もない。

私は、
『出来るよぉ👍️』
『いいよ、いいよ(出られなくても)』
と、軽く背中を押してみたり、受け入れてみたり。


毎日の練習は欠かさずやっている。

『本番だと思って練習しようね』
『ステージのあちら側にはたくさんお客さんがいるよ』

と、声かけして本番をイメージさせる。

お辞儀をして本番っぽく練習してみる。


発表会の二日前、
「弾いてるとき横にいてほしい」
と。


男の子くんの曲順は
①連弾(母・双子の姉・男の子くん)
②ソロ
③ソロ

男の子くんの前に双子の女の子ちゃんの番で、
女の子ちゃんは自分の出番が終わったら舞台で待っててくれることになってる。

3人で一緒にお辞儀して、
連弾の後のソロは横で見守って、
最後も3人でお辞儀して終えることにして、

これでお願いできませんか?
と、ピアノの先生に急遽の変更を連絡した。



【ピアノの先生】

先生はお二人いて、親子。
お母様先生が長女と双子の女の子ちゃんの先生で、
娘さん先生が男の子くんの先生。

男の子くんが不登校になる前までは、
女の子ちゃんの方が私にとっては悩み(?)の種だった。

我が儘だし、自由だし、自分の気持ち優先だし、気分がのらなかったらやらないし、ノーの時は梃子でも動かないし、気分を損ねた時は3.40分ずっと絶頂に怒るし、居心地の悪いところには本能でかぎ分けて拒否する。
(幼児期の話で小2の今はそこまでではない)

でも、こちらのピアノ教室の先生なら、きっと我が家の女の子ちゃんでも大丈夫、と思ってた。

おおらかで、いつも優しく受け止めてくださる。


今回も不登校になってる男の子くんに寄り添ってくださってる。


今回、《はじめのことば》を、双子で言うことになっていたのだけど、
もしその事によって男の子くん自身の不安が大きくなるようなら、長女が代役でも構わないことを提案してくれつつ、母である私の見解を聞いてくれたり、
(男の子くんにお願いして、ギリギリでダメなら長女にバトンタッチすることにした。)

前回の合同練習で弾けなかった日の夕方、わざわざ自転車で家に寄ってくださり励ましてくれたり、

いつも練習の時に持っていくぬいぐるみを、本番でも持ってきていいよ👌と言ってくれたり、

運動会はどうだった?と、他の行事も気にしてくれたり、

《弾けるかわからない宣言》をしているくせに、本番二日前に印刷済みのプログラムと曲順を変えると言うのをすんなりOKしてくれたり、

ソロの時に舞台袖ではなく、男の子くんのすぐ横に立っていることも、迷うことなく即答でOKしてくれた。

なによりも、本番の出番直前に「出来ません🙅」となるかもしれないことを了承してくれた。

演奏者として、発表会の総指揮として、
舞台の完成度を追及するプロだったら、絶対に受け入れてもらえないことだと思う。
(数年前、双子の女の子ちゃんが本能で拒否したバレエの先生はこのタイプだったな。プロ意識もスタイルも素晴らしい先生だったけれど、ウチの子どもたちは付いていけなかった。)

我が子が誰一人辞めることなく続けていられる、こちらのピアノ教室の先生方は、
完全に《習いに来ている子どもたちが主役》なのだと思う。

正しく上手に弾くこと、
舞台が完璧であること、
ピアノ演奏とはこうあるべき、
みたいな子ども以外のことが主軸ではないのだと思う。

前々から子どもへの関わり方が勉強になるなぁ!と、関わりがある度に思っていたけど、
今回の男の子くんのトラブルによって、より明確になった。

お母様先生ももちろん素晴らしいんだけど、
若い娘さん先生も自然に男の子くん第一の関わりをしてくれてて、
お母様先生にそうやってずっと育てられてきたのだろうな。
っていうのが伝わる。



【ピアノ発表会当日】

張り切ってる底抜けに明るい長女。
お花がもらえることが楽しみで仕方ないマイペースな双子の女の子ちゃん。
不安気な男の子くん。

会場に到着して、
始まるまでに何度トイレに言ったことか(笑)

まずは《写真撮影》があった。
「ステージにあがりたくない」
と男の子くん。
連弾で私も出るので、
『ママも一緒に写るよ?』
が効いたのかどうなのかわからないけど、
何故か呼ばれるとスムーズにステージへ上がって行った。


続いて《はじめのことば》
こちらも母の前では弱気だったけど、
直前の打ち合わせも本番もバッチリ。
短い文だけど、
双子で並んでスポットライトをあびて、
マイクを持って、
堂々と言えました。


ここまでは男の子くんの中で、
前日までは“出来る”と思ってたところ。
(当日は少し弱気なことも言ってたけど)


さぁ、次の《演奏》が問題。
男の子くんは4番目。
3番目に女の子ちゃん。

男の子くん「やっぱり無理、やりたくない」
母『写真撮影も出来ないって言ってたけど出来たね。はじめのことばもちゃんと言えたね。終わった後はどう思った?
演奏もさ、終わった後の出来たねってところを想像してみて。きっと出来るよ。大丈夫、大丈夫。』

何度かこんなやりとりをした。

女の子ちゃんの演奏の終わりを、次の演奏者の席で一緒に待つ。
ここでも弱気な発言はあったものの、
『大丈夫、出来るよ。』
と、私からの声かけ。

これは、もう直前だから、無理でも行くしかない!って感じではない。
前回の発表会練習で出来ない宣言をした時の、今にも心が壊れてしまいそうな表情とは全く違う。
不安を口にしてるけど、背中を押しても大丈夫な感じ。


ステージへ上がる。
3人でお辞儀をする。


自ら進んで歩いているし、
特に不安な足取りには見えない。

無事に連弾が終わる。

少し後ろで私と女の子ちゃんが見守る。
(ソロを横で見守るスタイルは私たちだけです)


練習のときは早くチャカチャカ弾いてしまう男の子くんが、
ゆっくり堂々と、
最初から最後まで同じテンポで、
自信満々に弾いているように見える。

何故に私はここに立っているの?
と思うくらいに。

3人でお辞儀をしてステージをおりる。



【終わってみて】

「もう行くしかない。」
と思ったんだそう。

終わった後は何度も何度も、
「弾けたね、出来たね」
って笑顔で私に言ってくる。

とっても嬉しそう。

正直、私はこのハッピーエンドの想像は出来てなかった。

演奏直前にマイクを通して名前を呼ばれているのに、
出ていくことが出来ず、
隣にいる私は先生に腕でバツ🙅の合図を出して、
会場はザワつき、
良くない注目を浴び、
男の子くんにとって成功体験とならないパターン。
これを何度想像したことか。




良かった。
本当に良かった。

間違いなく自信がつく一つの成功体験になったはず。
なっていてほしい。
うん、なってるよ。
だって、不安な気持ちとずっと戦ってきて、
それを乗り越えたんだもん。

よく頑張りました。
男の子くんと、




私(笑)


ドレスとネクタイとカチューシャ手作りしました❤️

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