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新卒のときに出会っていたかった本たち

子どもが産まれ、物理的に一人になったり出かけたりすることが難しくなった代わりに、本をよく読むようになった。自分でも意外である。お散歩コースにベビーカーで入れる本屋があるということも大きいかもしれない。

娘の昼寝の間、寝かしつけの後、ほんの隙間時間でも、本を開くことで気持ちが切り替わり、リフレッシュになる。

その中で、特に背中を押してくれる、勇気づけてくれるような、自分が社会に出たばかりの頃に出会えていたら良かったなと思った本を2冊紹介してみようと思う。



① 限りある時間の使い方 / オリバー・バークマン(著)

著者はイギリスの全国紙ガーディアンの元記者。
タイトルだけをみると、タイムマネジメント系かな?となるけれど、実際はもっと深いレベルでの気づきと学びを提供してくれた。本書に出てくる投げかけに、常にハッとして胸が揺さぶられるような感覚になった。

  • 食器洗い機やジェット機が生まれても、実際は誰も時間が増えたと感じていない。むしろ生活が加速してイライラしている。

  • 現代では喜びなき切迫感が日々を覆い尽くし、もっとやらなければという焦りが一瞬も消えない。

  • 時間をうまく使えるかどうかが、自分という人間の価値と直結するという時間の捉え方が、人生の難易度を極端に引き上げた。

この本を読んで、いかに自分がTODOリストを消化することばかり考えていたかを思い知れた。やるべきことがたくさん残っている不快感に耐えて、初めて本当に重要なことに集中できるのだ。

「バスから降りるな」というメッセージは、特に心に残った。何かを目指そうとした時、既にその分野で活躍している人たちを見て、気持ちが挫けてしまった経験って無いだろうか。著書はこのことを「たくさんのバスが同じバス停を通ることに気がつき、そのバスから降りてまた振り出しのターミナルに戻ってしまう」のと同じだと言う。バスターミナルから遠く離れるまでバスに乗り続けることで、やがて他のバスが停まらない唯一のバス停に着くのだ。続けることで、やがて唯一無二になれるという例え話である。

本書の中で著者は、「年や経験を重ねてもどうせいつまでたっても手探りで、確信のないまま進むしかない。だからこそ、ベストなタイミングを待つのは終わりにして、尻込みせずにやりたいことから始めよう」と力強く語ってくれる。若手時代に読んでいたらどれだけ勇気づけられただろう。読了後は、自分がやりたいこと、達成したいことを改めて確認して、具体的に踏み出そうと思える。たくさんの気づきと共に、ぐっと背中を押してくれる本。

②「静かな人」の戦略書 / ジル・チャン(著)
騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

台湾で生まれ育ち、アメリカで複数の職場を経験したのち、現在は国際機関のマネージャーとして活躍する内向型の女性である著者が、どのように自分に合った戦略を練ってキャリアを築いてきたかがよく分かる本。

前に出ないことで過小評価されてしまう内向型の人たちに対して「無理に外向型になることも、はったりも必要ない」と言い切り、内向型の謙虚さと思慮深さこそがチームに求められる素質であると力強く語ってくれる。

後半の「内向型は外向型の人と最強のチームになれる」という話は、自分の経験からもとても腑に落ちた。異なるタイプがタッグを組むことで、互いが弱点を補い、得意な分野で存分に力を発揮し、尊敬し合う関係になれる。必ずしも外向型ばかりが求められるわけではないということは、内向型を勇気づけてくれる。

この本に、新卒の時に出会っていたらどれほど心強かっただろう。控えめでアピールが苦手だった自分の特性をもっと前向きに捉え、どのように仕事で活かすか戦略的に考えられたと思う。




若手の時に、もっと早く読みたかった、と書いておいてなんだけど、本との出会いはタイミングが大事だと思っている。

その本を手に取ろうと思えるかどうか、内容が心に響くかどうかは、その人の置かれている状況や、それまでの経験、その日の気分にさえも左右されると思うから。

だから、今この本に出会えて良かった。

4月から新社会人になった皆さん、おめでとうございます。

駅の券売機にスーツを着て並んでいる人たちを見て、心の中でエールを送った。

新しい一歩を踏み出す全ての人が、背中を押してくれるお守りみたいな本に出会えますように。


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