いとも鮮やかに手のひらを返す　～映画「アベンジャーズ」の場合

ソー「どんな事情があるにしろ、ロキはアスガルドの民だ。そしてわが弟だ！」
ソー「……あいつは養子なんだ」

映画「アベンジャーズ」

◆概要

【いとも鮮やかに手のひらを返す】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。

◆事例研究

◇事例：映画「アベンジャーズ」

▶1

本作の主人公の1人・ソー。彼はアスガルド（北欧神話に登場する神々の住む世界）の第一王子である。

一方、本作の敵はロキ。ソーの弟だ。

▶2

ある日、

・Step1：悪党どもを率いて地球に攻撃を仕掛けてきたロキ。

・Step2：それに対抗するために、キャプテン・アメリカやアイアンマンといったスーパーヒーローが集結。その中にはソーの顔もある。

・Step3：ヒーローたちは作戦会議を開いた。ロキの真の狙いは何だろう？彼は次に何をするだろうか？やがてブルースが言った「ロキに惑わされない方がいい。彼はかなりクレイジーなやつだからな」。

・Step4：ブルースの言葉に、ソーはカチンときたようだ。彼は厳しい口調になって「言葉に気をつけろ！どんな事情があるにしろ、ロキはアスガルドの民だ。そしてわが弟だ！」。……ソーは傍若無人なロキに対して怒り、失望している。しかしそれでも兄弟の情を捨てきれぬらしい。

・Step5：ところが、直後ナターシャが言った「ロキは2日間で80人も殺したのよ」。

・Step6：するとソーは口ごもり、そして気まずそうにこう言った「……あいつは養子なんだ」（...He's adopted.）。

▶3

悪人といえども弟である！ソーはロキをかばおうとした（Step4）。ところが、ロキが多くの人を殺したと聞くと「……あいつは養子なんだ」（Step6）。

そう、突如として血がつながっていないことをアピールし始めた。「えっ。そんなに殺しているの！？」「うーむ。こりゃもうかばえない」と思ったのだろう。

「鮮やかに手のひらを返したー！（笑）」「『どんな事情があるにしろ、ロキはアスガルドの民だ。そしてわが弟だ！』じゃなかったのかよ！（笑）」「正義のヒーローのくせに案外あっさりと手のひらを返すんだな（笑）」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。

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