シーンの移行に伴って「背景」は変化するが、「キャラ」は画面の同じ位置で、同じ表情・姿勢のまま→キャラが受けたショックや感動の強さを強調する ~アニメ「Charlotte」の場合
◆概要
【シーンの移行に伴って「背景」は変化するが、「キャラ」は画面の同じ位置で、同じ表情・姿勢のまま→キャラが受けたショックや感動の強さを強調する】は「シーンとシーンのつなぎ方」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「Charlotte」(第1話)
▶1
本作の主人公は、有宇(中3の少年)。
彼は基本的には善人だ。しかし、かなりゲスっぽいところも持ち合わせている。というのも……じつは彼は超能力者なのだが、その能力を世のため人のために使うかというとさにあらず。
テストでカンニングをするのに使う!そして学年主席になる!さらに成績トップでエリート高校に進学する!嗚呼、俗物!!
というわけで、
・Step1:エリート高校に入学した有宇。彼は、学校のマドンナ的存在に目を付けた。白柳さん、あの子こそが僕のカノジョに相応しい!
・Step2:有宇は一計を案じた。そして超能力を使い、白柳さんから好かれることに成功。2人の距離がググっと縮まる。
・Step3:2人は間もなく正式に付き合い始めるだろうと思われたが……ところがここで予想外のトラブルが発生。いろいろあって、有宇は喫茶店で白柳さんから別れを告げられた。彼はショックを受ける。呆然とする「この僕がフラれた!?」。
・Step4:次の瞬間、シーンが切り替わる。おそらくは数日後の有宇の家。有宇はまだ呆然としている(これまで超能力を使って好き放題にやってきた彼は、どうやら打たれ弱いようだ)。
▶2
さて、ご注目いただきたいのは「Step3から4への移行」。
じつはここ、
・シーンの移行に伴って「背景(=有宇がいる場所)」は変化する
・しかし、有宇は画面の同じ位置で、同じ表情・姿勢のまま
……なのだ。
「シーンを跨いでも(=時間や場所が変化しても)有宇は微動だにしない」ということで、彼が非常に強いショックを受け、呆然としているのが伝わってくる。
▶3
ところで。
「有宇が白柳さんといい雰囲気になる→しかしフラれる→呆然とする」というこのエピソード、じつは物語全体から見るとさして重要なものではない。あくまでも、主人公・有宇の人となり(ゲスさ etc.)を私たち鑑賞者に伝えるためのエピソードにすぎないのだ。
したがって制作者視点で考えると、
・Point1:「白柳さんにフラれてショックを受ける有宇」はしっかり描きたい →もしもあまりショックを受けていないように見えてしまうと、「有宇=フラれても平然としているよくわからぬ男」ということで鑑賞者が理解・共感できないキャラになってしまう。しかしそれはまずい。だって彼は主人公なのだ。「有宇=ちょっとゲスだが理解・共感できる奴」でなければならぬ
・Point2:しかし、有宇がショックを受けている描写に時間は割きたくない →本作は有宇と白柳さんのラブストーリーではない。有宇にはさっさと立ち直ってもらい、物語のメインストーリーを進める必要がある
……ということになる。
そこで、【「背景」は変化するが、「キャラ」は画面の同じ位置で、同じ表情・姿勢のまま→キャラが受けたショックや感動の強さを強調する】というテクニックなのだ。そう、このテクニックを使えば、有宇が強いショックを受けていることを「Step3から4へのシーン移行」というほんの一瞬で鑑賞者に伝え得る。
つまり、「有宇が強いショックを受けたこと」をごく短時間で表現するために、【「背景」は変化するが、「キャラ」は画面の同じ位置で、同じ表情・姿勢のまま】というテクニックが使われているわけだ。
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