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エース級のキャラがピンチに陥り、奥の手を使おうとする。しかし部下はそれを制止して、「ここは私に任せてください。あんな連中にあなたが本気を出す必要はない」

黒丸「いいレースだったのだ!」

アニメ「神田川JET GIRLS」(第2話)


◆概要

【エース級のキャラがピンチに陥り、奥の手を使おうとする。しかし部下はそれを制止して、「ここは私に任せてください。あんな連中にあなたが本気を出す必要はない」】は、創作の技術の1つである。


◆事例研究

◇事例:アニメ「神田川JET GIRLS」(第1-2話)

▶1

本作は、「ジェットレース」に青春を燃やす少女たちを描いた物語である。

ジェットレース、それは架空の水上スポーツだ。

一言で言えば「水上バイクのレース」なのだが、①水上バイクには2人1組で乗り込む、②1人はジェッター(水上バイクを操作する係)、③もう1人はシューター(ウォーターガンで対戦相手を攻撃する係)、といった特徴がある。


そのジェットレースの名門校として知られるのが武蔵野女学館。特に、かぐや選手(高3)は超高校級のジェッターとして名高い。

また、かぐやとペアを組む黒丸選手(高3)も一流のシューターだ。


▶2

第1話終盤、<かぐや・黒丸ペア>は、浅草女子高校の<凜・ミサペア>と試合をすることになった

これ、かぐやたちにとっては勝って当たり前のレースである。

何しろ、対戦相手の凜はずぶの素人なのだ。また、ミサは一流のシューターだが、しかし最近は試合に出ておらず大きなブランクを抱えている。そんな連中に負けるはずがない。いや、負けるわけにはいかぬ、というわけだ。


・Step1:レース開始。<かぐや・黒丸ペア>は強い。初っ端から圧倒的な実力を見せつける。

・Step2:ところが……凜には恐るべき才能があるようだ。初めての試合とは思えぬ腕前を発揮!レースが進むにつれて、凜の腕はますます冴えていく。ミサの攻撃も素晴らしい。両ペアの距離は次第に縮まっていった。

・Step3:さすがのかぐやもこれには焦り、やがて本気を出すに至る。ところが、それでも<凜・ミサペア>を引き離すことができない!デッドヒートとなる。かぐやは狼狽の色が隠せない。

・Step4:ゴールが近づいてきた。かぐやは迷う「ブーストを使うべきだろうか……!?」。ブーストとは「走行中にチャージしたエネルギーを一気に放出することで一時的にスピードアップする」という水上バイクの機能である。かぐやはブーストを使わぬことで有名な選手だ。なぜ使わぬかというと、そう、ブーストを使わなくても余裕で勝ち得るからだ。彼女は「ブーストレスクイーン」という異名を持っている。

・Step5:……が、いまのかぐやにはそんな余裕はない。かぐやの指がブーストボタンに触れる。と、その時だった。黒丸がかぐやの肩に手を置いた。そして自信に満ち溢れた表情で「いいレースだったのだ!」。かぐやはそんな黒丸を見て微笑んだ。頼り甲斐のあるパートナーのおかげで落ち着きを取り戻したようだ。

・Step6:直後、黒丸が完璧な精密射撃で<凜・ミサペア>を攻撃。かくして、<かぐや・黒丸ペア>は見事勝利を収めたのだった。


▶3

さて。

かぐやと黒丸はともに高校3年生であり、つまりは同級生なのだが、作中では一貫して「かぐや = エース、リーダー」、「黒丸 = かぐやの従者、サポーター」として描かれている。

要するに、エースとその部下という関係だ。

というわけで、Step5の黒丸は「かぐや様、こんな連中にブーストを使ってはいけません。それでは『ブーストレスクイーン』の名が泣きます。ここはこの私、黒丸にお任せください」という気持ちでかぐやの肩に手を置いたのだろう。そして見事に攻撃を成功させ、偉大なるエースの名誉を守った……嗚呼、メチャクチャに格好いい!

黒丸、最高だ!!


加えてこのエピソードは……

・「こんな格好いい黒丸に慕われているのだ。かぐやは素晴らしい人物に違いない」というわけで、かぐやの株も上がる

・超一流のジェットレーサー<かぐや・黒丸ペア>をここまで追い込んだということで、<凜・ミサペア>が只者ではないことも伝わってくる


つまりこれ、試合に出場した4人全員の評価が上がる素晴らしいエピソードなのだ。すごい!


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