「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる ~ドラマ「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」(シーズン1)の場合
◆概要
【「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:ドラマ「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」(シーズン1の第4話)
▶1
本作の主要キャラの1人・シェルドン(20代後半の男性)。
彼は天才物理学者であり、いまはとある大学に勤務している。
・Step1:ある日、新しい学部長が着任した。シェルドンにとっては上司に当たる人物だ。彼はレナード(友人にして同僚)と共に学部長に挨拶に行くことにした。
・Step2:しかし……じつはシェルドンはこの新しい学部長を嫌っていた。「まともな研究もせず、通俗的な本ばかり書きやがって!」「彼は本物の科学者とは言えないよ!」というわけだ。
・Step3:その後、学部長と面会した2人。学部長は2人に笑顔を向けた「私はエリック。きみたちは?」。
・Step4:レナードが「今日くらいは行儀よくしろよ」と囁くが……シェルドンはお世辞や社交辞令を言える人間ではない。かくして彼は学部長にこう言った「はじめまして。僕は正真正銘本物の科学者です」。シェルドン流の皮肉である。学部長がポカンとする。一方、レナードは「あーあ。こいつ、やっちまった」という顔をする。
・Step5:そして次のシーン……シェルドンがとぼとぼ歩いている。彼の手には私物の詰まった段ボール。シェルドンは嘆いた「クビにするなんてひどいよ……」(I can’t believe he fired me.)。
▶2
ご注目いただきたいのはStep4と5である。
まず、シェルドンが面と向かって学部長に皮肉を言ってしまう(Step4)。多くの鑑賞者は「さぁ、学部長はどんな反応を示すだろう?」「まさかシェルドンと殴り合いになるとか!?」「レナードが巧くフォローするのかな?」と先の展開が気になり、画面に釘づけになったことだろう。緊張感漂うシーンである。
ところがその直後のシーン(Step5)では……シェルドンはもうクビになっている!
嗚呼、このテンポである。これがいいのだ。「早っ!(笑)」「もうクビになったのかよ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
もしも「シェルドンと学部長が口論するシーン」や「レナードが慌ててシェルドンをかばうシーン」、「学部長が『きみはクビだ!』と叫ぶシーン」などが描かれていたら、これほど面白くはならなかったはずだ。
まさにこれ、【「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる】というコメディシーンである。
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