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終わりなき最悪 ~ドラマ「グッド・プレイス」(シーズン1)の場合

マイケル「いや、まだ続きがある」

ドラマ「グッド・プレイス」(シーズン1の第1話)


◆概要

【終わりなき最悪】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:ドラマ「グッド・プレイス」(シーズン1の第1話)

▶1

本作の主人公はエレノア(40代の女性)。

ある日気がつくと……彼女は死後の世界にいた。マイケル(見た目は初老の男性、神のような存在と思われる)が優しい口調で教えてくれた「きみは死んだんだ」


エレノアは訳がわからない。

彼女は生前のことをよく覚えている。ところが、なぜか死んだ時の記憶だけが欠落していたのだ。

マイケルが事情を説明してくれる。曰く「それがトラウマになりかねない最期や恥ずかしすぎる最期だった場合、記憶を消してしまうんだ。次の世界にスムースに移行できるようにね」。

しかし、エレノアは何があったのか知りたい。彼女は教えてほしいと頼む。

かくしてマイケルは語り出した。


・Step1:マイケルが説明する「きみは買い物帰りに、スーパーの駐車場で酒瓶を落とした。『寂しい女のお供・マルガリータミックス』という酒だ」。……最期の買い物が「寂しい女のお供」って!エレノアは思わず舌打ちする。

・Step2:マイケルが続ける「その瓶を拾おうとかがんだ時だ。スーパーの店員がたくさんのショッピングカートを運んでいたのだが、それが制御不能になりきみに突っ込んだ」。

・Step3:エレノアは視線を宙に漂わせる。そして力なく言った「それで死んだってわけね」。嗚呼、格好悪い死に様だ!

・Step4:ところが……マイケルは「いや、まだ続きがある」。エレノアはギョッとする。彼女は黙ってマイケルを見つめる。

・Step5:マイケルが言った「きみは、どうにかショッピングカートにしがみついた。そしてカートごと車道に転がっていき、車に轢かれてしまった。きみを轢いたのは宣伝用トラック。勃起不全の薬の宣伝中だった」。

・Step6:エレノアは「信じられない!ほんと最悪!!」という風に目をつむる。

・Step7:しかし……マイケルの話はまだ終わらない「さらに、奇遇にも最初に到着した救急隊員がきみの元カレで」

・Step8:エレノアはもう耐えられない!彼女はマイケルの言葉を遮った「わかりました。どうかその辺で!」。


▶2

以上をまとめると、

・1:人生最期に買ったのが、よりにもよって「寂しい女のお供」。さらに、ショッピングカートがぶつかってきて死んだらしい(Step1-2)

・2:エレノアはショックを受ける「最悪!」(Step3)

・3:と思いきや、本当の死因は轢死だった。エレノアを轢いたのは勃起不全の薬を宣伝するトラックである(Step4-5)

・4:エレノアはショックを受ける「マジで最悪!!」(Step6)

・5:さらに、駆けつけてきた救急隊員が元カレだった(Step7)

・6:エレノアはショックを受ける「もう無理!!!」(Step8)


エレノアはStep3、そしてStep6で「最悪!」とショックを受ける。しかし……最悪はそこでは終わらない。その後も最悪が続く。

つまりはそう、最悪の次はやっぱりまた最悪だったのだ。まさに「終わりなき最悪」である。

「あまりにひどすぎる(笑)」「エレノアがかわいそうだ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。


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