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「自分にとって都合の悪いやつを心の中で罵倒しようとする→しかし彼の善行を思い出して、『普通にいいやつなんだよなぁ』とフェアに評価する」というシーンを描く ~アニメ「僕の心のヤバイやつ」の場合

京太郎「(ナンパ野郎に対して心の中で)クッソー!諦めてなかったのか!これだから陽キャのクソ男は!!」

京太郎「でも……(ナンパ野郎の善行を思い出して)……ああいうやつが普通にいいやつだとなぜか凹むな……」

アニメ「僕の心のヤバイやつ」(第3話)




◆概要

【「自分にとって都合の悪いやつを心の中で罵倒しようとする→しかし彼の善行を思い出して、『普通にいいやつなんだよなぁ』とフェアに評価する」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「僕の心のヤバイやつ」(第1-3話)

▶1

本作の主人公は、京太郎(中2男子)。

彼は「陰キャ」で「中二病」だ。また、彼はクラスメイトの山田(スタイル抜群の美少女!)に密かに恋心を抱いていた。


ある日のことだ。

・Step1:京太郎は、山田が南条(1学年上の先輩)にナンパされるのを偶然目撃した。

・Step2:山田は拒否する。だが南条は諦めない。彼はまるでホストのようなメンタルの強さ、そして口八丁手八丁っぷりで山田に迫った。

・Step3:京太郎はイライライライラ……。心の中で南条を罵倒した「うぜぇ」「いい加減気づけよ、うざがってるの!」。

・Step4:その後ちょっとした事件が起き、南条のナンパはうやむやに終わる


が、それからしばらく後のことだ。

・Step5:京太郎は、南条が再び山田に声をかけるのを目撃した。彼は心の中で叫ぶ「クッソー!諦めてなかったのか!これだから陽キャのクソ男は!!」。

・Step6:しかしすぐに「でも……」。京太郎の脳裏に記憶がよみがえってきた。以前、とある事情で京太郎の自転車が川に落ちてしまった時のことだ。その場に居合わせた南条は、率先して自転車を拾い上げてくれたのだった。

・Step7:京太郎は俯く「ああいうやつが普通にいいやつだとなぜか凹むな……」。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step5-7である。

山田に恋する京太郎。彼にとって、南条は敵だ。悪だ。邪魔者だ。ゆえに心の中で罵倒する。

……が、罵倒しきれない!


本当ならば、「フン!僕の自転車を率先して拾い上げたのだって、どうせ山田にいいところを見せようとしてのことだろ?この偽善者が!!」と都合よく解釈してもいいはずなのだ。もしくは、都合の悪い記憶は無視して南条を叩きまくることだってできただろう。

しかし京太郎は違う。彼は南条のいいところを思い出して「普通にいいやつ」と評価する……。


多くの鑑賞者はそんな京太郎を見て、「自分にとって都合の悪い相手のこともフェアに評価できるとか……お前こそが『いいやつ』だよ!」と好意を抱いただろう。


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