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異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする ~アニメ「月刊少女野崎くん」の場合

千代「えー!!野崎くんってマンガ家なの!?」
野崎「……えっ?知らないで4時間ベタ塗ってたのか!?」

アニメ「月刊少女野崎くん」(第1話)


◆概要

【異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「月刊少女野崎くん」(第1話)

▶1

本作の主人公は千代(高校2年生の少女)。

彼女は、同級生の野崎に恋をしている❤


さて、ある日のこと。

・Step1:千代は決意した「今日こそ野崎くんに告白しよう!」。

・Step2:かくして放課後の教室、千代は野崎に切り出した「ずっ、ずっとファンでした!」「ずっと一緒にいたいです!」(本当はもっとシンプルに「好きです」「付き合ってください」と伝えるつもりだったのだが、緊張のあまり回りくどい言い方になってしまったらしい)。

・Step3:野崎は首をひねる。しかし、すぐに合点がいったようだ。彼は言った「じゃあこれから俺の家にくる?」

・Step4:2人は、野崎が1人暮らししているマンションに移動した。千代は「わー!野崎くんの部屋だ!」と胸をときめかせたり、あるいは「男の子の部屋に来ちゃった……!」と胸を高鳴らせたり、興奮状態である。

・Step5:そんな千代に、野崎は描きかけのマンガ原稿を差し出した。そして言った「ここ、ベタよろしく」。千代は黙ってベタ塗りする。野崎は感心する「おお!さすがは美術部員だな。いい腕をしている」。

・Step6:その後も、野崎は次々と指示を出していった。千代は淡々とそれをこなしていく。

・Step7:そんなことがしばらく続いた後、ふいに千代が叫んだ「えー!!野崎くんってマンガ家なの!?」。対する野崎は呆気に取られる「……えっ?知らないで4時間ベタ塗ってたのか!?」。

・Step8:そう、じつは野崎は現役高校生にしてプロのマンガ家だったのだ。そして彼は、千代の愛の告白を「野崎くんの描くマンガのファンです。アシスタントをさせてください」という意味だと勘違いしていたのである。


▶2

以上、【異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする】というコメディシーンをご紹介した。


このシーンの魅力を整理すると……

私たち鑑賞者はStep5で「なぜマンガ原稿?」と疑問を抱いたり、「あっ。もしかして野崎はマンガ家なのか?」と気づいたりする。ところが千代はそれをスルー!

かくして多くの鑑賞者は、

・1:「なぜスルーした?(笑)」「このままスルーするの?(笑)」などと今後の展開が気になり、画面に釘づけになる

・2:そしてStep7、千代がようやくツッコんだ時には、「やっとかよ!(笑)」「遅すぎるだろ!(笑)」と思わず噴き出してしまったはずだ。


▶3

ところで、Step5で千代が黙って野崎の指示に従ったのはなぜだろうか?

作中では特に説明はないのだが……しかしおそらくはパニックを起こしており、ツッコんだり疑問を呈したりする余裕がなかったのだろう。

まぁ無理もない。だってわずか数時間の内に、【意中の人に愛を告白する → 自宅に案内される → 「私、まさか大人の階段を上っちゃうの!?」とドキドキ → と思いきや、なぜかベタを塗るよう指示された】。これだけ次々と事件が起これば、そりゃ誰だって混乱するに違いない。


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