大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない) ~小説「パチンコ必勝原理」の場合
◆概要
【大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない)】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:小説「パチンコ必勝原理」(『にぎやかな未来』収録)
▶1
ある日、身なりのいい初老の紳士が下町のパチンコ店にやってきた。
・Step1:紳士は1000円分だけ玉を購入。
・Step2:そしてパチンコを打つ……かと思いきや、彼は分度器やら物差しやらを取り出し、店内のパチンコ台を測定し始めた。さらにその結果をもとに最も勝率の高い台を割り出した。
・Step3:その後も紳士は計測と計算を続ける。どこをめがけてどれくらいの力で打てば勝てるのか、最適解を導こうとしているのだ。
・Step4:やがて野次馬が集まってきた。店主や店員も紳士の動向に注目する。あの人は一体何をやっているのだろうか?
・Step5:しばらくして、新聞やテレビの取材班が駆けつけてきた。そして紳士を一目見るや叫んだ「あれは先日ノーベル物理学賞を受賞した湯上博士じゃないか!」。
・Step6:その場に居合わせた皆がどよめく。これは大変なことになったぞ!天才物理学者が機械に勝利するその瞬間は必見だ!!一方、店主は頭を抱えた「店の玉を全部取られちまうよ。私は破産だ」。
・Step7:数時間後、いよいよその時が来た。博士が玉を打ち始める。一同固唾をのんで見守る。
・Step8:ところが数分後、博士はすべての玉を打ち終えてしまった。彼は恥ずかしそうに微笑み「1000円スッた……」と呟くと、こそこそ店を出て行ったのだった。
▶2
ノーベル賞を受賞した天才物理学者がパチンコに挑戦!計測と計算によって最適解を導く!!というわけで、人びとは博士の一挙手一投足に注目した。ところが結果は……「1000円スッた」。
多くの鑑賞者が「さんざん盛り上げ、焚きつけ、期待を膨らませておいてこの肩透かしかよ(笑)」と噴き出してしまったに違いない。
まさにこれ、【大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない)】式のコメディである。
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