「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる ~アニメ「男子高校生の日常」の場合
◆概要
【「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「男子高校生の日常」(第8話)
▶1
ヒデノリとモトハルは男子高校生。男子高校生らしくアホではあるものの、しかし気のいい連中である。
ある日……
・Step1:2人は、知り合いの少女から助けを求められた。曰く「公園の木の枝にバッグが引っかかってしまった」「木が高くて手が届かない」「バッグを取るのを手伝ってほしい」。
・Step2:2人は「どうしてカバンが枝に引っかかるんだよ!?」と呆れつつも、手を貸してやる(なお、なぜカバンが枝に引っかかったのか理由は最後まで明言されないが、しかし少女の反応を見るに「何かいいことがあって1人ではしゃぐ→カバンを放り投げる→枝に引っかかってしまった」という経緯のようだ)。
・Step3:あれこれ試行錯誤する3人。しかし上手くいかない。
・Step4:やがてヒデノリが決意した「もうあれしかないだろ!」。モトハルが頷く「そうだな。俺たちのカバンをぶつけて落とそう!」。
・Step5:ところが次のシーンでは……木の枝にカバンが3つ引っかかっている。そう、少女のカバンを落とすどころか、ヒデノリとモトハルのカバンも引っかかってしまったのだ!
・Step6:3人は言葉を失う。呆然と木を見上げることしかできない。
▶2
ご注目いただきたいのはStep4と5である。
まずはStep4。ヒデノリとモトハルは「もうあれしかないだろ!」「俺たちのカバンをぶつけて落とそう!」と計画する。多くの鑑賞者は「さぁどうなる?」「上手くいくだろうか?」と今後の展開が気になり、ぐっとストーリーに引き込まれたはずだ。緊迫感漂うシーンである。
ところが直後、Step5に描かれるのは……呆然と立ち尽くす3人!
このテンポがいいのだ。「早っ!(笑)」「お前ら、失敗したのかよ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
もしも、「ヒデノリとモトハルがカバンを投げるシーン」や「『ちょっと!あんたのカバンまで引っかかっちゃったじゃないの!』『仕方ないだろ!』『まぁ待てよ。まだ俺のカバンがあるさ!』などと3人がやりとりするシーン」が描かれていたら、これほど面白くはなっていなかったはずだ。
まさにこれ、【「緊張感漂うシーン」に入ったと思いきや、その後のあれこれを全部ぶっ飛ばしていきなり「結果」が描かれる】ゆえの面白さである。
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