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「初めて恐竜が登場するシーン→まずは『本物の恐竜に仰天するキャラたちのリアクション』だけが映る→その後でようやく恐竜が映る」という展開によって、「彼らの視線の先には何があるんだ!?」「まさか恐竜!?早く見てみたい!」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう ~映画「ジュラシック・パーク」の場合

グラント博士「……!」
サトラー博士「……!」

映画「ジュラシック・パーク」


◆概要

【「初めて恐竜が登場するシーン→まずは『本物の恐竜に仰天するキャラたちのリアクション』だけが映る→その後でようやく恐竜が映る」という展開によって、「彼らの視線の先には何があるんだ!?」「まさか恐竜!?早く見てみたい!」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ジュラシック・パーク」

▶1

本作の舞台は「ジュラシック・パーク」

最新技術によってよみがえった本物の恐竜(!)が飼育されている「恐竜版サファリパーク」である。

物語冒頭、「パークを開業するにあたって専門家の視察が必要だ」ということになり、グラント博士(主人公/中年男性、古生物学者)らが招待された


▶2

以下、「パークにやってきたグラント博士ら(+私たち鑑賞者)が初めて恐竜を目撃するシーン」を見てみよう。


パークに到着したグラント博士らは車に分乗し、

・Step1:ビジターセンターに向かった。

・Step2:途中、ハモンド(パークの創業者)の指示で車が止まる。はて、一体何事か?

・Step3:この時、サトラー博士(古代植物学者)は道すがら入手した葉に目を落としていた。彼女はつぶやく「信じられない。これ、古代植物よ」。一方、グラント博士は何の気なしに辺りを見回していた


と、ふいにグラント博士の動きが止まった。

・Step4:彼はとある一点を凝視している。……直後、慌ただしく身を乗り出した。「まっ、まさか!」という感じで帽子を脱ぐ。立ち上がる。サングラスを外す。その手は震えている。目は大きく見開かれている。

・Step5:グラント博士は、相変わらず手元の葉を観察しているサトラー博士の頭頂部に手を当てると、無言でグイっと首をひねり、横を向かせた(グラント博士は驚きのあまり言葉を失っているらしい)。サトラー博士がグラント博士と同じ方向を向く。

・Step6:間もなく、サトラー博士は息を吞んだ。彼女もすぐに立ち上がる。サングラスを外す。目が大きく見開かれている。


2人の視線の先にいたのは……

・Step7ブラキオサウルス(首長竜)だ!嗚呼、本物の恐竜が大地を闊歩している!!


▶3

ご注目いただきたいのは、Step4-7である。

・Step4-6:画面に映るのは、本物の恐竜に仰天するグラント博士らの「リアクション」のみ。この時点では、恐竜それ自体はまだ画面に登場しない。

・Step7:ここで初めて画面に「恐竜(=グラント博士らのリアクションの原因)」が映る。


そう、私たち鑑賞者は、まずはグラント博士らのリアクションだけを目撃するのだ。リアクションの原因たる恐竜の姿は画面に映らない。

ゆえに「彼らの視線の先には何があるんだ!?」「そんなに驚くものがあるの!?」「まっ、まさか恐竜か?ついに恐竜が登場するのか!?」「早く見たい!」とワクワクが高まっていく……!


つまり、【まずは「キャラのリアクション」だけを描き「リアクションの原因」は伏せておくことで、読者・鑑賞者にワクワクしてもらう】というテクニックが使われているわけだ。


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