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敵か味方か判然としないキャラを登場させることで先の展開を読めなくして、読者・鑑賞者の興味を引きつける ~アニメ「神無き世界のカミサマ活動」の場合

クレンらしき人物「陛下もおよろこびになると思うよ……」

アニメ「神無き世界のカミサマ活動」(第3話)


◆概要

【敵か味方か判然としないキャラを登場させることで先の展開を読めなくして、読者・鑑賞者の興味を引きつける】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「神無き世界のカミサマ活動」(第3話)

▶1

本作の主人公は、ユキト(若い男性)。

彼はとある事情で異世界に転生し、いまは自分が暮らす村を守るために「皇国」と戦っている。


ユキトが住む村には2000人ほどの住人がいるそうだが、

・Step1:その内の1人がクレン(若い男性)である。

・Step2:クレンは第1話から登場する主要キャラ。いつも冷静で頭がよく、しかもいざという時には素晴らしい行動力を発揮してユキトをサポートしてきた。ユキトが最も信頼を寄せる人物だ。


ところが第3話冒頭、

・Step3:鑑賞者に対して「じつはクレンは皇国の特殊部隊の一員である」とほのめかされる場面がある(特殊部隊の中にクレンと同じ声のキャラがいるため、多くの鑑賞者はピンと来たに違いない)。

・Step4:一方、ユキトや村人たちはクレンが敵サイドの人間だとは想像だにしない。これまで同様に大切な仲間として接する。

・Step5:なお、クレンの正体や彼の狙いが明らかになるのはずっと先、第5話の中盤のことである。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step3-5だ。

主人公が最も信頼を寄せていたキャラ・クレンが、じつは敵かもしれないと示唆された。しかし、その正体や狙いは依然不明。多くが謎に包まれている。そんな宙ぶらりんの状態が丸々2話以上に渡って続く……!


クレンの正体がほのめかされた時、多くの鑑賞者は仰天したことだろう。

と同時に、「クレンは本当に敵なのだろうか?」「敵だとすると、彼はなぜこれまで主人公をサポートしてきたのだろう?」「一体どんな狙いがあるのか?」と疑問を抱いた人は少なくないと思う。

また、「クレンはやがてユキトたちと戦うことになるのか?」「いつ攻撃を仕掛けてくるのだろう?」「それとも、敵を裏切ってユキトたちの仲間になるのか?」と今後の展開が気になった人も多いだろう。

そして、「嗚呼、クレンの一挙手一投足が気になって仕方がない!」「ちょっとした言動がいちいち意味深に見えてくる!」とドキドキしたはずだ。


つまり、「敵か味方か判然としないキャラを登場させることで先の展開を読めなくして、読者・鑑賞者の興味を引きつける」というテクニックが使われているわけだ。


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