「1つのアクションを複数の視点・アングルから撮影→立て続けに流す」という技法をしつこく使う ~アニメ「ゾンビランドサガ」の場合
◆概要
【「1つのアクションを複数の視点・アングルから撮影→立て続けに流す」という技法をしつこく使う】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ゾンビランドサガ」(第1話)
▶1
本作の主人公は、源さくら。
佐賀県に住む女子高生である。
・Step1:アイドルに憧れるさくらは一念発起、東京のアイドルオーディションに挑戦することにした。
・Step2:ある朝、さくらは応募書類の入った封筒を持ち、期待に胸を弾ませて自室を飛び出した「私、なりたか自分になるっちゃ!そしたらきっと、ギュギュって楽しさいっぱいの毎日が待っとるよね!」。
・Step3:ところが……「いってきまーす!」と元気よく家を出た途端に、走ってきた軽トラックに激突、さくらははね飛ばされた。そして即死した。
▶2
ご注目いただきたいのはStep3。さくらがはね飛ばされるシーンで、「1つのアクションを複数の視点・アングルから撮影→立て続けに流す」という技法が使われているのだ。
「1つのアクションを複数の視点・アングルから撮影→立て続けに流す」というのは……
・1:例えば「主人公が敵を殴るシーン」なら、【まずは「主人公が敵を殴るのを横から撮った映像」を流し → 直後に「同じ場面を主人公視点から撮った映像」を流し → さらにその直後に「同じ場面を敵視点から撮った映像」を流す】なんて風になる
・2:一般的には、アクションシーンや爆発シーンをより一層盛り上げるために使われる
・3:繰り返す回数に決まりはないが、3回程度が多いようだ(=視点・アングルの異なる3パターン程度の映像を流すことが多いようだ)
・4:有名な使用例としては、映画「ポリス・ストーリー/香港国際警察」がある。すなわち、【まずは「『ジャッキー・チェンがデパート内の30mに及ぶポールを一気に滑り降りる』というアクションを右上から撮った映像」が流れ → 直後に「同じアクションを左下から撮った映像」が流れ → さらにその直後に「同じアクションを正面下から撮った映像」が流れる】のだ。1つのアクションを異なる視点・アングルから3回も見せることで、それがいかにすごいアクションか、人間離れしたアクションか強調しているわけだ
▶3
さて話を戻して、上述のさくらがはね飛ばされるシーン。
ここでは、
・1:まずは「さくらがはね飛ばされるのを真横から撮った映像」が流れ、
・2:直後に「同じ場面を斜め上から撮った映像」が流れ、
・3:さらにその直後に「同じ場面を足元から撮った映像」が流れ、
・4:さらにさらに「同じ場面を軽トラックの中から撮った映像」が流れ、
・5:さらにさらにさらに「同じ場面を軽トラックの向かい側から撮った映像」がスローモーションで流れ、
そしてこの後ようやく次のシーンに進む。
つまりはそう、さくらがはね飛ばされるシーンは視点やアングルを替えてなんと5回も繰り替えされるのだ!しかも最後はご丁寧にスローモーションである。
「確かにショッキングなシーンだけれど……しつこいな!(笑)」「どれだけ繰り返すんだよ!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないはずだ。
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