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「遺跡の入り口で、冒険家が袋に砂を詰める→理由は明かされない」というシーンを通じて「一体何をしているんだ?」「砂を何に使うんだ?」といった疑問を喚起し、読者・鑑賞者の好奇心を刺激する ~映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の場合

インディ「(遺跡の入り口で、袋に砂を詰めながら)ここだ。この遺跡でフォレストルが死んだ。やつは手ごわいライバルだった」

映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」


◆概要

【「遺跡の入り口で、冒険家が袋に砂を詰める→理由は明かされない」というシーンを通じて「一体何をしているんだ?」「砂を何に使うんだ?」といった疑問を喚起し、読者・鑑賞者の好奇心を刺激する】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」

▶1

本作の主人公は、インディ(中年男性)。

彼は著名な考古学者で、かつ冒険家でもある。


物語冒頭、

・Step1:インディはジャングルにいる。

・Step2:彼はサポーター(案内人、荷物持ちなど)とともにジャングルを進み、やがて遺跡にたどり着いた

・Step3:遺跡の入り口にて、インディは袋を取り出した。そして足元の砂を袋に詰める「ここだ。この遺跡でフォレストルが死んだ。やつは手ごわいライバルだった」


その後、インディたちは遺跡に入った

・Step4:彼らは危険なトラップを回避しつつ、奥へ奥へと進んだ。

・Step5:やがて広間に到着したインディ一行。台座の上に黄金の像が載っているのが見える。おお、ついに見つけた!あれこそがインディが求めていたもの、すなわちこの遺跡のお宝だ。


だが、インディは焦らない。慌てない。冷静だ。

・Step6:彼は先の袋を取り出すと、像を観察しつつ袋の中の砂を少しばかり捨てた

・Step7:そして慎重に手を伸ばし……像を手に取ると同時に、代わりに台座に袋を置いた

・Step8:そう、つまり重量トラップだ。百戦錬磨のインディは「像の重みが消えると罠が発動する」というトラップが仕掛けられていると考え、像の代わりに袋を置いたのだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step3である。

遺跡の入り口にて、インディは袋に砂を詰める。


このシーンを見た時、多くの鑑賞者は首をひねったに違いない「はて、彼は何をやっているのだろう?」と。

「ライバルの死地らしいから、遺族に砂を持ち帰ろうということかな?」などと推理した人もいるかもしれない。しかしいずれにせよ、インディの行動は意味不明。意図不明。謎。

そして、わからないからこそ気になる。私たち鑑賞者は否が応にも物語に引き込まれる……!


つまり、【「遺跡の入り口で、冒険家が袋に砂を詰める→理由は明かされない」というシーンを通じて「一体何をしているんだ?」「砂を何に使うんだ?」といった疑問を喚起し、読者・鑑賞者の好奇心を刺激する】というテクニックである。


なお上述の通り、インディが袋に砂を詰めた理由はStep7-8で明かされる。鑑賞者は「なるほど!そういうことだったのか!」と膝を打ったに違いない。


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