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「いつもとんでもないことをやらかすトラブルメーカーが、今日も何やら始めた」というシーンを通じて、「さぁ始まったぞ(笑)」「今日も突拍子もないことをやらかすに違いないぞ(笑)」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう ~マンガ「苺ましまろ」の場合

伸恵「(なぜかお湯を沸かし始めた美羽に)何すんの、お湯なんか沸かして」
美羽「いいでしょー別にー!」

マンガ「苺ましまろ」(第8巻)


◆概要

【「いつもとんでもないことをやらかすトラブルメーカーが、今日も何やら始めた」というシーンを通じて、「さぁ始まったぞ(笑)」「今日も突拍子もないことをやらかすに違いないぞ(笑)」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:マンガ「苺ましまろ」(第8巻)

▶1

本作の主要キャラの1人・美羽(小6女子)。

彼女は、トラブルメーカーにしてボケ役だ。いつもとんでもないことをやらかして周囲を唖然とさせている。


ある日いつものように親しい友人が集まり、

・Step1:だらだらとすごしていた時のことだ。

・Step2茉莉とアナのしゃっくりが止まらなくなった「ひっく!」「ひっく!」。

・Step3:皆はどうにかしてしゃっくりを止めようと知恵を絞る。息を止めてみたらどうだろう?……いや、ダメだ。止まらない。


では、水を一気飲みしたら?

・Step4:というわけで伸恵は台所に向かった。彼女はコップに水を注ぐ。

・Step5:一方、伸恵の隣でなぜかお湯を沸かす美羽。伸恵が訊いた「何すんの、お湯なんか沸かして」。すると美羽は「いいでしょー別にー!」。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step5である。

上述の通り、美羽は生粋のトラブルメーカーだ。破天荒なボケ役だ。とんでもないことをやらかして皆を呆れさせるのが日常だ。

ゆえに美羽がお湯を沸かし始めた時、「おっ、今日も美羽が何か始めたぞ(笑)」「待ってました!(笑)」「さて、今日は何をするつもりかな?(笑)」と胸を躍らせた読者は少なくないだろう。そして、ぐぐっと物語に引き込まれたに違いない。


つまり、「いつもとんでもないことをやらかすトラブルメーカーが、今日も何やら始めた」というシーンを通じて、「さぁ始まったぞ(笑)」「今日も突拍子もないことをやらかすに違いないぞ(笑)」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらうというテクニックである。


ちなみに……茉莉とアナが水の一気飲みを試みる中、少し遅れて台所から戻ってきた美羽。彼女は激辛ペヤング(!)を手にしていた。美羽曰く「あたしもつきあうぜ」。辛いものを食べて自分もしゃっくりを出そうという算段らしい。皆の注目が茉莉とアナにばかり集まり、自分が話題の中心にいないのが我慢できなかったようだ。


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