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新キャラが登場する前に、「『適材な人間を知っている。今度連れてくる』とイカレたやつが発言するシーン」を配置することで、「こいつのお眼鏡に適ったって……相当ヤバい人物だぞ(笑)」「こりゃ面白くなりそうだ!」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう ~小説「涼宮ハルヒの憂鬱」の場合

ハルヒ「(同好会を立ち上げるには部員があと2人必要だが)安心して。すぐ集めるから。適材な人間の心当たりはあるの」

小説「涼宮ハルヒの憂鬱」


◆概要

【新キャラが登場する前に、「『適材な人間を知っている。今度連れてくる』とイカレたやつが発言するシーン」を配置することで、「こいつのお眼鏡に適ったって……相当ヤバい人物だぞ(笑)」「こりゃ面白くなりそうだ!」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:小説「涼宮ハルヒの憂鬱」

▶1

本作の主人公は、キョン(高1男子)。

彼はごく普通の少年である。


高校に入学したキョンは、

・Step1涼宮ハルヒという何ともエキセントリックな女子と同じクラスになった。

・Step2:そしてひょんなことから口を利くようになり……ハルヒが立ち上げる部活、何をするのかさっぱりわからぬ怪しげな部活の部員にされてしまった。

・Step3:キョンは困惑する。しかし相手はハルヒだ。言葉を尽くして抗議しようと無視されるだけだろう。ハァ。彼は、渋々ながらハルヒに付き合うことにした。


その後いろいろあって、

・Step4:ハルヒは、長門有希というこれまた変わり者を部活に引きずり込んだ。

・Step5:校則によると、同好会を立ち上げるのに必要な生徒数は5人。というわけで、ハルヒが言った「最低あと二人はいるわね」。彼女は笑った「安心して。すぐ集めるから。適材な人間の心当たりはあるの」。

・Step6:キョンは心の中でツッコんだ「『安心して』って、何をどう安心すればいいんだよ」。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step5である。

ハルヒは言った。

「安心して。すぐ集めるから。適材な人間の心当たりはあるの


このセリフを読んだ時、多くの読者はワクワクしたに違いない。「ハルヒが立ち上げた珍妙な部活に適材な人間って、一体どんな人物だろうか?」「ハルヒという奇天烈な女子のお眼鏡に適ったやつだ、とんでもない人物に違いないぞ(笑)」「嗚呼、早く登場しないかなぁ!!」と。

かくして続きが気になり、ググっと物語に引き込まれる……!


つまり、【新キャラが登場する前に、「『適材な人間を知っている。今度連れてくる』とイカレたやつが発言するシーン」を配置することで、「こいつのお眼鏡に適ったって……相当ヤバい人物だぞ(笑)」「こりゃ面白くなりそうだ!」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらう】というテクニックである。


なお、この後ハルヒが引っ張ってきたのは、朝比奈みくるという女子生徒。小柄でロリ顔で、しかし胸はデカいという美少女だ。

ハルヒ曰く、部活にはマスコット的な人物も必要だろう、その点みくるはぴったりだ!……キョンは呆れる。こいつ、何言ってんだ?


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