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海外って別に遠くて特別な怖い場所じゃなかった

私が人生で初めて聞いた海外旅行のエピソードは親が新婚旅行でシンガポールに行った話だった。マーライオンの話も現地で食べた料理の話も一切なく、とにかく空港で知らない人に荷物を取られそうになったという話だけを繰り返し母は話していた。

そんな私の初めての海外はセブ島だった。大学2年生の時、女友達と2人きり。関西から関東に新幹線に乗って行くのも大冒険だった私にとって、海外はまさに未知の世界。事前の母の話も間に受けていたし、とにかく怖かった。そんな私がセブ島へ。今なら間違いなく1カ国目はそこじゃないと止める。

セブの写真がほとんど残ってない…

観光客にむらがるタクシードライバー。街中ですがりついてくる小さい半裸の子供。見たことがないような野良犬。ホテルには門番みたいな人がいて「女の子は1人で外に出ないように」と言われ、とんでもない所にきてしまったと心臓が震えた。

そこで運悪く熱中症か食あたりになり、2日目以降はずっと頭が痛く、吐き気がして、ご飯もほとんど食べられなかった。観光にもツアーで行ったが、途中で立ち寄ったスーパーで急にお祈りの時間が始まり、意味がわからずパニックになったことを猛烈に覚えている。まだ気を使う仲だった友人にも申し訳なく居心地が悪くて、とにかく早く帰りたくて半泣きで、無事に空港に着いた頃には「もう一生海外に行かなくてもいいな」と思った。

そんな体験をしたのが2014年の3月。あれから10年経ち、私はセブ島以外に韓国、台湾、香港、マカオ、ベトナム、タイ、シンガポール、バリ島、ハワイ、スペインと11カ国を訪れた。今じゃ沖縄に着いたくらいの感覚で、現地に降り立つことが出来る。

1番最近のバリの写真

一番大きかったのは海外経験豊富な夫と結婚したことだった。夫はヨーロッパや南米やインドを一人旅したり、交換留学でアメリカに行きビジコンに出たり、東南アジアで学会発表をしたりとこれまた生粋の海外好きだった。彼から聞く海外での出来事は全部とても新鮮で、大変だった出来事も含めて彼の成長に、人生の1部になっていたし、本当に楽しそうだった。

海外でもいつも余裕で陽気

彼はお義母さんが英語の先生ということもあり(最近英検1級をとったという現役のスペシャリスト)小さい頃からほぼ毎年海外旅行に行っていたそうだ。私はてっきりその英才教育で夫は昔から英語はペラペラで、海外好きだったのかと思っていたがどうやら違うらしい。むしろ英語を話すことが恥ずかしくて、学部生までは今の私とほぼ変わらない英会話能力だったと言う。(トイレどこですか?と聞けるレベル)

そう考えると大学に入った時点での英語のレベル感は私も夫もほぼ同じくらいだっただろうし(センターの点数も同じくらい)そこからの夫の急成長ぶりは本当に驚きだし、尊敬する。今じゃ英語で現地のタクシードライバーと喧嘩するし、夢でもたまに英語を話すらしい。もともとの素養もあったと思うが、彼が自分の意思で英語を話したいと思い、努力したからここまで海外を楽しめるようになったのだろう。

彼と結婚していなかったら、見ていなかったであろう景色を沢山見た。食べてなかったであろうご飯を沢山食べた。なにより、大抵のことがあっても無事に行って無事に帰って来れると学んだ。海外って別に特別に遠い場所ではなかった。彼より少し遅かったけど30歳でこの境地に達することができて本当に良かったなと思う。

チェンマイは思い出深い場所の1つ

お義母さんは海外に行く時に「その国に呼ばれたから」とオシャレな言い回しをする。私は次にどの国に呼ばれるだろうか。死ぬまでにもっとたくさんの国に、夫と一緒にお呼ばれしたい。

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