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【週末投稿】つれづれ有用植物#241(アブラナ科オオアラセイトウ属:オオアラセイトウ)

春になると河川敷や土手、庭などに可愛らしい紫色の花を見る事があります。場所によっては群生していて綺麗な越年草植物です。

原産地は中国で、日本では江戸時代に輸入されて栽培されたものが野生化して全土で見られるようになりました。
別名はムラサキハナナ(紫花菜)、ショカツサイ(諸葛菜)と呼ばれます。

ムラサキハナナという名前は紫色の菜の花の意ですが、単に菜の花(アブラナ)に形状が似ているというだけではなくて、野菜としての利用や種から油を採取する点などでもアブラナとの共通点が見られる有用植物なのです。

2月ごろから生長を始めて、3月~5月にかけて上の写真の様に開花します。花色の濃淡は個体差があって、ときに白花を見かける場合もあります。最盛期には50 cmくらいまで直立した茎を伸ばします。
5月~6月頃に種子が熟して、自然に散布されます。
一年草ですが繁殖力は強く、花が咲いて種が散布されると、翌年からは定着しやすい様です。

諸葛菜(ショカツサイ)という別名は蜀漢の軍師、諸葛孔明が戦地で食用にするため広めたとの伝説がある雑草でもあります。
今回この植物を紹介したのは、戦争などの有事の際に不足した食糧(野菜)を容易に確保できる植物としてご紹介したかったからです。
一般には救荒植物と呼ばれますが、最近は 防災植物(R) という名前が良く使われ次の様に定義されてます。

山野に自生する植物の中から災害時食料難になった時でも安全で簡易に
食することのできるもの

防災植物協会より

※(R)は 防災協会の 登録商標を示しています。

このオオアラセイトウは、アブラナ科の植物という事で灰汁が無く、簡単に食べる事ができます。お浸しや胡麻和え、炒め物、サラダなど利用できます。ただし花が咲くころは茎が固くなるので、開花前に摘むのが良いでしょう。

景観が素敵なので鑑賞用としても利用されており、種や苗も売られています。

キャベツ栽培により、それを食べる大陸由来のモンシロチョウが大繁殖した為、戦後は在来種のスジグロシロチョウが生息の場を奪われてました。
しかし、外来種のオオアラセイトウを食草とする事で勢力を回復しているそうです。同じアブラナ科の植物でこのような事が起こるのですね。

■参考
防災植物協会 様

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