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【週末投稿】つれづれ有用植物#56(シソ科カキドオシ属:カキドオシ)

以前にもシソ科の魅力についてお伝えしてきましたが、まだまだ有用植物がある事に驚きを感じています。さて今回ご紹介する「カキドオシ」は、北海道から九州まで道端や野原、土手などに自生しています。

身近な存在のはずですが、知らないと雑草として全く目にも止まらないでしょう。今回の話をお読みいただきまして今度の散歩は、ちょっとだけ注意して草たちを眺めて頂くと、出逢いがあるかもしれませんね。

春に花がつく頃までは、5 ~ 20センチメートル (cm) ほどの高さに直立しますが、開花した後は長い走出茎が伸びて地面を這う様になり、垣根を通り抜けるほど伸長することから、「垣根通し」と呼ばれ、後に「垣通し」という名称になりました。また、丸い葉が並んで見えることから、連銭草(れんせんそう)という別名もあります。

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カキドオシは民間薬として古くからその効能が伝承されており、現在でも茎や葉を乾燥させたものは、生薬として利用されたり健康茶として利用されています。茎や葉全体には、良い香気がありますので、イギリスの一部の地域ではビールの香り付けや、浄化作用を期待して利用されています。

若葉は山菜としても利用されており、あくを抜いて、和え物やお浸しに調理されています。薬効の期待も良いですが、春の楽しみとして召し上がるのも良いのではないでしょうか。

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花は対生する葉腋から1本ずつ青紫色の花が数個輪生して、下唇に紅紫色の斑点を生じます。拡大するとなかなか可愛らしいですが実際は幅や奥行きは数センチ以内と小さいです。

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薬効が期待され、民間薬としても利用されていますが、国立健康・栄養研究所によると、ヒトでの安全性を証明する十分なデータは不足しているとの見解が出ています。しかし、マウスやラットによる動物実験では何らかの効果も報告されていますので、なんとも科学的には悩ましい状況です。

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さらに、栽培変種に葉に白斑があるものがあり、ヨーロッパ原産の斑入り種は見た目の美しさから、属名の「グレコマ(カキドオシ属の英名)」という名称で、園芸やグランドカバー目的に栽培、販売されています。

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国立健康・栄養研究所によると、特定の疾患(発作性疾患、腎疾患、肝疾患に罹患している人など)をお持ちの方は、使用禁忌などの注意が出ているので飲み合わせには注意が必要です。

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