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【週末投稿】つれづれ有用植物#111(バラ科サクラ属:サクラ)

サクラは皆様ご承知の通り、昔から人々に愛されてきた花木の一つです。
歴史を紐解けば、和歌や能にもサクラは登場します。
そして日本の入学シーズにサクラは、切っても切り離せないムードメーカーにもなっていますね。

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さて、有用植物としてのサクラはいろいろと多岐にわたるのですが、皆さまはどのくらい桜をご存じでしょうか。
主に北半球の温帯で広範囲に自生している植物ですが、日本由来の多くの栽培品種が世界各国に寄贈されて各地に根付いてる事も特色でしょう。

皆様は「ソメイヨシノ」という言葉をご存じの方が多いと思います。
サクラの代表的な品種ですね。日本固有種の「オオシマザクラ」と日本に自生している「エドヒガン」という野生種の交配によって出来た「栽培品種」です。

■エディブルフラワーとしてのサクラ、サクラ茶
サクラの若葉や花びらは、皆さまご存じの様に食べたり、お茶にしたり出来ます。
桜餅に使われる葉は、若葉を塩漬けにしたものですね。しかしお餅の部分のピンク色はサクラ由来の着色ではなくて、昔から食紅を使ってきました。そして甘い香りは、桜の葉に含まれるクマリンという天然芳香成分なのです。塩漬けにすると 独特の甘い匂いが出てきます。

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サクラの花びらは塩漬けにしたものを、お菓子や茶などに利用されています。

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多くが、開花直前の「八重桜」の蕾を塩漬けしたものを利用しています。

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【八重桜】

塩漬けにした桜の花をお湯に浸した、サクラ茶も楽しいですが、秋に紅葉した葉を水に漬けてお茶として楽しむ事も出来ます。
PinguBananaも秋に綺麗な赤い落ち葉を集めて、綺麗に洗って水につけてみましたら、きれいな色がでましたよ。

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ちなみにサクランボは同じサクラの仲間で桜桃(おうとう)と呼ばれ、有史以前から食べられている実が大きくなった種です。
観賞用のサクラの実は食べられる部分は極端に少ないですが、食べたりリカーに漬けて発色させたお酒を楽しむ事ができます。

■鳥にとっても有用植物なサクラ
開花の時期に、人間だけが喜ぶのかといえば違うのですよ。
この時期に散歩していると、路面に散った花びらに混ざって、花の形のまま落ちているものを見かける事があります。
これは、鳥たちがガクのあたりをくちばしで千切る事で花蜜を楽しんでいると考えられており、この現象は地域性があります。鳥たちの学習により受け継がれている所は、そのような花が沢山落ちていますし、まったく観察できない地域もあります。

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■着色や香り付け、装飾用としてのサクラ
草木染では、前述の紅葉から色素を抽出する方法も稀にありますが、多くは冬の寒い時期の木の皮から取り出します。一斉に開花する花びらの色をつくるために、コツコツと赤い色素を作り始めているのですね。

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木材をチップ状にした「スモーク材(燻製チップ)」は香りや色付けにも利用されています。

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そして、器具 / 家具/楽器/ひきもの/彫刻などにも利用されます。
皮は砕いて草木染めの色素原料として利用されたり、なめして食器などにも利用されます。

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■雑交しやすい特徴
原種としてのサクラは今でも山に生存している所も多いです。
以下は日本原種の野生のサクラです。

・オオシマザクラ
・ヤマザクラ
・マメザクラ
・チョウジザクラ
・クマノザクラ

サクラは突然変異が多い植物で、樹形、花期、花と花弁の付き方・数・形・大きさ・色、実の増減、耐候性、病害虫への強靭性などの特徴が発現する様です。実はPinguBananaの住んでいる近くで、新種のサクラが発見された「ホシザクラ」などがあります。

そして、春開花するサクラの他秋や冬に開花する桜もあります。

■ソメイヨシノ('染井吉野')は絶滅の危機!?
ソメイヨシノは前述したように、オオシマザクラとエドヒガンの交配により出来た一品種です。江戸時代後期に開発され、昭和の高度経済成長期にかけて日本全国で圧倒的に多く植えられました。

その淡く美しい花びらの特性を均一に大量に広めるために、全国や海外で観られるソメイヨシノは、1本の原木から接ぎ木で増やしてきたクローンなのです。遺伝子解析によりその原木が上野公園にあるという仮説があります。

そのため、南国のバナナと同じく(同一品種のクローン)疫病が流行ってしまうと、軽滅的にやられてしまい危険性があるのです。そして植樹されたソメイヨシノはそろそろ樹齢も結構な年になり、老木が増えてきました。枯れて株を撤去した所は、土を入れ替えないと同じ場所でサクラは育たないと言われており、そろそろソメイヨシノ問題が大きくなってくると思われます。

★参考
上野公園が元祖? ソメイヨシノの原木の可能性 (ウェザニュース)


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