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【週末投稿】つれづれ有用植物#28(ナス科:タバコ属 タバコ)

皆さまご存じのタバコ。葉の成分として、強い嗜癖性があるニコチンを含む植物です。たばこ専売制度の廃止に伴い「たばこ事業法」が改正され、制限付きですが、観賞用としてタバコを栽培する事が可能となりました。

今回は、法的根拠を示しながら園芸界に観賞用のタバコ属の植物たちが販売されている事をお伝えしつつ、実際のタバコを観賞用に栽培する方法についてお伝えしたいと思います。

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商業栽培では、特定の組合に所属している特定の農家だけが収穫・製造を許されております。喫煙の用途で栽培されているのは、主にニコチアナ・タバカムとニコチアナ・ルスチカの2種類です。タバコの種は直径約0.5㎜ととても小さく、見た目はコーヒーの粉によく似ています。図の様に綺麗な花が咲きますが、主役である葉に充分な栄養を行き渡らせるため、花は咲くと同時に切り落としています。草丈は花が咲くころには約120㎝以上まで生長し、約20枚程の葉をつけます。タバコの葉の大きさは、大きいもので長さが約70㎝、幅が約30㎝程にまで成長します。

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【ニコチン量が多い「ルスチカ(ラスティカ)」】

日本国内では葉を5種類に区別し、上から上葉・本葉・合葉・中葉・下葉と呼び、上葉は6%程度、下葉は1%程度のニコチンを含むので、収穫は濃度の高い部位を収穫するそうです。

日本では江戸時代から各地で耕作されるようになり、土地ごとに異なった気候や土壌に育まれ、多くの品種が生まれましたが、現在ではそれらの古品種は、海外の品種に押されて生産されている所は僅かになってしまいました。紙巻きたばこ(シガレット)の需要の高まりとともに、黄色種やバーレー種へ生産が切り替わりました。

種まきは温室などで1月頃から始まり、3月頃に定植され、6月頃に収穫から収穫、乾燥、出荷の工程を辿ります。約10ヵ月かけて栽培されます。

■一般家庭での育成はどうなのでしょうか

さて、日本の場合は一般家庭での栽培はできるのでしょうか?実は「たばこ事業法」の解釈によって可能な様で、収穫・製造をしなければ観賞用として栽培できるため、国内でも種子を販売する所が出てきましたし、海外からタバコの種を購入する事もできます。

たばこ事業法 第二条
・たばこ   たばこ属の植物を言う
・葉たばこ  タバコの葉を言う
製造タバコ 喫煙用、かみ用またはがぎ用 に供しえる状態に製造されたものを言う。

たばこ事業法 第八条
製造たばこは、会社でなければ製造してはならない。

以上より、タバコ(タバコ属の植物)は観賞用と喫煙用は法律では区別されておらず、「育成だけ」なら違法ではないと解釈できます。逆に一般家庭で栽培して、葉を収穫したり、葉をキュアリングしたらこれすなわち、製造タバコとして「供しえる状態」に製造されたと解釈される可能性が大きく、違法と判断できます。

■栽培方法

種から栽培します。一般の園芸書では発芽温度は25度との記載がありますが、一般家庭で育成効率を重視しない場合であれば、PinguBanana の所では18度でも順調に発芽しています。発芽条件には若干の太陽光が必要な種があるようなので、表土に種を蒔き指でうっすら土を掛ける程度にして、表土が乾燥しないように時々霧吹きを掛けながら様子を見る様にしています。関東に住んでいる PinguBanana は1月に種まきをして家の中で育てています。

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栽培種としては一年草として扱われていますが、原産地ではもともと多年草なんです。私の所でも秋に枯れない種は家で越冬させて翌年も元気に花を咲かせています。

タバコの花はピンク色の花が多く、観賞用では濃い赤の花もありますが、Rubio という品種は、白花で可愛らしく観賞にも良いと個人的には思っています。

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【Tabacum Rubio】

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