【講和の機会をいただきました】
前回の投稿はこちらからお願いいたします。
タイトルにあるとおり、先日地元の土曜塾にて講和の機会をいただきました。
対象は中学生で、テーマは自身の海外での経験にまつわるものであれば基本的にはフリーということだったので、「世界を知る」というタイトルでお話してきました。
【1時間で何を伝えられるか】
私は2018年6月より、青年海外協力隊として中東ヨルダンの地で教育に携わる活動をしてきました。
国民の9割がイスラームを信仰している国に身を置き、そして「紛争」や「難民」といった日本には馴染みの薄い問題について考える機会は、何にも代えがたいものでした。
しかし、「進路」や「将来」というテーマに直面している、あるいはこれから直面するであろう中学生を対象とした時に、ヨルダンでの生活や活動の体験だけを披露することには抵抗がありました。単なる自身の活動報告で終始するのではなく、たとえわずかであっても彼ら彼女らのなかに何かを残し、数年後、数十年後にでもふと思い出してもらえるような時間を提供したい。
これらをベースに講和の内容を精査した結果、大雑把ではありますが以下のような流れでお話することにしました。
①大学2年次にして初の海外 ―意欲も夢もない惰性の日々
②タイで知った世界の現実の一端 ―初めて(うっすらと)みえた「やりたいこと」
③ヨルダンでの2年間 ―宗教、紛争、難民
④まとめ(大切なこと) ―「コミュニケーション」「自ら動くこと」
まず①と②についてですが、自身が国際関係への道を歩むに至ったルーツが、以下のマガジンで詳細に描かれています。
大学生活を目標もなく惰性で過ごし、中退も考えた一人の人間を変えた契機を綴っています。
③についても、ヨルダンでの現地での生活の一端をルポルタージュという形でまとめていましたので過去の記事を参照ください。
最後に④ですが、ここは詳述します。
講和の結びとして、海外滞在を通じて感じた2つの大切なことを生徒たちに伝えました。
まず一つ目は「コミュニケーションの大切さ」です。
2年間にわたる海外滞在を通じて、やはり最も苦労した部分は「言葉」の部分でした。
世界最高難易度の言語の一つともいわれる「アラビア語」は、発音から文法から何から何まで日本語とは異なります。
当初はそれでも「行ったらどうにかなるだろう」と思い、同期の誰よりも勉強してヨルダンの地に降り立ったつもりでした。ところが赴任してみると、事はそう思うように運ばず、それはアラビア語の難しさを痛感する日々でした。時には相手の言葉を誤って解釈したことから約束を反故にしてしまい、職場の同僚との関係がこじれかけたこともありました。
それでもさじを投げずに、仕事の後に実費で語学学校に通い、帰宅後はたとえ疲れていたとしても最低1時間はアラビア語と向き合う生活を習慣化させたことで、1年を経過した辺りからようやく「慣れ」の感覚を掴むことができました。
他者と「コミュニケーション」を図るうえで「言葉」は重要なツールの一つであることは間違いありません。
言葉を介し、意図を汲み取るといったコミュニケーションを交わすことで事前に避けられる、あるいは折り合いを付けられるような争いやトラブルもあるのではないでしょうか。たとえ、国籍・民族・宗教・世代が違っていたとしてもです。
言っても伝わらない、理解し合えない状況も当然ありますが。
世界中で「分断」が叫ばれる昨今においては、意見やイデオロギーの相違に折り合いをつけることはより困難になりつつあると思います。しかし、社会においてコミュニケーションが欠かせないツールであることは、時代を超えてもなお重要であることには変わりありません。
そしてまとめの2つ目は「外に出る、そして動く」ということです。
詳細は既出のタイでの経験をまとめたマガジンに譲りますが、私は先輩からタイでのボランティアの誘いを受け、実際に赴いてみたことで世界の現実の一端を知り、既存の価値観が覆されました。その誘いを断るという選択をしていれば、もしかしたら大学を中退し、夢も目標もないままに毎日を過ごしていたかもしれません。
しかし今思い返してみると、当時大学生活を退屈でつまらないものだと思い込んでいたのは、「自ら行動を起こすこともない受け身のスタンス」だったことが最大の原因だったと思います。
自分の夢ややりたいことがあっても、思っているだけ・祈っているだけではそれが叶うはずもなく、ただ時間を浪費することになります。また、中学生であればやりたいことが思い浮かばないという生徒も少なくないと思います。私の場合は大学生になってもなおそのような状態でした。
しかし、実際に勇気を出して「外に出てみること」そして「自ら動いてみること」で人生を一変させるほどの重要な出来事や人物に遭遇する可能性はぐんと高まります。
いきなり海外とまではいかなくても、進学で県外に出てみるだとか、就職にあたって関東に進出してみるといったことも一つの契機になるかもしれません。
また一方で、一度外に出てみることで改めて生まれ育った故郷の良さに気付き、地元に戻って働くという決断を下す人もいるでしょう。それも一つの気付きであり、重要なプロセスです。
【来週、授業再び】
ざっくりとですが、前回は以上のような流れでお話してきました。
そして実のところ、来週は小学校での授業の機会をいただいており、次回は小学校3、4年生を対象としたものとなります。
当然ながら、中学生と小学生とでは話す内容も変わってきますので、構成を再度練って臨みたいと思っています。
来週の記事では、学校での授業の内容をまとめる予定ですので、そちらもご覧いただければ幸いです。
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