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反面教師

本当に最悪だった。

バス通勤の私と先輩は定時に上がろうと、挨拶をしたところだった。

挨拶をしたところで電話が鳴り、車通勤の上司が電話に出た。

『本日の営業は終了しました。え?なんだよ笑』と楽しそうな会話を尻目に職場を去ろうとするとまた鳴る電話。

一緒に退社するはずだった先輩が出てくれた。電話の相手は私に用があったらしいが、「春川は退社しました。」と言って私は思わず笑ってしまった。先輩は帰っていいよとハンドサインをしてくれた。

バスが来たところで最後の信号に引っかかり、私は乗ることができなかった。すごすごと会社に戻って、どういった用件だったのかを聞いた。

先輩の電話相手だった人は私の苦手な人(社内)だった。そして用件はこうだった。

今日、取引先に確認してもらう書類があるから、私の部署誰でもいいから下書きをやってくれ、期限は「本日中」というメール。まだ覚えたばかりの業務をする私とそのカバーをする先輩と上司。仕事が落ち着き、やっと手を付けようとした矢先に先輩のもとにその人から電話で催促された。この時点でまだ16時半頃。

「本日中」の意味とは・・・とげんなりする私たち。せめて時間指定してくれればいいのに・・・と私が取りかかった。これが運の尽きだった。

入れなければいけない文言を見逃していた。

そして電話をとってしまった先輩は長々と文句を言われ、「春川は退社しました」と言った時に思わず笑ってしまった私の笑い声を目ざとく(耳ざとく?)聞きつけて、『その声、春川さんじゃないの??』とまで言っていたらしい。

いつも長々と文句を言ってきたり、時間指定してないのに催促の電話を何度も何度もかけてくる。入ったばかりの私でさえも気が滅入ってしまう。

そしてトドメの一発で、「明日その苦手な人(社内)が、春川さんに怒っておくから!って言ってたよ・・・」と苦笑しながら教えてくれた。

苦手な人間から怒られることほど嫌なことはない。いつも私を指導してくれる上司や先輩ならまだしも、私が普段どんな業務をしているかどんなことができるのかも知らない人間に偉そうに怒られたくない。

それに、こんな予告ホームランをされて明日いい気持ちで出社できる人間がどこにいるのだろうか・・・

この苦手な人(社内)にこういう嫌な気持ちにさせられたことは今回が初めてではない。

こういう不快な気持ちにさせられる度に「こういう人間にはならんとこう」と思う。

春から先輩になることが決まったので、私は優しく、後輩がすくすくと育てるような空気を作る先輩になる。

いい先輩、こういう先輩になりたい像があることも大事だけど、こういう気持ちにさせんような人間になるという反面教師の存在も一方必要である。

多くは関わりたくないですけどね。

(Photo by shimakoneko、Thanks!)

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