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ホラーな話。。笑

この記事は、麻衣さんにリクエストを貰いました。もう、本当にありがとう。

リクエストは
『ホラーな話』

考え出したら、めちゃくちゃムズイ。
ホラーと言えば夜勤だろう、それはたぶん間違いない!

この話は、

夜勤に訪れる心温まる戦士の話

その日は、そうだ。
確か、僕と女性職員の2人夜勤だった。

まずは、夜勤の説明でもしておこう。

夜勤は職員2人で対応していて、途中から1人が仮眠に入る。すると朝まで職員1人の時間が訪れる。

とは言え、利用者はいるもんだから、完全に無人に1人という訳でもないし、仕事なら腐るほどあるから、もっぱら事務仕事に打ち込むのがデフォルトだ。

その日も、そんな夜勤だった。

いつも通り、女性職員は仮眠に入り、僕はパソコンに向かって、ひたすら事務仕事をこなしていた。

やはり、利用者が寝ている時間だ。とても静かで、僕のキーボードを叩く音だけが、一定のリズムで反響し、いつの間にか消えていく。

そんな静寂の中、
1つの物音から物語が始まる。

「カターン」

コップを机に置いたような、そんな音だった。

おそらく誰か起きてきたのだろう。夜に水を飲みにきたり、煙草を吸いに来る。そんなことは特に珍しいことでもない。

「ガラガラ、ガラ」

「カチ、カチ」

この時間なら、たぶん〇〇さんだ。

その利用者は、いつもこの時間帯にトイレに起きて、少し職員と話をする。頻尿で起きてしまう人は珍しくないし、夜中に話に来る人も多くいる。

「オシッコで起きてしまった」

もう少し待てば、そう言いながら現れる。いつものことだと気にもせず、僕は事務仕事を続けていた。

「ガラガラ、ガガン」

ん、〇〇さん全然来ないし、音がうるさいな。
ちょっと寝ぼけているのだろう。

流石に僕も少し気になり始めたが、だけど僕には事務仕事が腐るほどある。今は出来るだけ進めていたい。

そんな気持ちから、耳はそちらに向けたまま、僕は事務仕事を継続していた。うん、つまり無視をした。

「キィ〜、キィ〜」

「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガ、ガ、ガ、」

「カーン、カーン、カサ、カサ、」

「キィ〜、キィ〜、」

おいおいおい、
流石に破茶滅茶な音を出しすぎだ!

転倒で怪我なんて福祉施設じゃありがちだ。
でも、気付いていたのに放置したとなれば、それは僕の職務怠慢以外のなにものでもない。

それはヤバイと席を立ち、音のする方へ走り出す。(廊下は歩きましょう)

走る最中、僕は視界に丸いものが落ちているのを捉えていた。不審に思って止まりかけたが、派手な音が止まらない。

「ガシャ、ガチャ、ガシャ、」

音が鳴り続けることに焦りを覚え、視界に捉えた何かに違和感を感じながらも足を止めることは出来なかった。

「カチ、カチ、キィ〜、」

「ポン、ポン」

音がどんどん大きくなる。ただ、確実に音の主に近づいているのが、その音だけで理解できる。

施設内は暗闇だ。
当たり前だ、今は夜の2時過ぎなんだ。

ここまで来て、懐中電灯も持たずに飛び出したことを少し後悔した。

「カーン、カン、キィ、キィ」

もう音の主は近い。

そう感じた時、そいつが不意に姿を現した。

「ぅ、うわッ」

急に目の前に現れたそいつに驚き、僕は恥ずかしくなる程の声量で叫んでいた。

「キィ〜、キィ」

そいつは、僕の声に気づき動きを止める。

そして振り返り、こう囁いた。

「玄関まで連れてってくれへんか、表に倒れてる人に、ご飯あげよう思って。僕はええんや、戦わなアカンからな。道に迷わんよう玄関までアメも撒いてきたんや、」

そいつは車椅子に乗り、胸元に懐中電灯差し込み、上向きに点灯させ、頭に洗面器、左手に孫の手、右手にミルク飴を持ち、手の甲にご飯粒を付けて、こちらを見ていた。

振り返ると廊下に数十個もの光が煌めいていた。

慈悲の心で見えない他人を助けようと、夜間警備する利用者の話でした。


ホラーとは違うか。でも、心臓出るかと思うぐらいびっくりしたんですよ?笑

また、ホラーな話は仕入れておきます。

最後まで読んでくれてありがとう。

サークルもよろしくね。


またねー^ ^

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