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TOPページのリニューアルをした

今日、担当サービスのトップページのデザインリニューアル案件が無事にリリースされた。ローンチ以来一度も変えたことが無かったトップページのデザインを、今変えるということにどんな意味があるのか。それを考えるとこの案件の重大さは誰もが予想することができるだろう。(あまり各案件に対して重要度などはつけたくないのだが。)
そもそも、このリニューアル案件は私にとって特別な意味を持った案件だった。


転職前のカジュアル面談時のことだ。
そのカジュアル面談では、今では同じチームで一緒に働いている先輩ディレクターが、パーカーにリュックというとても転職を考えているとは思えないような格好でオフィスにやって来た私を暖かく迎え入れてくれた。
ディレクターと私は向かい合って座り、二人の間にある大きな机の上には、会社のキャラクターを使用したラベルのついたペットボトルと、ディレクターの小さなノートパソコンが置いてあった。
ディレクターはノートパソコンに、企業についての説明資料を映してくれて、左からパソコンを覗き込み、丁寧に会社の企業理念や文化、携わっているサービスの概要や展望について、チームの構成や雰囲気などを教えてくれた。私は右からパソコンの画面を覗き込み、頷きながら説明を聞いていた。
どんどん進んでいく話を頭の中でひとつずつ整理しながら聞いていくと、そのサービスの可能性を強く感じ、そこにある未来に自らの手で触れたくなった。
「このサービスの進む道は、絶対に誰かの幸せに繋がっていて、社会を良い方向に変えていく。」
「このサービスを通して、未来を作っていきたい!」
ディレクターの話が終わる頃には、私は無意識にキラキラした目でディレクターが見せてくれたパソコンの画面を見ていた。

私がサービスのトップページが映し出されたパソコンの画面をじーっと見つめていると、ディレクターはそれに気づいて、苦笑いをしながらこう言った。
「あ、このトップページね、ダサいよね。」
私は慌てて手を横に振りながら「そんなことないですよ!」と伝えたが、ディレクターにその声は届かなくて、ディレクターはクルッと自分の方にパソコンの画面を向けながら、言った。
「デザイナーが今、チームにいなくてね・・・。でも、デザイナーを採用出来たら、絶対にトップページのデザインをリニューアルしたいと思ってるの!」
ディレクターのその言葉がピストルのように私の心を撃ち抜いた。
それからずーっと、面接すら受けてもいない「他社のデザイナー」だった時から実際にトップページのデザインのリニューアル案件がリリースされた今日まで、ディレクターのこの言葉が頭から離れる時は無かった。


トップページのデザインリニューアル案件が無事にリリースされたことが確認できた時、一番最初に思い出したのはカジュアル面談時のあのディレクターの言葉とあの部屋の情景で、ずーっとずーっと昔の約束をやっと果たせたかのような達成感と安心感で心はいっぱいになった。それはまるで真っ暗なトンネルのずーっとずーっと先に、一筋の光を見つけたかのような感覚に似ている気がする。
それだけじゃない。
今まで自分のwantを叶えるので必死だった私が「私の半径5m以内の誰かのwantを叶えた」という事実が、「自分が想像しているより遥かに自分は大きな力を持っていて、ちゃんと世の中の、いや、誰かの役に立っている」という存在の証明をもしてくれたと思っている。

リリースできた今、振り返ってみると、本当に特別な意味を持つ案件だった。


ディレクターはあのカジュアル面談時の言葉を覚えているのだろうか。私が「あの時のあの言葉、やっと叶えましたよ!」と言ったらどんなリアクションをしてくれるのだろうか。
聞いてみたいような、でも聞きたくないような・・・。
いや、思い出はなるべくならキレイに保存しておきたい。自分の心だけに閉まっておこう。

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