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製作元フェチ

  アニメのキャラの声優を誰があててるとか、アーティストに提供された曲の作詞作曲者とか、プライベートブランド製品のOEMを手がけているメーカーとか、そういう「製作元」を探るのが好きだ。きっと私みたいな人、他にもいると思う。
 製作者の名前が表には出ていないけれど、調べてみたら安心かつ信頼できる製作元だとわかったとき、自分がまるで目利きにでもなったような気分になる。「これ初めて見る商品だけどとても質がいいな…」という自分のファーストインプレッションの答え合わせが出来たとき、かなり嬉しい。もし製作元を知らなかったとしても、これだけのハイクオリティのなものを作り出す製作元を今後忘れることはないだろうし、どちらにせよ良いことだ。

 今回はそんな"製作元"に関する書き物。

-声優編

 人並みにアニメを見る。私は熱心に毎クール毎クール見漁るようなオタクではなく、また特定の声優を追いかけるようなオタクでもないが、自分が興味関心を抱いた作品はすぐに見るようにしている。
 アニメのキャラクターというのは声優が声をあてることで命が吹き込まれている。だから「キャラクター=特定の声優」というイメージがつきがちだ。しかし声優も多くの作品に出演しているので、ときには複数の作品間で「えっ、このキャラの声、〇〇さんなんだ!」となることもしばしばある。あまりにも演じているキャラクター同士の性格が乖離していたり、あるいはまったく逆の性別だったりすることがあるが、複数のアニメ作品に出演している以上、それは当たり前のことだ。

 だから初めて見たアニメでも「あれ、この声聞いたことあるな…」となることがある。製作元が同じだと判明するこの瞬間が結構うれしい。特に好きなアニメのキャラクターと声が一緒だったときは、そのキャラクターの顔がよぎって、余計に好きになってしまう。もしかして潜在的な声フェチなのかもしれないと思ったが、おそらく"耳利き"の自分に自惚れているだけである。

 ちなみに私の好きな声優もあげておく。

 錦木千束(リコリス・リコイル) CV.安済知佳
小津(四畳半神話大系) CV.吉野裕行

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-作詞作曲者編

 ソロアーティストやアイドルグループはよく別のアーティストから楽曲提供を受ける。その曲を誰が作詞作曲しているかという、それだけで話題をかっさらうこともあり、ひとつの売り文句にもなる。

 楽曲提供、これには「カバー」とはまた違う魅力がある。

 カバーというのは、既存の原曲をベースにアーティストなりのアレンジを加えるということ。つまり"作風"はアレンジ主であるカバーアーティストのものになる。実際に歌ったり音を出すのはカバーするアーティストなので当然だ。
 対して、アーティスト提供曲を別のアーティストが歌う、これはつまり「作風が乗り移った」ということになる。ここでの作風はあくまで作詞作曲をしたアーティストのものである。
 実際に歌唱演奏をしているアーティストの歌声や楽器の音とは別に、その裏側に作者の"作風"が垣間見えることがとても良い。いわば元ネタが見え隠れしている状態。それは歌詞の語感や話し言葉、押韻しているワードであったり、ギターのリフやベースラインであったりと様々で、その"元ネタ"はじっくり聴いてみると意外といたるところに散りばめられている。これを見つけ出すのが楽しいのだ。
 アーティストの作風を見つけ出す、私はこれをとても高尚な音楽の聴き方だと勝手に思っている。

以下、私の好きなアーティスト提供曲をあげておく。

「さよならばいばいまたあした/私立恵比寿中学」作詞作曲・角館健悟(Yogee New Waves )

「旅立ち/adieu」作詞作曲・ヤナセジロウ(betcover!!)

「Car♡Wash♡Girl♡/上坂すみれ」作詞作曲・清竜人

-OEMメーカー編

 最近は大手量販店やスーパー、コンビニなどからPB(プライベートブランド)製品が多く発売されるようになった。ファミリーマートでいえばファミマル、イオン系列でいえばトップバリュ、スギ薬局グループでいえばエスセレクトなど、多岐にわたる。
 PB製品とは、生産機能を持たない小売企業や量販店がメーカーに製品の生産を委託し、販売する際に小売企業の自社ブランドと銘打って展開する製品のこと。取扱品目が増える小売企業と、生産増大&販路を拡大できるメーカーの両者WINWINの関係を築くことが出来るシステムだ。
 小売企業側はある程度まとまって仕入れているのもあって比較的安価なのも特徴で、物価高にあえぐ現代の消費者の火のついた家計を、PB製品たちは懸命に下支えしている。

 さて、PB製品の裏面に記載されている商品表示欄を見てみると、実際に製品の製造を担ったメーカーの名前が記載されていることがある。誰もが知る有名メーカーから、中堅規模のメーカー、そして地方に根ざした生産を行う小規模なメーカー、それは様々だ。

 これ、美味しくて安いけどどこのメーカーだろう…?えっ、有名なあの○○が作ってる!なのにこのお値打ち価格!…なんてことがよくある。このように、どこのメーカーが製造してるのかがすごい気になるので、毎回調べている。
 これが大手メーカーなら「まぁそうだよな」で終わるが、たまに初めて聞くようなメーカーの名前も見かける。そういったメーカーは、OEM製造をメインとしているBtoB企業の場合が多く、確かに一般的な知名度は低いかもしれないが、大手の小売企業などから発注を受けて製造をしている、安心かつ信頼できるメーカーだ。

 初めて聞く名前のメーカーは必ず調べるようにしている。ホームページを調べてみると、とてもこだわった独自製法や原料を使っていたり、OEM製品ではない自社製品も展開していたりして、パントリーやいかりスーパーなどのセレクトストアに行くとその製品が置いてあったりする。これがとても嬉しい。
 皆が「安いから」と買っていくPB製品のOEM製造元のメーカーが実は自社製品(ナショナルブランド品)も作っていて、それもとても品質が良くてちょっと値は張るけどめっちゃ美味いんだぜ!お前ら知らねぇだろうけど…!という優越感に浸れる。私はよくそういうOEMマウントを取っている。

トップバリュのジェネリックピノ/製造元は福岡の名糖乳業株式会社

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 オタクは元ネタを探るのが大好きである。ボケやツッコミ、歌詞やメロディ、ファッションから言葉遣い、あらゆるところに散りばめられた"元ネタ"に気づくと手を叩いてキャッキャと喜ぶ。そういう生き物だ。

 もしかしたら、そういう"表には出ていない隠し要素"を好きなこの性質こそが、私の製造元フェチという性癖に繋がっているのかもしれない。

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