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ひまわりの種 4

 うちのメダカの水槽は教室のようだ、と思う。細くて弱いメダカは、すぐにいじめられる。えさを食べるのも、逃げながらでないといけない。

 私はその弱いメダカだった。

 でも、先生といるときは強くなっている気がした。水槽で言えば土管の中にいるときだと思う。私にはそれがあった。安心できる場所が。

 もう、私には子供騙しは効かなかった。かくれんぼで先生を見つけて、「いたー!」と言ってしまうほど、ゲームで勝って、嬉しくて勝手に声が出るほど子供ではなかった。

 それが悲しくて、寂しかった。

 先生に好きなだけ甘えられて、私もまだ子供でいていいんだと思えた。子供騙しは、もう効かなかったけど。

 卒業間近、英語の授業で比喩(metaphor)を使って詩を書くことになった。

 私は、先生のことを"My teacher is a sunflower"という比喩で表した。その比喩をを先生に見てもらったあと、私はこんな詩を書いた。

"My teacher is a sunflower"
I wrote this metaphor in English class
Then, she said to me "You are sunflower seeds"
I have been happy since then

 私が先生をひまわりだと言ったら、先生は私のことを、ひまわりの種だと言ってくれた。先生は軽く言っただけに見えたが、私はあとから嬉しくなって、この詩を勢いで仕上げた。先生も喜んでくれた。

 歳で言えば2歳ぐらい、大人になってしまってからだけど、あのとき伝えきれていなかったかもしれないから。


You are my treasure, too.Thank you for your support, my teachers.



ひまわりの種 完

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