見て聞いて感じるんだ。
昨日近所のショッピングモールに足を運んで買い物をしていた時にふと思い出したのだが、そこは以前ビールの工場だった。
と言ってもビールを醸造しているわけではなく瓶を作っていた。
名前を聞けば誰もが知っている大手企業で、小学生の頃にはそこに社会科見学に行く事が決まっていた。
学校で貸し切りバスに乗って工場に行くのはそれだけでワクワクした。
ほどなくして到着すると広報のお姉さんが工場内を案内してくれる。
二階に上るとそこから窓ガラス越しに操業の様子が一目でわかった。
ドロドロに熱したガラスが成形されて水で冷やされてケースに収められる光景は壮観で見ていて飽きなかった。
そして最大のお楽しみはその工場で作った瓶に詰められたオレンジジュースとチーズおかきが配られることだった。
課外授業とはいえ学校行事でジュースが飲めるのは何とも特別感があって愉快だった。
そんなひと盛り上がりがあって工場長さんのありがたいお話を聞いてお開きになった。
それから次の目的地に向かうのだが、ジュースを飲んだことによりおしっこに行きたくなってもじもじと悶絶したものである。
それは私だけではなく他の子も同じで特に女子が蒼い顔をして一点を見つめているのは少々気の毒だった。
しばらくして二番目の訪問先であるダムに着くと多くの子がトイレに駆け込んだ。
ダムのトイレは薄暗くてお世辞にも綺麗とは言えなかったが男子はあまり気にせずに連れしょんをしていた。
女子トイレには長い行列が出来ており大変だなぁと用を足してすっきりした頭で考えていた。
ダムの見学は特別に内部まで入れるので秘密基地探索みたいで楽しかった。
長い階段を下るとダムの底に着く。
そこから見上げる巨大なコンクリートの塊には圧倒された。
願わくば放水も見たかったが特別な用事がない限りそれは叶わなかった。
ダム見学が終わると近くの公園でお弁当タイムになった。
おやつも三百円までなら持ち込み自由だったのでお菓子トレードで盛り上がったものである。
一時間休憩をしてから最後に印刷会社を訪問する。
お昼までに興奮の連続だったのでこの頃には疲れており、担当のお兄さんんの説明をまともに聞いている子は少なかった。
私も強烈な睡魔に襲われてウトウトしたものである。
帰り際にノートをくれるのでその時はクラス全員で元気よくお礼を言った。
現金な話だが何かもらえると単純に嬉しい。
それから小学校に戻ってきてその日の感想文を書かされた。
私は見てきたものをそのまま正直につらつらと書いてすぐに提出した。
中には感想文の苦手な子もいて苦戦していた。
みんなが書き終わらないと帰れなかったのでじりじりとして待ったものだ。
何だかんだでいつもよりずっと遅い時間に帰宅するようになることが多かった。
その日の晩御飯の話題は私の独壇場であれこれとペラペラと喋ったものである。
ああ、懐かしいなと思いつつ昨日の晩御飯の事を少々。
昨日は久しぶりに麺類が食べたかった。
食材の保管庫を覗くとそうめんとスパゲティと蕎麦があったでどれにしようか少し悩んだ。
蕎麦はご無沙汰だったでそれを茹でることにした。
お湯を沸かしている間にキムチに刻んだキュウリを混ぜて味を馴染ませておく。
お湯が沸いたらパラパラと蕎麦を入れて四分茹でる。
それからザルにあけてしっかり水で締める。
麺つゆを器に入れてそこに蕎麦を浸す。
上からキュウリキムチを並べて仕上げにごま油をタラリ。
あっという間にキムチ蕎麦の出来上がり。
副菜はレンコンをスライサーで薄切りにして少量の油で揚げたレンコンチップス。
昨日の晩御飯は潔くこの二品で勝負。
妻を呼んでご飯にする。
何はともあれまずはお酒。
昨日はチューハイで乾杯。
チュッと飲むとじんわりと美味い。
つまみはレンコンチップス。
味付けはシンプルに岩塩。
齧るとサクッと歯ごたえが良くてとても香ばしい。
野菜チップスは簡単で栄養がある気がして食べるのが楽しい。
お酒を飲みつつ蕎麦を食べる。
全体をよく混ぜてズズッとすするとキムチの辛みと酸味が口に広がる。
そらからのど越しのいい蕎麦がつるりと流れていきフハッ、ウマっと声が漏れる。
仕上げに加えたごま油がいい仕事をしており香ばしい。
ツルツルと食べるとあっという間に食べきってしまった。
お酒は一杯で打ち止めにしたは我ながら偉いと思う。
簡単な晩御飯だったので一時間も経たずにご馳走様。
片づけもラクチンでちょちょいのちょい。
さぁて今日は何を食べようかな。
あっさり晩ご飯の次の日だからボリュームがあるものにしようかな。
そうなるとお肉ですかね。
肉汁したたるステーキとかどうっすか?
うーん夕方は腹が減るなぁ。