唇は当然ムラサキ。
つい先日地元の小学校でプール開きがあったというニュースを耳にした。
私の住んでいる町では六月の前半にプールの授業が始まる。
もちろん屋外なので梅雨空の下で泳ぐのは大変に寒い。
どうせ濡れるからと言う理由で少々の雨だと授業が決行される。
プールに入る前に冷たいシャワーを浴びなくてはならずそれが地味に嫌だった。
それから足を消毒してようやくプールサイドに辿り着く。
すぐに泳げるかと言えばそんな事はなく担任の先生が話す注意事項を聞いてラジオ体操をする。
六月初旬の肌寒い空気のもとで半裸なので体はすっかり冷え切っている。
体操が終わるといよいよプールに入れるのだが入った瞬間は肌がキュッとなるくらい寒さが募る。
それでも軽く水の中で体を動かしているとようやくプールの授業っぽくなる。
私は小さい頃からスイミングを嗜んでいたので授業で水に潜ったり息継ぎの練習をしたりするのがまだるっこしくて退屈だった。
かといって生徒だけで勝手に泳ぐことは厳禁でおとなしく担任の指導を受けるしかなかった。
プールの授業は毎年初歩的なものから始まるので正直あまり好きになれなかった。
これが夏休み直前になると授業が進んでテストが行われるようになる。
具体的には何メートル泳げるかという内容で二十五メートルを足を着かないで泳げたら合格だった。
私はここぞとばかりに調子に乗って百メートルくらい泳いでクラスメートの喝采を浴びたものである。
普段目立たない地味な生徒だった私にスポットライトが当たる貴重な時間だった。
そんなプールの授業が終わると教室で着替えることになる。
当然男子と女子は着替える部屋が違っていた。
クラスの中に何人かがあらかじめ水着を履いてきており替えのパンツを忘れてノーパンで過ごす羽目になるやつがいた。
またいたずら好きのグループが着替えている気の弱い子のタオルをはぎ取って全裸にして教室の外に放り出すと言う鬼畜の所業も日常的にあった。
私はそのいじめのターゲットにならないように気配を消して誰よりもはやい速度で着替えていた。
まだ体は半乾きだったので体が冷えて仕方がなかった。
学校のプールの授業はそんな魔の時間帯もあったのであまり好きになれなかった。
もちろん担任も水の事故が無いように気を遣っただろうしそれなりに苦労も今となってはまあわかる。
良い事があるとすれば授業後の給食が普段の何倍も美味しく感じられたことであろう。
まああまり大したことではないが全身運動後のおまけとしては悪くなかった。
そんな事を懐かしく思い出しながら昨日の晩御飯を振り返ってみる。
昨日は帰宅が遅くなったのでお惣菜を活用した。
メインにしたのは二割引きだった鶏のから揚げ。
そのまま食べても良かったのだが少しだけ手を加えた。
トースターでこんがりするまで焼く。
表面がカリカリになったら取り出して黒酢を振りかける。
後はニンニクを摺り下ろしてマヨネーズと混ぜておく。
副菜は簡単にちくわにキュウリを詰めて味噌で食べる。
もう一品欲しかったので冷蔵庫を覗くと卵があったので白だしを加えて玉子焼き器でだし巻き卵を作った。
汁物も欲しかったので簡単にキャベツのすいとんを拵えた。
ここまでにかかった時間は二十分くらいである。
ふむ、何とか出来たなと思って妻に声をかける。
昨日のお酒はハイボール。
グラスに氷をギッチリ詰めてキンキンに冷やしてから乾杯。
グイッと飲むと若干薄めだった。
まああまり気にせずにグビグビ。
つまみにだし巻き卵を食べる。
フワフワのトロトロに焼き上げたので食感が優しい。
味付けは白だしだけだったがそれで十分だった。
ホウホウと口に運びつつお次はキュウリに狙いを定める。
ちくわに詰めたキュウリに味噌を少しだけつけて頬張ると食感の違いが面白い。
味噌のしょっぱい味もよく合っていて食が進む。
二杯目のハイボールを作りながらゆっくりと食べる。
合い間にすいとんをつまむ。
小麦粉と塩を混ぜて捏ねただけのすいとん団子が地味に美味しい。
ボリュームもあるのでお腹も膨れて一石二鳥である。
それからメインの唐揚げの黒酢がけをいただく。
キュンとした酸っぱさが口に広がってその後に鶏の脂の旨味がやってきてこくウマである。
ニンニクマヨネーズをつけると味の輪郭がはっきりしてより満足できた。
モリモリと食べてゆっくりと完食。
唐揚げ好きの妻ははぁ美味しかったと満足していたのでよかった。
片づけを簡単にしたら猛烈な睡魔がやってきたので早めに就寝。
昨日のお酒はハイボール二杯とまずまず理性が勝ったように思う。
時間が無い時のご飯づくりは逆に燃える。
たまにはお惣菜も賢く使って楽しなくっちゃね。
毎日肩ひじ張っていちゃ疲れちゃうもん。
だって涙が出ちゃう、おじさんなんだもん。
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