小説「美しきこの世界」 九
輪郭のハッキリとした夏の雲。丘を掛ける午後の風。いつも賑やかなおばあさんの家。
「どうだったの?」
昼食が用意された卓袱台に付いたみんなが「いただきます」と手を合わせた直後の事でした。おばあさんにそう話し掛けたオッカは、先日喫茶店で話した介護の事やケンシの事が気になっていたのです。箸を置いた夢も同じようにおばあさんに目をやり、ケンジとフミは手にした箸を止めました。
「そうさね、自分の部屋の事は考えがあるから、この部屋はこのままにしといてほしいとさ。決まったら決まったで言う