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マイ・ベスト・ホラー映画 10選

またもnoteを放置しがちでしたので、突然ですがマイ・ベスト・ホラー映画のTop10をご紹介します。かなり思い付きで書いてますので明日には変わっている可能性があります。昨年・今年とホラー豊作な年でしたので一気にランキングが更新されました。それでは10位からどうぞ。

10位:ゾンゲリア(原題:Dead & Buried)


1981年のアメリカ産ゾンビ映画ですね。このあとわらわらでてくるゾンビ映画はテンション高め、血糊多め、内臓マシマシでグログロヒャッハー!なものが多いのですがこの作品は港町の何とも言えない寂寥感に終始支配されておりゾンビ映画ながらノスタルジックで何とも言えない余韻を味わうことができます。

という内容と打って変わって何考えてんだレベルな邦題だけ困りものですが、悲しめなホラーがお好きな方には本当にお勧めです。多分作品で一番有名な目玉ぶっさしシーンとラストのシークエンスは一見の価値あり。

9位:ライトハウス(原題:The Lighthouse)


さっそく最近の映画がランクイン。2021年のアメリカ産ホラー映画です。この年の個人的ベスト。1890年代のニュー・イングランドを舞台に、2人の灯台守が徐々に狂っていく様子がモノクロで描かれます。

9位の『ゾンゲリア』と同じくこちらも画面全体に満ち溢れる寂寥感がとにかくたまらない一作です。独特のアスペクト比で描かれる閉鎖空間の様子に、まるで自分まで狂っていってしまいそう。自身が最も好きな世界観は、おそらくこの作品に集約されています。(しかし行きたいわけではない)

8位:REC(原題:REC)


2008年製作のスペイン産ホラー。今でこそホラーの一つの撮影手法として何も珍しくなくなったPOV手法ですが、この当時はまだ珍しかった記憶(名称も「REC」ですし)。

アパートの中という閉鎖空間で77分というコンパクトさに詰められた緊迫感が見事。個人的にスペインとフランスのスプラッターは容赦がないというイメージがあるのですが、この作品、とにかくグロさに容赦がないです。つか普通に怖いです。

「超強い感染者(≒ゾンビ)たちとの戦い」ということで大ヒットした『28日後…』との比較もよくされますが個人的にはこの逃げ場のなさとラストの盛り上がりっぷりからこちらの方が好み。

7位:ザ ・チャイルド(原題:Who can kill a child?)


1976年製作のスペイン産ホラー映画。おっとまたスペインでした。荒木飛呂彦も「あまり知られてないけど自分は好き」と語っていたホラー映画です。

今作における殺人鬼はゾンビでもモンスターでもシリアルキラーでもなく、「子供たち」。無人島で無邪気に・残酷に・大人たちを子供たちが殺しまくります。冒頭に流れる実際の映像である「人災によって犠牲になる子供たち」の映像がなにげにめちゃくちゃ心にきます。

「俺じゃない!子供だ!子供が殺してるんだ!」のシーンは本当に名シーンだし、見たのは相当前ですが未だに覚えています。ところでこの作品…本当に良質なホラー映画だと思うのですが配信はおろかDVDもプレミアがついていて中々手に入らない始末。自分は昔運よくカートで安価で買いました。同名で2013年にリメイクされてますがそちらではなく是非オリジナル版をどうぞ。

6位:女神の継承(原題:랑종/The Medium)


2022年公開。タイ&韓国合作ホラー。昨今韓国を筆頭としたアジアン・ホラーの隆盛がすさまじくどれもこれも質が高くて本当に嬉しいです。この『女神の継承』もまたタイ農村のじめっとした雰囲気、容赦のない展開に激強インモラルな悪霊がもう本当に最高でオチもクール。文句なしに2022年のベスト映画でした。

この手のいやーー…な気分になる空気感のホラー、かつては日本がけん引していた気がしますが昨今ちょっと遅れをとっていますね。『来る』のような独特の雰囲気の映画は絶対に日本でしか作れないものもある筈なのでぜひ今後に期待。村シリーズ作ったり貞子をいじくりまわしてる場合じゃねえから!

5位:ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)


1978年公開。アメリカ映画。いわゆる世に広まった印象としての「ゾンビ」の生みの親、ジョージ・A・ロメロ監督による初期ゾンビ3部作の2作目にして恐らく最も人気の高い一作。死ぬほどいろんなパターンがあって分かりづらいですが、とにかくプロットが神がかっていまして正直どれも面白いです。

「地獄が満杯になって死者が地上にあふれ出てきた」という名キャッチのもと暴れまくるゾンビたち。いわゆるヒャッハー的なアホがゾンビ映画のお約束になったのも、ショッピングモールに立てこもるのも、この作品が元祖な気がしておりましてとにかく後世への影響の与え方が絶大。

しかし終始ハイテンションな後発やリメイクものと異なり、この作品は実はかなり風刺的というか考えさせられる終わり方をします。この雰囲気はロメロにしか出せない。

4位:サスペリア(原題:Suspiria)


1977年公開。イタリア映画。いわずと知れたホラー界の巨匠、ダリオ・アルジェント監督による「魔女3部作」の1作目にして代表作。極彩色の映像美とゴブリンによるけたたましい音楽が本当に素晴らしく、これまた後世のスプラッター映画にとんでもなく影響を与えた一作です。

そしてなによりヒロインのスージーを演じるジェシカ・ハーパーが素晴らしい!2作目『フェノミナ』のジェニファー・コネリーも素晴らしいのですが、個人的にはこの『サスペリア』のジェシカに一票です。タバコをふかすシーンがツボ。

しかしこれだけ先鋭的ながらものっすごいB級感のシーンもあって、そういう「外し」も含めてお勧めです。

3位:遊星からの物体X(原題:The Thing)


1982年アメリカ公開。これまたホラー映画界隈で伝説のジョン・カーペンター監督。

ホラー映画界での優れたクリーチャー造形といえば『エイリアン』が代表的ですが、この『遊星からの物体X』が個人的にはフェイバリットです。CGに頼らないグッチャグチャでクールなクリエイティブ。クリーチャー造形を手掛けるのは鬼才ロブ・ボッティンですが、個人的にはこの方の造形が本当に大好きなんです。『遊星からの物体X』でも炸裂しますが、このきちんとしたものがことごとく壊れていく描写が…もう…。

全体に漂う静かで廃退的な雰囲気も、もの悲しい音楽も、とにかくすべてが格好いいです。血液検査のシーンは映画史上に残る名シーンだと思っています。なにげに『ドラえもん のび太と鉄人兵団』の冒頭が北極から始まるのは当作品へのオマージュだったり。あとどうでもいいですが、邦題がすばらしいですね。

2位:ナイト・オブ・ザ ・リヴィングデッド(原題:Night of the Living Dead)


1968年製作映画。

先の『ゾンビ』の監督であるジョージ・A・ロメロの初期ゾンビ3部作の1作目にしてゾンビ映画の実質元祖です。ロメロ作品では『ゾンビ』をフェイバリットに推す方も多いと思いますが、個人的にはこちら推しです。

記念すべきゾンビ初襲撃のシーンから建物に立てこもっての恐怖の一夜。そして衝撃のラストまでコンパクトな尺の中で隙がありません。『ゾンビ』のようにぶちあがるシーンがないだけに、逆に言うと何とも言えない後味の悪さや救いのなさなどはこちらの方が断然上だと思っています。やはりゾンビはのろのろ動き、普通に戦ったら勝てるはずなのにいつの間にか物量にどうしようもなくなっているあの感じこそが至高。

50年以上前の映画と侮るなかれ。原点にして頂点。それがこの『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』です。

1位:悪魔のいけにえ(原題:The Texas Chain Saw Massacre)


1975年製作、監督はトビー・フーパー。

モダンホラーの原点にして自身の美意識に決定的な影響を与えた一作。「史上最も怖い映画」とのキャッチが示す、何もかもが狂っているこの作風は今なお色褪せず、すべてのスプラッター映画の頂点に厳然と君臨しています。テキサスの無機質で乾いた空気に、狂人一家の饗宴がこれ以上ないほどにマッチ。残虐、恐怖、醜悪…レザーフェイスを超えるホラー・ヒーローを自分はまだ知りません。

なお、先の『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』と並んでかのMoMA(ニューヨーク近代美術館)にフィルムが貯蔵されていたりします。だからではないですが、自分は某セミナーで「自身に最も影響を与えたアート作品をプレゼンせよ」と言われた際に、この作品をプレゼンしたことがあります。そのくらいこの作品は、自分の中で決定的でした。

なお、昨今レザーフェイスの過去が映画化されてたりしたようですが、きっと気のせいです。

まとめ


という事で本日は自身のホラー映画 オールタイム・ベスト10をnoteしました。見て頂ければわかる通り、結構正統派が好みではあります。ただそんな中で、「緻密な設計の元作られる異形のもの」たちが特に好みだったり、あとはヒャッハー!なものより(いやそれもいいんですが)見終わった後席を立てなくなる類のものが好きだったりします。しかしやはり、10個を選ぶのはきついですね。

また機会があったらオールタイムベスト10を別ジャンルでやってみるとします。

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