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[体験談]ようこそパワハララーメン店~僕の第3次成長期の始まり「あの人との出逢い」(感動の絆と運命の別れ)-失意を添えて-~

大学生の懐事情はわりかし明るかった。

主語を大きくしすぎると良くないので、僕の周りの大学生、としておこう。
週に5回は飲み会をしていたし、週末はライブにドライブ、半年に1度は長期旅行を計画したり、、
失った青春を取り戻すために、世間に散らばる"エモい"イベントは全てこなしていたように思う。

そんな彼らを全面的にサポートしてくれていたのは、バイトバイトバイト。

みんな2つ以上のバイトを掛け持ちしながら、どうにかシフトの穴を縫いながら、どこかしらの鳥貴族に集合していた。

かくいう僕もいろんなバイトを経験しちゃったりしてぇ
・ラーメン屋
・家庭教師
・イベント設営
・居酒屋
・バル
・ドーナツ屋
・コンビニ

ある程度、分厚い人生歩んでるなぁって思いますう。(辞めざるを得ない状況にはなってないですヨ。)
↓spotifyユーザーは秋山第一ビルヂングをつおく聴講推奨です!


今回はラーメン屋の話をしよー--っと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


僕がバイトを始めようと本腰を入れたのは1回生の夏休みに入ってからだった。

大学生活にも慣れてきて、友人も出来てきて、好きな子も出来てきて、髪の毛くるくるさせちゃったりして、
もう次はバイトだろお‼ って感じでバイトルをインストールしたように思う。

高校時代は男子校で、その後の浪人生活では大宮駅でいちゃこいてる男女を尻目に駿台へと早歩きすることに徹していた僕には、
"それ"があまりにも足りていなかった。

"それ"とは"出会い"であり"ときめき"であり"衝動"であり"性春"である。

かくして、真剣極まりない野望を抱きつつ、当時住んでいた京都市左京区中のおしゃカフェをくまなく探した。
バイトルでは、候補のお店を10個くらい選択して一気に応募することが出来る。
完了ボタンを押すや否や、メールが届き「面接日時はいつにしましょう」とスムーズに事が進む。
嗚呼マッチングアプリの女性はこんな気持ちなんだろうか….

「おしゃれっていいわよね。ライフisビューティフルだわ。」







~3週間後~

僕は無職であった。
え。なんで?いやあ。別に事故って入院してたとかじゃない。帰省もしてないし。

え、え、なんで。ラッスンゴレライ。

そんなことありますかね。全落ちっす。
失意の中にいたとはこのことか。失意も失意よ。失意オブ失意。シツインリンオブジョイトイ。






でも

今になって分かる。

そのAnswerはclearだ!!!



当時の僕は垢抜けかけであった。


ただ垢抜けてないよりももっと悪い。
似合ってない茶髪のパーマ頭で、耳にはファーストピアス。繁華街のHAREでおすすめしてもらったシャツに、高校時代から履いている謎のスキニー風パンツを合わせて、ナイキの靴下とニューバランスのスニーカー。
自信は満点、笑顔は40点、喋りは20点、ニキビは3つ、プライドはK2。

そらそうよ。



それが今や!垢を99%除去して、スタイリッシュで爽やかで面白くて清潔でおしゃれで、とは言えないけれど、、
当時は当人比で非常にイケてないBadBoyであった。

だからといってそこでへこたれて再起不能になる僕ではなかったし、2日寝込んだ後に、こんどはおしゃ”飲食店”(あと中京区も)に範囲を広げて、応募に応募を重ねた。




燃ゆるような熱気を帯びたある晩夏の午後、僕はよしもと祇園花月のすぐ横にある喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
目の前には、髭面だけどきっちりした印象で、眉間に皺寄せつつも柔らかい口調の40代男性がいた。
彼はラーメン屋の店長である。
スティックシュガー2本を入れた甘コーヒーを流し込んでから僕らは席を立ち、握手を交わしてから、解散した。

祇園イイヨネー

新しく祇園に開店するラーメン屋のオープニングスタッフに採用された。

よっしゃあああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ラーメン屋といってもさすがは祇園。相当におしゃな感じのラーメン屋だった。(バイトル内のイメージ図では)さすが祇園。さすぎお。





かくして僕のバイト生活~第1章~が幕を開けた。



2.5か月後、惜しまれつつも幕を下ろした。
理由は、パワハラである(原告である僕の主張)。




当時は、大学の友人に言いふらしていた。
「とんだパワハラ野郎がいるラーメン屋に来ちまったよ」
「まじでひでー-体験したわ」
「さっさと辞めて良かったよ」


本題ですよ本題

さて、今回はこのパワハラ話を世に留めておこうと固く決心し、意気揚々と筆を執り、紆余曲折ありながらもようやく本題へと辿り着いたわけだが、、

よくよくよくよく思い返してみると、
あれはパワハラであったのだろうか(いやそうではなく僕が単純にポンコツだっただけじゃなかろうか(いやそうではない、と信じたい。)。)。
シンプルに反芻がすごぃ!!! となってしまった。


うー---む。どうやら検証が必要そうだ。


事象1:ずっと怒られている。怒声も。

あれ、弱くね笑
怒声??
それくらいだっけ。
なんかほらもっとこう日常的に肩パンされたり、熱湯ぶっかけられたり、さあ。ねえ….
まあいいや、怒声を浴びせられるだけでも、当時の社会経験皆無の半熟心臓を有した僕には、喉から黄身が出そうな体験だったことは紛れもない事実なのであるから。

僕が働いたラーメン店を紹介すると、
厨房が見渡せるカウンター一列の作りで、大木を基調としたうねうねした机と椅子が「=曲線美」みたいな面して並んでいた。
丼ぶりは誰が見てもラーメンの10倍はしそうな感じで、ラーメンは1杯1500円~とかだったと思う。
魚系ベースにスープは透き通ってて、2階の製麺室でにゅるっと絞り出された麺肌は美しく、チャーシューはもちろんレアな感じで、ゆずとかほうれん草的なおもろ具材が控えめに佇んでいたと思う。
トッピングを頼むと、これまたおしゃな別皿でおしゃな盛り方を。
さらに、ラーメン屋なのにお通し的な存在のほうれん草の煮びたし的なサプライジング的ながあった。
お水も水道水ではない、レモン水的なsomething的な。
さらにアルコール飲料も豊富に取り揃えていた。
ラーメン屋なのにトイレも店前もめっちゃくちゃ綺麗で清潔だった。
まさに最高のラーメン店!



だが僕の目線ではまッッッッッッッたく違う景色が見えていたのダ!!!!!!!!!!!



>>厨房が見渡せるカウンター一列の作りで、大木を基調としたうねうねした机と椅子が「=曲線美」みたいな面して並んでいた。

⇒ うねうねのせいで店員が通れるスペースが狭い。何の流儀か知らんが、カウンター越しにラーメンの配達はしないルールなので、バイトがラーメンを長距離運んでいた。運ぶ距離が長くなるほど””悲劇””の確率は高まる。

>>丼ぶりは誰が見てもラーメンの10倍はしそうな感じで、そのラーメンも1杯1500円~とかだったと思う。

⇒ カウンターの表面もごつごつしてたので普通に丼ぶりが安定しないし、置く時が本当に怖い。2回くらいスープをこぼして怒られた。
加えて、運ぶときめちゃくちゃ熱い。熱伝導率とか考えてないやろあの材質。熱すぎて冷ますために30秒くらい放置してたら怒られた。

>>魚系ベースにスープは透き通ってて、2階の製麺室でにゅるっと絞り出された麺肌は美しく、チャーシューはもちろんレアな感じで、ゆずとかほうれん草的なおもろ具材が控えめに佇んでいたと思う。

⇒ 賄いでは最初の3回以降は、素ラーメンを出された。まあ正直うまかったですよ。でも学生の胃袋にはパンチなさすぎると思う。具材はなんじゃこりゃって思ってた。

>>トッピングを頼むと、これまたおしゃな別皿でおしゃな盛り方を。

⇒これがまじで凶悪。別皿の形状は、長方形の重い板で死ぬほど持ちづらいし、置きづらいし、回収しづらい。しかも、煮卵とかもこれに乗せるんだからヤァヴァイよね。煮卵は厨房で4回、客前で1回落とした。怒られたけど、絶対俺悪くない。平衡感覚レべチ人間しか無理や、内村航平が炎の体育会TVでチャレンジするやつや。
トッピングの向きとかも知らんしな。

>>さらに、ラーメン屋なのにお通し的な存在のほうれん草の煮びたし的なサプライジング的ながあった。

⇒ 僕がタッパーから適当に盛ったナスが400円くらいして面白かった。ラーメン屋なのにお通し的なのが出てきて、困惑する人や、半ギレの人もいた。(ある条件を満たすと出されるモノだった気がする。全員ではないけれども半数以上の人が対象だったかと。)

>>お水も水道水ではない、レモン水的なsomething的な。

⇒ ちょっとでも客が水飲むと、つぎ足しに行くように言われる。絶対客落ち着かんて、、と思ってたけど、遅いと怒られるから、わんこそば的なノリで水入れてた。

>>さらにアルコール飲料も豊富に取り揃えていた。

⇒19歳に日本酒と焼酎の違い、甘口辛口麦芋なんて何がなんやら。適当に作って出そうとしたら、3回生のかわいい女の先輩が代わりに作ってくれた。
その後も話す口実にして、ずっと代わりに作ってもらっていた。

>>ラーメン屋なのにトイレも店前もめっちゃくちゃ綺麗で清潔だった。

⇒ OPENして1か月でめちゃくちゃ暇になり、ひたすら掃除していた。突っ立ってると怒られるから、トイレの鏡を磨き続けた。ありのままの姿を100%鮮明に映してしまうちょっといやな鏡になった。

暇なのもあって、店長はずっといらいらしてた。
特に、祇園の大地主みたいな人が来た際には、東京で修行してから京都に乗り込んできた店長に対して
「京都でやっていくには、味を変えなきゃいけねえ。まず醤油はこういう風味のものを使って~」とか2時間くらい説教してて(その間他の客無し)、
めちゃくちゃしんどそうだった。

まあ後はなんやかんや、接客する上での言葉遣いとか身だしなみとかでめちゃくちゃ怒られたけど、、

なんかわりと僕が悪いですね。正当に指導を受けていた気がしてきたぞ。。

急に僕が金髪にしてきたときも、特に咎めることなく、
(店の雰囲気に金髪は絶対に合っていなかった。)
その髪の長さには、指導が入った。
(ぼさぼさで出勤し、前髪は目にかかっていた。)

「お、おう、、雰囲気変わったね….」
「ワックス使ったりしてる?」

(金髪かつぼさぼさな人間は、あのイラスト屋ですら揃えていない希少種らしい。)

たしかに言い方口調態度言葉は全部酷かったけど、その内容に関してはどうやら真っ当なお叱りを受けていたようだ。

「ありがとう」
あなたにもう一度会えるのならば、感謝をお伝えしたい。その後、居酒屋でバイトした際には、仕事ができるポジションに上り詰めることが出来たのも、あの経験があったからだ。あなたのおかげです。そうに違いない。

感極まってきました。


事象2:女尊男卑

涙がちょちょぎれそうな今の僕には、もうあの店長を悪く言う覚悟はへにょへにょに曲がり錆びており、この事象に関しても今では十分に納得がいく。

当時は同じバイトなのに、なんで男ばかり怒られて、女には激甘なんだ。クソ=============。と思っていたけどそれもそのはずである。

女性は接客するだけで癒しなのだから。
男はその分+αで良い接客が出来なければならない。
僕だってかわいい女子大生に接客してもらったらGoogle評価の重大な判断材料にせざるを得ない。
当時の男子校童貞マインド僕にはこんなにも単純なことがまったくもって分からなかった。バカである。童貞である所以でもある。

???

結局

結局のところ、パワハラが横行するモラルの欠片もないやばいラーメン屋、というのは僕が作り出した虚像であり妄言だったようだ。

実のところは真逆で、僕自身を成長させてくれる大切な場であり、それらは貴重な経験であったのだ。

なんであの時、怒声を浴びせられているその時、、僕は感動の涙を貯めながら感謝の念で心を満たし奴の優しさを受け止めることをしないばかりか、「いつか絶対に復讐してやる」なんてとんでもない危険思想に侵されていたのだろうか。

この場をお借りして謝罪させて頂こうかしら。ごめんなさい。
こんど京都に行くときは立ち寄ろうと思います。水にはあまり口を付けないようにします。

では。また逢う日まで。





ーHOSOKUー
ガチのパワハラはだめです。ゼッタイ。

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