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【写真短編小説】旅に出たら各所がラジオブースになった件。

写真短編小説書いてみました。
お手柔らかにお願いします!

今回は、ラジオ風小説となっています。
目次の所から気になるチャプターへ飛べるシステムです。
時間がある方は、ぜひ全部読んで頂きたいのですが、時間がない方はそのチャプターだけ読めるようになっています。
ぜひご一読ください!

※この物語はフィクションです。
実在の場所などは関係ありません。

プロローグ


春も近づく2月下旬。
暖かい日差しは春の近さを教えてくれた。
そんなことを考えた三浦海岸駅。
家から歩く途中に見える河津桜は、早咲きの桜だ。
当然散るのも早い。
有無を言わさず、撮影した。
日本人は桜があると必ず写真を撮るよなぁ。
なんか桜をエサにしたらついてくるんじゃないかな。

そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「ねえ。カメラくん。」
「ひぃぃぃ!!」
男は、ビクンとして腰を抜かしそうになった。
「そんな驚かなくても。」
そこには女子がいた。
「ビックリするわ!!心臓止まるかと思った。」
「大袈裟なぁ。」
驚かしたポニーテールの女子こそ、男の待ち人だった。
「いや。こっちに来るかと思ったら撮影始めちゃったんだもん。」
「それは、悪かった。」
男は平謝りする。

「じゃ、行こっか。車こっち。」
「ほーい。」
コインパーキングの方へ向かう。

なぜこんなことになったのか。
事の発端は、3週間前。
お互い社会人だ。
ちなみに、この2人。付き合ってはいない。
あくまで男女の友情が成立している2人だ。
そんな2人が、仕事終わりにご飯へ行った時のこと。

「ねえ冬太。私ね車買ったの~♪」
「へぇー。いくら?」
「すぐ値段聞かないでよ!まあ200は行ってない。」
「夏菜・・・。まさか新車?」
「うん。そうだけど。」
「頑張ったんだな・・・。」
「まあまあ。社会人5年目だし。」
夏菜は鼻を高くした。

「ねえ。もし良かったら車使って2人でどっかいかない?」
「旅かぁ。いいね。」
「でしょ。じゃ決まりで。」
「いいんだけどさ。女子旅とかで使ったら?さすがに2人は誤解される気が・・・。」
「別にいいんじゃない?言わせとけば。」
「ん・・・。そっか。分かった。」
「そんでもって、冬太って免許なかったよね。」
「うん、ない。」
「即答ね。まあいいわ。」
「ちなみに行きたい場所とかあるの?」
「あるんだなこれが。千葉のこのホテルとかどう?」
「ここかぁ。ここにしよう。」
「じゃあ休み合わせてレッツゴー!!」

ってなわけだ。
2人は、コインパーキングに向かう。
「ジャーン!!これが私の相棒。」
「軽自動車なんだ。」
「そう!すっごいかわいいでしょ!」
パステルカラーがかわいらしい。

「じゃ乗ってて。私精算してくる。」
「荷物預かるよ。」
「助かる。じゃあ後ろの席載せておいて。」
「トランクじゃなく?」
「そっちの方が取りやすいでしょ。」
「一緒にいい?」
「もちろん。おいていいよ。」
冬太が、後部座席を開けて夏菜と自分の荷物を載せる。
そして、彼は助手席に座る。

駐車板がウィーと下がる音がした。
そして夏菜が運転席に座った。
「サンキュー。」
「こんな感じでいい?」
「オッケー。いい感じ。」
後ろを振り返り、親指を立てた。

「じゃあ行きますか!」
「うん!」
「じゃあ出発しまーす。」
「はーい。」
車がコインパーキングを出た。


チャプター1 出発直後の思い出し


「」・・・夏菜
『』・・・冬太

『そういや、親戚以外の車に乗るってあんまないなぁ。』
「たしかに、タクシーとかはあるけどねぇ。」
『そう。バスとかもあるけど。』
「意外にあるわね。乗る機会。」
『まあこういうなんて言うの?こういうアレだよ。』
「アレね。言いたいことは分かる。」
『なんて言えばいいのかな。』
「送迎?」
『そういう類いだよね。』
「でもさ、送迎だけだと今当てはまらなくない?」
『用事中とか?』
「もっとおかしくなってない?」
『確かに!別にこうって決めなくてもいい気がするんだけど。』
「ハハハッ。身もふたもない議論だったわね。」

チャプター2 高速の入り口で・・・

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「ねえ。もうすぐ高速乗るからさ。適当に音楽選んじゃって。」
『えー。こういう音楽センス皆無なんだよなぁ。』
「いいのいいの。好きな曲でいいよ。気に入らなかったら変えればいい。」
『分かった。じゃあ笑うなよ。』
「何よ。誰も知らない曲みたいに言わないでよ。」
『どうつなぐの?』
「カーナビの画面タッチしてブルートゥース押したら行ける。」
『じゃあ行くぞ。あ、繋がった。』
「成功ね。じゃ曲選んで。」
『じゃ行くよー。』
スマホを押す。
「・・・えっこの曲知ってんの!?」
『どういう意味?』
「いや、私の好きな曲なのよ。まさかこのアイドル冬太も推してんの!?」
『まあ。っていうかそっちはいつから推してんの?』
「私はえーっと・・・。高校2年か。あのイベントがあの年だから。」
『学生時代そんなこと言ってたっけ?』
「あんま言ってない。」
『でしょ。どっちかって言ったらイケメン系のアイドル好きって言ったのを聞いたことはあるんだけど。』
「確かにそうだったわ。えっとねぇ高校1年の時まではそうだったの。」
『だよねぇ。』
「なんかね、友達とその話してたら推し具合がガチすぎてね。正直引いちゃったの。」
『ああ。』
「で、女性アイドルを推し始めたらそっちのグループの友達との相性が良かったの。つまり居心地がよかったわけ。」
『にわかも受け入れてくれると。』
「そう。あとめっちゃ可愛い。」
『それは同感。』
「同世代とかにはいないよ。あんなかわいい子。」
『ハハッ!車内で良かったよ。学校で言ったら袋叩きだぞ。(笑)』
「多分ね。」
『そうしたら、グッズってどうするの?処分大変じゃない?』
「グッズね。ペンライト以外は友達にあげたな。」
『全部?』
「全部。断捨離しないとって。」
『ペンライトはなんで持ってるんだ?』
「災害用の懐中電灯替わり。」
『ああ!なるほどね。』
「便利よ。ほんとに。」

チャプター3 高速に乗っていると・・・

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「ねえ。そういえばさ冬太に確認したいことあってさ。」
『ん?何を?』
「幼稚園から私たち一緒じゃない。」
『今さらどうしたよ?』
「幼稚園だけ一緒だった人って覚えてたりする?」
『いやぁー・・・。厳しいなぁ。』
「やっぱそっかぁ。」
『ちなみに誰?』
「えっとね。ハルモリルイナちゃんっていなかった?」
『あぁ!その名前は覚えてるわ。むっちゃ先生に褒められてたよなぁ。』
「いたよね。あと冬太フラれてたしね。」
『お、覚えてないなぁ。』
「好きです!!って言ったら10秒でフラれて、泣きながらこっちに来てたわよね。(笑)」
『言うな!!あと、見てたのかよ!』
「見てた(笑)」
『辱めを思い出させたかったのか?』
「違う違う。その子で聞きたいことがあったの。」
『聞きたいこと?』
「その子ってアイドルになってない?」
『マジで?』
「スマホで調べてみて。」
『確かに同姓同名のアイドルはいるけど。』
「でさ、プロフィールのところにさ受賞歴あるじゃん。」
『はいはい。』
「あれ表彰されてなかった?幼稚園の朝礼で。」
『そういえば!!長いなと思いながら聞いてたけど。』
「やっぱ本人よね。」
『だな。』
「ふう。スッキリした。」
『つーか名探偵かよ・・・。』
「恐れ入ります!褒めても何も出ないぞ!」

チャプター4 高速の海中トンネルで・・・。

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「もうすぐ海ほたるだよ。」
『ご飯でも食べる?休憩がてら。』
「そうね。そうしよ。」
『海ほたる考えたら、7年ぶりだな。』
「7年?それって高校1年。」
『そう。高校の宿泊遠足以来。』
「あれね。ってかもうあれから7年経つの?はぁー怖い!」
『ねぇ。あの時全然海ほたる楽しめなかったしなぁ。』
「ちょっと待って。1つ疑問に思ったんだけど。あの頃、冬太って友達いたの?」
『え?愚問だなぁ。ゼロだよ♪』
「よく笑顔でいれるねぇ。私ならギャン泣きよ。」
『正直ね。闇堕ち&とんがり時代の始まりだったなぁ。』
「それこそ、あの時の単独行動のイメージしか勝たないんだけど。」
『強がってたのかも。誰も信じられず人間不信でさ。』
「ああ。」
『それなら一人でいた方が楽だなと思って、一匹オオカミ演じてた。』
「っぽいなあ。」
『今ならギャン泣きだよ。強がるけど家ではうわーって。』
「やっぱり。」
『いやそれこそ、今の自分がいるのは感謝しかないっす。アネキ。』
「よきにはからえ。」
『ハハハハハ。』

チャプター5 ランチ中もしゃべります。

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「暖まるぅ。」
『この時期はあったかい麺だね。』
「さっき迷ってたけど。」
『この後プールで遊ぶと考えたらあんま食えないと思ってさ。』
「確かに!ちょうどよかったかも。」
『アジフライ食いたかったけどねぇ。』
「そういや冬太って優柔不断なところあるよね。」
『ある。』
「1回直感で決めてみたら?」
『後悔したくないんだよな~。』
「よくあるよね。」
『いやじゃん。選択誤ってさミスったら。』
「だからさ、あの時だって悩んだ挙句アタックできてなかったし。」
『あの時?アタックできなかった?』
「ほら、みらちゃんの。」
『何で知ってんだよ・・・。』
「いやいや。どうしよーって言って迷ってたじゃん。」
『声を大にして言わないで・・・。』
「じゃあなんかおごってくれる?」
『カツアゲじゃねぇか。』
「おごらないんだぁ。」
『分かったよ。飲み物でいいか?』
「ゴチでーす!」

チャプター6 目的地間近。アザト女子にはご用心。

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「じゃあ目的地行きますか。出発!」
『元気だな。』
「んー。そんなことないよぉ。」
『ど、どうした?』
「こういうアザト女子っているよねって話。」
『ああ。そういうことね。』
「さっきの話に戻るけど、みらちゃんって結構あざとい方よ。」
『そうだったっけ?』
「同じ高校だったじゃん、その時は彼氏にはすっごいクネクネしてた。」
『誇張がすごいかもね。』
「いやいや。冬太きゅーん。だいしゅきだおー!!的な。」
『いないいない。そんな人はおらんて。』
「ホントは手も付けたいけど。」
『でも言っても、夏菜も小中はさ結構あざとめじゃなかった?』
「ええ?あたしが?」
『だってかっこいい人の前で自分が見たことない顔してたぞ。』
「ウソ!早く言ってよ!」
『言えるわけないじゃん。高校になったら落ち着いたわけだし。』
「う、うん。」
『あれだな。いや・・・辞めておこう。』
「何よ!」
『とんでもない自分の闇と毒をさらすとこでした。』
「あんた闇モードになると手つけられないからね。」
『滅相ないっす。』

チャプター7 プールで落ち合ってもラジオ

「お待たせ~。」
『おっ来た。』
「どう?」
『どうとは?』
「似合ってる?」
『うん。』
「リアクションうすっ!」
『いや、それ以外何と言えと?』
「あんた好みの格好にしてきたのに・・・。違った?」
『いや、ドンピシャよ。パーカー羽織ってショートパンツ。』
「じゃあもっとリアクションしてよ・・・。」
『へへなんて言ってニヤケたらただの変態じゃねぇか。』
「そうなんだけどさ。恥ずかしいしさ・・・。」
『もしあれだったら守るし、変態は自分が許さないから。』
「冬太ってそういうとこあるよね。さりげなく守ってくれるし。なんでモテないかね?」
『余計なお世話!』
「自覚あるの?」
『あるわ!いや待て。あるって言ったらナルシストだな。』
「モテない要因自分で分かってるの?」
『そりゃ性格?』
「正解!」
『だろうな!!』
「うん!」
『うんじゃねぇ!』
「へへっあんたらしいわ。」
『まあいいや。プール楽しもう。』
「そうね。」

チャプター8 夏菜がほくそ笑んでいる宿泊部屋。

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「着いたー!!いい部屋!!」
『ねー!』
「ピョーン!!」
バサッ。
『やっぱやるのね。』
「やるしかないでしょ。」
『ちょっとゆっくりする?』
「そーねぇ。」
『無気力。』
「ねえそういえばさ、ふと思い出したんだけどさなっちの結婚式覚えてる?」
『ああ。あの地獄の余興。忘れもしない。』
「地獄なの?あれ?」
『あんな無茶ぶりされてマジでムカッとしたわ。』
「でもすごかったじゃん!良く踊れたよね。」
『ちょうどステイホーム中で運動不足解消のために踊り狂ってた曲だったから。』
「そうだったの?」
『あと、推しだったから。』
「心の中で興奮しちゃった。たしかさなっちも好きだったんだよね。」
『カースト上位の下位狩りだよな。あれ。』
「逆にね。狩られちゃって(笑)」
『絶対許すことはないな。』
「正直、キョドりまくってたよ。」
『そう?』
「ざまぁとは思っちゃったなぁ。反省。」

チャプター9 深夜のオールナイトツンデレ

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「ねえ?寝た?」
『いや寝てない。』
「いやなんかドキドキしてきちゃって・・・。」
『大丈夫?』
「胸のドキドキが止まらないの・・・。」
『無理すんなよ。』
「あんたのことを見るとなんだか・・・。」
『は?』
「これって好きって言うのかな・・・。」
『マジか・・・。』
「なーんてね。」
『なんだよ!』
「どう?幼馴染がいきなり泊まりで好き打ち明けシチュエーション。」
『80点。』
「意外と低いわね。」
『いやベタ過ぎるな。』
「やっぱりね。じゃああんたのドンズバなセリフあんの。」
『ドンズバねぇ。あれかな?』
「教えてよ。」
『めっちゃ好きやねんで?かなぁ。』
「へえ。関西弁好きなんだぁ。」
『頼むからからかうなよ。』
「私はね。いきなりのギューかな?」
『言葉はいらないと。』
「そう。」
『でも確かに言葉はあんまり不要かもなぁ。』
「確かにね。愛には言葉はいらないわ。」
『出た。名言。』
「ゆすらないでよ。」
『お互い様だ。』

チャプター10 旅の終わりの車内

「」・・・夏菜
『』・・・冬太

「なんだかんだ楽しかったわね。」
『大満足だよ。』
「また行こう?」
『もちろん!』
「ならよかった。絶対だよ!」
『彼女か!』
「あるけどね。ちょっと重めの彼女でしょ。」
『そうそう。』
「私の方がいっっっぱい大好きだよ!!とか?」
『いうわ~。』
「あとなんだ。私のこと好き?とか。」
『言いそう。』
「私は重くないからね。一応言っとくけど。」
『分かってるから。』
「なら良かった。」
5分後。
『どうしようかな~夕飯。』
「あたしハンバーガーにしようと思うけど、一緒に食べない?」
『いいね!じゃあ自分がおごるわ。』
「珍しっ!」
『自分をなんだと思ってるんだ?』
「いや、ちょいケチ。」
『正解だが・・・。運転頑張ってくれたしさ。』
「フフッ。ありがと。」
『いいのいいの。』
「本当になんでモテないのだろう?」
『おごらないよ?』
「冗談だってば。」

2人は、また旅に出る。





























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